ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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心がこの映画から離れられません
どんな具体的な言葉も、全て陳腐に聞こえてしまうような気がして、この映画の感想をまだ上手く言葉に出来ずにいます。ただ一言、もの凄い作品に出会ってしまいました。
今日の朝1番の時間帯に観てからずっと、頭の中がこの映画のことでいっぱいで、他の事が何も手につかないほどです。完全にこの映画に取り憑かれてしまいました。魂を鷲掴みにされたまま、ずっと握られているようです。
この先、自分の中でこの作品を越えれる作品がもうないのではないかと不安にすら思います。少なくとも、こんなにも心を激しく揺さぶられた映画は生まれて初めてでした。この作品に興味を持たれた方は、是非観て欲しいです。本当にオススメです。
余韻に浸っていたい
公開初日レイトショーで観てきた。
しばらく動きたくなかった。
誰とも話したくなかった。
どんな音楽も聴きたくなくて、車のオーディオ消して帰ってきた。
余韻が強く残る映画。
ストーリー自体はなんとなく知っていた。それなのに、その展開や映画としての描写法に驚いた。
新人の服部樹咲の演技、バレエシーンにも惹き込まれる。
そして何よりも、草彅剛という俳優の凄さを感じた。
私は過去の彼の作品をあまり観たことがない。だから単に私が知らなかっただけなのか、この作品の彼が特にそうなのかは判らないが、とにかく「草彅剛」自身はそこに存在しなかった。彼が演じているのだけど、そこにいるのは彼ではなく「凪沙」というひとりの人物そのものだった。
元SMAPに対する興味で観る人もいるかもしれない。現に私がそうだ。
でも、同情心や判官びいき的な感情は一切要らない。キチンと評価されるべき映画。
2人が抱える苦しみと希望が胸を打つ
幼少期から自身の性別により悩み苦しみ続けてきた凪沙と、親の育児放棄で孤独な哀しみを抱えている一果。そんな2人が心を通わせることで、微かな希望や生きがいのようなものが育まれていく様が、セリフで説明するのではなく、2人の表情や行動から伝わってきました。
特に本作はバレエシーンに想像以上に尺を使っていますが、服部さん・真飛さんを始めエキストラの生徒さんまで皆しっかりバレエ経験者なのがとても良かったです。説得力があり、言葉で説明しなくてもどんな思いで今踊っているのかが伝わってきます。
一果が凪沙の苦しみや希望を背負って踊るラストシーンは色んな想いがこみ上げ、涙が溢れました。
ただ、本作の結末は、個人的には悲しすぎて、出来ればもう少し幸せや希望を感じさせて欲しかった…。このあたりは好みだと思いますが。
でも観て良かったです。今後の服部さんの活躍が楽しみ!
最後の光明を見せる必要があったのか…?
監督の構えたミットに見事なまでの草薙剛の投球が決まってます。暗い画面と相まって見事としか。
服部樹咲は最初無口すぎるのがちょっと…虐待受けてるなりにボソボソって喋らせた方がストーリー的に良かったと。
後半あれだけ良い子?になるのだから他人とのコミュニケーション少しくらいはスタート時から付けてあげて欲しかった。
ボロボロで終わる作品って結構好きなんだけど最後のダンスシーンで夢見させる終わり方には…?
