ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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この感覚は何なのだろうか?
気が付くと自分で自分を軽く抱きしめている。
心が満たされる感覚と空っぽになる感覚を同時に感じました。
草彅剛さん演じる凪沙らトランスジェンダーの彼女たち、今作で女優デビューとなった服部樹咲さん演じる一果とその同級生りん。みんな「自分の立場に苦しみながら世の中をもがいて生きている」というより「自分という生命を必死で輝かせようとしている」という印象でした。
草彅さんは素晴らしい俳優さんですが、今回はまた別格です。
冒頭お客さんの接待中に照れで頬を両手で覆う仕草を見た瞬間、この作品に取り込まれてしまいました。
本当に終始美しかった。
服部さんも初めての御芝居とは思えないくらい良かった。
凪沙を見つめる目の変化などは形としては簡単だと思います。
しかし、そこからちゃんと凪沙への想いも伝わって来るのですから素晴らしい。
たまに1エピソードの展開が短かったかなと感じることもありましたが、これらは蓄積なのだと思いました。
この作品は過程が最大の魅力ではないでしょうか。
もちろんラストも感動しましたし、綺麗に描けていましたが、そこよりもさらにアルバイトがバレてしまった帰り道や一緒にした夜のバレエ練習、2人の気持ちと過ごす時間が親子のモノになっていく過程に文頭のような2つの感覚がありました。
作中で多かったバックショット。
距離とかではなく「向こう側」、綺麗な後ろ姿なのに痛みや憂いを感じざるを得ません。
ラスト浜辺で踊る一果を見つめる凪沙が「綺麗、綺麗…」と呟きます。
自分もあんな風に踊れる白鳥になりたかったんでしょうね。
草彅さんが自身が出演された作品の中で今作が1番終わってから席を立てなかったと仰っていました。
納得です。
僕も映画館は出たものの、近くのベンチに座り浸ってしまっています。
劇中とエンドロールで流れる渋谷慶一郎さんの『Midnight Swan』が頭から離れません。
今僕の目に映る全ての光景が映画になっています。
美しい
新宿二丁目の太陽
コロナ禍もあってしばらく映画館から遠ざかっていましたが、東京FMの稲垣君の番組でこの映画の存在を知り、またYouTubeで15分間の告知動画を観て興味を持ち、久しぶりに映画館で鑑賞することにしました。歌舞伎町の映画館で観ましたが、映画館を出たあと、暗くなった街の片隅で二人が寄り添っていそうな気がしました。
まず草彅君ですが、一般的には難しい役どころと言えるかと思いますが、私は最初から草彅君にハマりそうだと思っていたので、案の上期待通りで、すんなりと映画の世界に没入することができました。途中エグい場面がいくつかありますが、これは前所属事務所ではOKが出なかったと思いますので、そういった意味でリミッター解除というか、彼の役者としての幅は確実に広がったと思います。日本で活躍が難しいのなら、いっそこの作品によって日本の枠を飛び出してほしいと思います。そうなるように願っています。
そしてイチカ役の服部さんも素晴らしかったです。初の演技ということでしたが、だからこそのビギナーズラックというか、初めてならではの計算のなさと、ネグレクトや自傷癖など複雑な問題を抱えた役どころが絶妙にマッチして、二度と観ることは適わないだろう名演を見せてくれています。そしてバレエも本当に素晴らしかった。コンクールのバレエシーンは本作のハイライトであり必見です。インタビューを拝見すると今後も演技を続けるお考えのようなので、草彅君と共に今後の活躍が楽しみです。
服部さんを観ていて、異論はあるかと思いますが、その面立ちと良い、私は初期の倍賞千恵子を思い浮かべました。賠償千恵子もSKDの元トップスターで踊りも歌もいける名優です。全く作品の質感は異なりますが、ある意味「男はつらいよ」の寅さんも生きづらさを抱えた一種のマイノリティだったように思われ、イチカはその傍らに優しく寄り添うさくらのようにも見えたわけです。そこで彼女には倍賞千恵子の代名詞「下町の太陽」ならぬ「新宿二丁目の太陽」の称号が相応しいと思いいたりました。もちろんあくまでこの作品においては、です。今後は新宿を大きく超えてどんどん活躍を広げていってほしいと思います。