せいぜい空港から旅立つ!みたいな終わらせ方の方が暗いままで終われてよかったのでわと。
草薙剛は見事に自分の色を活かして演技切ったと思う。
無理してやさぐれモノを演じた?◯◯の作品とはかなり出来が違ったと。
俺的には吾郎ちゃんは『岸田森』の線でいってもらいたいなぁ…
【”何故、私だけが・・”と言う思いを抱えて生きている二人の”女性”が出会い、関係性を深めていく美しくも切ない物語。】
ー性同一障害に幼き頃から悩みながら生きてきた凪沙(草彅剛)と、酒浸りの母親(水川あさみ)のネグレクトの環境下、必死に生きてきた少女一果(服部樹咲)がある理由から一緒に暮らし始める所から物語は始まる。
◆このレビューでは、凪沙を”彼女”と表現します。-
■印象的なシーン
・”新宿駅東口”の近くで、初めて会った凪沙と一果のそっけない遣り取り。そして、その状態は凪沙が一果を家に連れて行く時も、家についてからも続く・・。
”あたしは子供が嫌いなの・・”
”風呂はあたしがいない間に使う事”
”部屋を綺麗にしておきなさい・・”
一言も発せず聞き流す一果の姿。
ー 二人とも、辛い生き方を続けてきたため、気持ちが荒んでいることが分かる。が、凪沙はストレスが限界を超えると自分の腕を噛む一果の姿を見て、そして一果は酒に酔い”何で私だけが・・”と涙を流す凪沙の姿を見て、お互いの境遇を知り、徐々に距離を縮めて行く過程が自然に描かれる。とても、印象的な序盤で作品への期待が膨らむ・・。-
・東広島から越して来た一果は、学校に東京の学校に転入するが、中々馴染めない。ある日、ふと覗いたバレー教室で踊る少女の姿をこっそり見つめる一果。その少女りん(上野鈴華)は有名なバレリーナの子供で裕福な家庭で育っていたが、いつの間にか仲良くなる。
ーその理由は、りんの家庭が裕福ではあるが、父親に二人の愛人がいたり、その反動で母親がりんに過度にバレリーナとして大成することを期待するという歪んだ家庭にある事が、上手く語られるし、二人がバレー教室の費用を稼ぐために”アルバイト”を行う理由も良くわかる。
そして、屋上での二人の唇が触れ合うかどうかの震えるキスシーン。心寂しき二人の少女の姿が良く表れているシーンである。-
・一果の想いを知った凪沙が彼女のバレリーナとして体力をつけるために作った”ハニージンジャーソテー”を美味しそうに食べる一果の姿。
”野菜も食べなさい”
”いただきますは?”
ー実の母親にしっかりと育てられてこなかった一果を、実の母以上の愛情を込めて一果の想いを叶えようとする凪沙の姿が、心に沁みる・・。彼女には、矢張り強い”母性”があるのだ・・。-
・一果のバレリーナの素質を見抜いたバレー教室の先生(真飛聖)は一果を期待を込めて厳しく指導する・・。一方、りんにはある足の不具合が見つかり・・。
ーそれでも、りんは一果を応援し彼女に自分の果たせなかった夢を託しながら、自らも愚かしき両親の前で”新たな世界”へ飛翔する・・。実に、実に切ない・・。ー
・大舞台で結果を出せない一果の前に”改心した”母親(水川あさみ:他の作品でも出演されているが、良い女優さんである・・。何か大きな転機があったのだろう・・。)が現れ、一果を観衆の前で強く抱きしめる。その姿を見て凪沙はある重大な決意をする・・。
ータイは性転換手術の先進国であるが、衛生状態は大丈夫だったのだろうか・・-
・高校を卒業した一果は凪沙と再び暮らし始めるが、凪沙の手術が上手く行かなかった事が描かれる。そして、凪沙は一果に海に連れて行ってくれと頼む。
ーこの一番大切なラストに向かう辺りから、物語の進行がやや粗くなってしまう・・。実に勿体ない・・。-
<草彅さんの演技は勿論凄いのだが、りんを演じた上野鈴華さんと、何と言っても一果を演じた服部樹咲さんの姿には、驚いた。本当に新人さんなんですか? 新たな素晴らしき若手女優誕生ではないだろうか?
物語としては、序盤から中盤はとても良かったが、終盤がやや勿体ないなあ、と思った作品。
けれど、心の傷ついていた三人の女性たちの”魂の再生”の物語としては、秀逸な作品である。>
痛くて悲しくて美しかった
演技はもうそれぞれの役者の皆さん素晴らしくてなんと言葉にしていいか解らない。
草彅剛さんの目が様々な色に変化して次第に愛溢れていくさまは鳥肌がたったし、服部樹咲ちゃんの新人とはおもえない存在感が素晴らしかった。親友役の子も田中さんも…全員の名前を書いてしまいたいほど、皆さんが素晴らしかった。
でも何より、決断の数々の景色のいくつかを詳しくは描かす、彼女達のそれまでの姿で、その決断を想像出来る描き方で、余韻が凄すぎる映画でした。あの時はこうだっただろうといつまでも考えてしまいます。
辛い悲しい美しい …気づかない間に涙が流れていて、それからはとまらなかったです。
興奮のあまり感想を書かずにはいられませんでした。
演技はとてつもなく素晴らしい。が...