30分ぐらい長くなっても良いので、特に後半部分はもう少し丁寧にストーリーを見せてほしかったようにも思います。「カットしてません?」と思えるような箇所がいくつかありました。その他演出の部分でいくつか疑問はあったものも、やっぱり映画館で観る映画は良いなと思える良い映画でした。
人間描写が弱い
この映画の評価出来る点は草薙の「知名度」により映画がヒットしたこと。ジェンダーについて考える機会を、多くの人に与えるきっかけとなったのは良い。
しかし映画の内容としてはイマイチ。
登場人物の心の葛藤が「大声を出し怒鳴る」「自傷行為をする」「暴力行為をする」といった形で表現される場面が多く物足りなかった。
社会的に、あるいは年齢的に複雑な心理状態に置かれている人物の心理描写をもっと深く丁寧に表現して欲しかった。
特にイチカがママ母と別れて実母の元に戻る際の心の葛藤が描かれていないのは本当に惜しい。
似たような物語設定のアニメ、「アルプスの少女ハイジ」では、ハイジがアルプスの生活から都会へと戻る際に【山での生活を心から愛していた少女が、大きな寂しさを感じながらも現実を受け入れる逞しさ】が表現されていた。
この映画からは、イチカのそういった感情の葛藤があまり感じられず残念であった。
個人的にはオカマちゃんの会話がとても楽しく、そこがとてもリアルで良かった。
もう出会えない、奇跡の一本。
想いが溢れて止まらない。
鑑賞した人と話したくてたまらない。
死、血、汚物、リアルが迫る大事な演出。
草なぎ剛君が凪沙役を引き受けてくれた奇跡と、いちか役の本物のバレエができる純粋な目をした服部樹咲との希少な出会い。
何も考えず、そのままの自分で観に行って欲しい。訳がわからない感情が溢れ出てくる。
内田監督のオリジナル脚本というところが良いです。
監督の譲れない潔い演出の想いが深く突き刺ります。
評価とかじゃなく、自分が表現したい事をオブラートに包まずに真っ直ぐに届けようとしてくれた強さを感じる映画です。
恐れずに届けてくれた制作陣にこの国の暗部が引っ張り出されて、私達は直視する勇気を持たなくてはならないと感じました。
【祈り】
多様性とはなんだろうか。
「LGBTって流行りなんでしょ」
と作品中で採用担当が話すように、言葉やカテゴリーが先走って、逆に窮屈になったり、取りこぼされている人が多くいるのではないのか。
凪沙は母性に目覚めたのだと、僕達は簡単に言って良いのだろうか。
僕達は、至る所で、無意識に男女を分けて考え過ぎてはいないか。
凪沙は当初、単に親になりたかっただけではないのか。
踊りとバレエという共通項を見出して、窮屈なジェンダーというカテゴリーに縛られ、水槽の中で生きることを運命づけられたような自分とは違う、自由な可能性を一果に見出し、その可能性を「親」として後押ししたかっただけではないのか。
そんな親になりたかっただけではなかったのか。
しかし、一果と引き裂かれ、自身のジェンダーを追い詰められるように考えた時、書面上・登録上の父親という選択肢には耐えられず、手続きなど容易なタイで性転換をしてしまって、母親にもなれるのだと一歩踏み出してしまったのではないのか。
性転換に葛藤を抱えていたように見えていた凪沙には大きな決断だったのだろう。
多様性とはなんだろうか。
ジェンダーとはなんだろうか。
LGBTQとはなんだろうか。
親であるとは、
母親であるとは、
父親であるとはなんだろうか。
元々ある区別に加え、選択肢が増えたからといって、僕達が人であることに違いはないだろう。
多様性を云々する前に僕達はみんな人なのだ。
僕は、僕達の生きる社会が、心と身体の性が一致しないのであれば性転換しなさいと強制するような社会であって欲しくはない。
また、性転換しないのだったら、身体の性のままだと決めつけるような不寛容な社会でもあって欲しくはない。
うわべで多様性を論じても、僕達の社会には、実は、そんな不寛容さが至る所に潜んでいる。
凪沙と一果を繋ぐのはバレエだ。
2人が公園で踊るシーンは秀逸だ。
凪沙は、ジェンダーを意識することなく、夢や目標を持って、それに向かって努力出来るはずの一果に、窮屈なカテゴリーの中で、水槽の中だけで生きることを運命付けられた金魚のような自分にはない自由な可能性を見たのだ。
これを後押ししたいと思うのは、ジェンダーでは括れない愛情ではないのか。
だから、親であるだけで実は良かったのではないかと思うのだ。
スクール水着を着る身体的男子がいたって良いのだ。
同様に主人公ぎバレエにひたすら向き合う映画「Girl」のように強く性転換を願うこともあるだろう。
しかし、心と身体の性とは関係なく、「親」であるだけで、別の更なる一歩を踏み出す人もいるのではないのか。