初めて予告を観たときには、正直不安しかなかった。どんなに良作であっても、これまでに彼らの作品が忖度や故意のネガキャンによって埋もれてしまうことも多く、題材自体がコントと嘲笑される危険性を持っていたからでもある。
しかし、無意識に植え付けられてきた先入観、その全てを、草彅剛はほんの数分で消し去ってしまった。これまでも草彅の映像作品はいくつも観てきたはずだし、女装コントも沢山見てきたはずなのに、である。
そこには「凪沙」がいた。
草彅だけでなく、他の俳優陣の演技も、まるでドキュメンタリーを見ているかのようにリアリティがあり、自らを取り巻く世界のすぐ隣に、この世界が実在していることに改めて気づかせてくれる。
絶賛レビューはたくさんあがっているし、どれも嘘偽りなく、ほぼ同感である。
しかし残念で仕方がないのは、特に後半、時系列と、それに伴う登場人物の感情の変化が、全くつかめないことだ。
最終的にやむを得ずカットしたのか、元々撮っていないのかは不明だが、あと数分伸ばしてでも、映像として入れるべきだった。
それでも撮影後に書かれたであろうノベライズを手に取れば、映像で明らかに不足している部分を補完でき、凪沙と一果、その他の登場人物達への思い入れは、なおのこと強くなる。
だが、草彅が優しく素直に表現していた部分が、ノベライズでは少し下品なト書になっていたりもして、書き手が潜在的に持っている偏見も垣間見えてしまう残念な部分も。
公開に際し監督自身が何度も自虐的に「不安」を語るのは、脚本の荒さを自ら理解しているからなのか、それとも演者を信用していないからなのか......
この作品を愛し、草彅が「草彅剛の代表作」と言うほどのクオリティにまで引き上げたいと思っている方は、鑑賞後に是非、ノベライズを読んで欲しい。
そしてできればもう一度、映画館で鑑賞し、その細やかな表現を確認して欲しい。
(本来は、ノベライズ無しでも完結されるべき作品でなければと思うのだが。)
いずれにせよ、俳優陣の素晴らしい演技が脚本の稚拙さを遥かに超えているので、鑑賞後の満足度は高い。
草彅剛本人は全く気にしていないと思うが、ぜひこの素晴らしい演技が正しく評価される日本映画界であってほしいと願う。
草薙剛さん、凄い俳優さん。揺さぶられたなぁ
心が揺さぶられた映画。
観る前と観た後の自分は全然違う人になってました。
この世の中の生きにくさを感じているトランスジェンダーに対する考え方も自分の価値観も大きく変わり、人がそれぞれ自分のままで生きられる世の中とはどういうものなのか。
心のひだに染み渡る素晴らしい映画でした。
一果の虐待されてきた心の傷は想像を絶する痛みを感じ取り辛かったです。バレエに目覚めて本当に良かった。映画でありながら完全に凪沙と一果を味方する身内の気分になりました。笑
帰りは涙でもう大変でした。
とにかく多くの人に観てほしい映画です。
美しく、カッコいい映画
考えさせられる映画
この映画は生涯の宝です!
映画評がとても高いので半信半疑でしたが。生涯、もう一度見たい映画はそうそう無いのですが、これには本当に圧倒されました。最近では新ゴジラ、君の名は。、天気の子、等でしたが。DVD化されたら絶対に買いたい!ジェンダー論オンナたちはどうしても珍子がついているというだけで、今や国連世界標準の性別違和やSOGIさえも知らないのでは?生理や妊娠ができなければ絶対に女としては認めない。オトコは暴力で性欲の塊であり駆除対象と言わんばかりの人がここでも多くいますね。そういう人たちには一撃となったのかもしれません。ストーリー展開も昨今の韓国映画優勢に全く引けをとらず、日本映画もなかなかやるなぁという印象でした。特にバレエシーンはとても多く、偽りのバレエ映画とは違います。お稽古やお教室も経験者ならば納得でしょう。また、LGBTQXについても全くの現実を描写しており、監督や俳優さんや原作の方の努力が窺い知れます。コメントでは未だに性同一性障害とか性転換手術という表現を使うことからして市中の認識の浅はかさが知れます。性別違和は疾病ではなく、性別適合手術が世界の表記。また、手術しても生涯尿漏れや尿閉に悩まされる事例も多く、ホルモンによる精神のアンバランスで肉体精神が「女性」になっても自死してしまう人も多いです。特にMtfはエストロゲンによる影響を大きく受けます。珍子がついていればどんなに性別違和を感じてもオトコだから鬼畜系だとのたまうジェンダー論オンナたちですが、既に精神的に苦しんだ人に珍宝切り取りの手術まで求めるのは大きな人権侵害であるというのが国連WHOそして諸外国の標準スタンスだ。この映画は女性美の究極の表現でもあるクラシックバレエと、性別違和に苦しむ人たちとの命題を正面から捉えたことは評価したい。ベルギー映画GIRLもクラシックバレエとLGBTQXをテーマにした感動作であったが、コロナやヘイトが跋扈する世において内外からこれらの映画が出たことは喜ばしい限りだ。
一果に向けられる愛
草彅剛の演技が本当に素晴らしい
#75 一見似た者同士に見えるけど
社会から認められない方は沈んで行き、才能がある方は白鳥として羽ばたくお話。
何故男の身体で生まれたのか苦悩する姿は無条件に泣けた。
観客のほとんどが草なぎ剛目当てだったみたいだけど、社会派映画が好きな人に特におすすめ。
特技はバレエ。そして椅子投げ
痛くて悲しくて、そして優しい映画でした。単にトランスジェンダーものだと割り切れない、心の奥から声が響いてくるような気がしました。親の愛を知らずに生きてきた一果と、性同一性障害を親にも言えずに新宿のショーパブで踊る渚沙。言ってみれば二人とも刹那的な生き方で孤独を舐めあうような形の共同生活の始まりだったが、一果のバレエの才能のために自分をも投げ出すことになった渚沙。
もちろん性転換して女性になるという人生目的はあった渚沙だけど、人の痛みがわかる優しさをも持っていたため、金もなかなか貯まらない。一方の一果も自分の将来を探っていて、時には暴力をも振るってしまう悲しさもある。そして、いつしか母親の気持ちもわかるようになり、バレエの先生(真飛聖)の言葉によって喜びを禁じえなかった。
ハニージンジャーソテーと生姜焼き。夜の白鳥と昼の白鳥。貧富の差も描きながら、親と子の関係をも丁寧に対比されていました。自分が足の故障でバレエ人生を絶たれてしまったりんちゃんの儚さも苦しかったし、彼女の一果に対する心の変化も絶妙でした。
今では日本国内でも可能な性別適合手術。万全な態勢であれば、悲劇も起こらなかっただろうか。血まみれ、介護、痛々しい様子を見ると、息苦しささえ覚えてしまいます。そして、ラストのバレエシーンはぞくぞくさせられた。彼女を天国で応援してくれてる人の分まで頑張らなきゃいけない。みんな一果の才能を見守ってくれてるよ・・・
【ネタバレ追記】
コミック「らんま1/2」を読んでるところはトランスジェンダーの憧れの部分かな。などと思いつつ、本物の女性に生まれ変わる決断をした渚沙。適合手術の術後が上手くいかず、多量の出血と失明までしてしまった(いくらか見えてたにせよ)。もう一果のバレエも目にすることはできない。海辺で幼い頃の自分の幻も見るが、そっと眠るように息を引き取った(と思う)。
一果の友だちとなったりんはバレエを諦め、一果に自分のバレエの夢を託す。両親の友人の結婚式では、コンクールで羽ばたく一果とシンクロするかのように同じ演目を踊るが、テーブルからテーブルへとジャンプして、最後は飛び降り自殺のような形となった。このシーンは夢にも出てきそうですが、美しく儚く命を絶った彼女が観客席に見えてしまった一果。全てを悟り呆然自失・・・
エンドロール後のワンカットは死んだ渚沙に見せたかった一果の晴れ姿。2人とも白鳥になった一瞬でもあり、心が一つになった証し。死んだのかどうかは本編ではわからなかったけど、ここで怒涛の涙腺決壊・・・となりました。
それにしても『喜劇愛妻物語』でも見せてくれた水川あさみの回心の演技はこの映画でも炸裂していた。一果よりも実母の将来の方が不安だ・・・
目新しいものは何もないが…
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