僕達はカテゴリーを多様化して、いつの間にか、それで満足してはいないか。
細かい窮屈が増えただけになってはいないか。
凪沙の期待と共に白鳥のように羽ばたく一果。
社会の不寛容に押しつぶされるように去る凪沙。
これは皮肉のようだが切ない対比だ。
人として、不寛容が少ない社会であれば良いと願いたい。
そんな社会になることを祈りたい。
「草彅剛」はいなかった。
深い深い愛のはなし
内田英治監督の創り出す世界は古いフランス映画のように優しく切なく胸に沁み込んでくる。
新宿のネオンが、本物になりたかった白鳥たちを包み込んでいるみたいに…
長い手足の一果が踊る、バレエのシーンが本当に美しい。
真夜中に凪沙と一果が踊るシーンが一番好き。
草なぎさん、服部さん、水川さん、田口さんはじめ、キャストの演技がストーリーを補完してる印象。
予告のときから思ってたけど…渋谷慶一郎さんのピアノ曲がストーリーを切なく彩り、最高に泣ける。
そして…りんちゃん。
お金持ちの両親がいても、本当のりんちゃんを見ていない。見ようとしない。
りんちゃんの踊るシーンは悲し過ぎる。
愛の力で醜いアヒルの子は白鳥になる、深い深い愛のはなし。
公開記念舞台挨拶中継付きで鑑賞。
ネタバレ注意
ネタバレ注意
う〜ん
前半は草彅剛さんの演技力で観れたのですが
後半 怪我で踊れなくなった友人が自死を選ぶ。
夢やぶれたくらいで安直な展開と描き方、
毒親もがなってるだけで苦手でした。ただ最後に娘を解放したのはよかったです。意外ですが
ジブリに例える方いらっしゃいましたが、
とんでもない苦笑。重すぎ
ジブリも見ましたが違和感なくすっと入ってくる。
トルメキアの輸送機が墜落してお姫様が怪我。ナウシカが確認するけど一切傷は見せない。
本作はあんなオムツが、嫌悪感しか残らない
。生々しく、悲惨すぎて(汚)。体張ってる俳優さんには申し訳ないがストーリーが全く入ってこない。ボランティアの人がいるならゴミも捨てるだろうし。なぜ汚部屋
話も同情誘ってかわいそうでしょ?感が前面に押し出され
観客も泣ける(人もいるかもしれないが)、バレエシーンがよかったとかの薄っぺらい内容だったと思います。
登場人物の描写が必要な時には足りなくて、必要ないシーンが多い、観る者にはモヤモヤ
違和感しか残らない映画だった。
衝撃でした。 草彅さんの演技は定評があるので、期待をしていきました...
本当の母娘に👠
草彅剛演じるショーパブダンサー凪沙と、育児放棄や虐待の中で心を閉ざした一果との、すぐそばにある、隣にいるかもしれない生々しくも儚い物語と感じた。
母親からの虐待で、一果は凪沙の住む新宿に居候する形になったが、凪沙は受け入れてくれないは、
一果も、挨拶も出来ないは 会話にもならないはで…
どんだけの思春期なのかと感じながら観ていました💦
一果がバレエと出会ってから、凪沙も一果もどんどん変わっていって…まるで本当の母娘であるかのように
凪沙が一果を連れ戻しに行った時の、「本当のお母さんになれるのよ」がすごく印象的だった。
東京に戻っていく後ろ姿の真っ赤ヒール👠とともに
大きく才能を開花した一果が、アメリカの
オーディションに向かった服は、凪沙のそれのようだった。
舞台袖で一果がつぶやいた「見てて」
凪沙に届いて欲しいと強く感じた。
色々切ないです
才能があり世界に出て活躍出来る人は、肉親との絆が薄く大切な人とは別れて孤独だったりするような切なさとか、
母になろうとして実母には叶わなくて性転換手術をして一果を迎えに行ったものの、次に一果に会った時は余命僅かである切なさとか、
病床での出血の場面、荒れた部屋、金魚がいないのに汚れた水槽に餌をやるシーンなど、
凪沙はトランスジェンダーで生きにくいと感じながら、一果と向き合い夢を叶えてやりたいと頑張ったのに、何でこんな最期なんだろう、人生の理不尽さややるせなさを感じました。
毒親、自傷行為、貧しさ、別れ、落とし所が見つからなくて、一果が世界で活躍するバレリーナになると信じることでしか救われないラストでした。
バレーの美しさが切なさを際立たせ、草彅剛だから表現できたと思います。
演出では、アパートの部屋に映るネオンが薄幸さを感じさせ、草彅剛の女性の立ち振る舞いの上手さに俳優としての意気込みを感じました。
親子になる。
親子の愛情物語(ラブストーリー)
登場人物達のリアル過ぎる物語。
ラストの後ろ姿を見て中で生きてる事が分かり嬉しかった。
あと、多分コレは小説も読まないといけないヤツだ。
本屋で置いてない(売り切れか?)Amazonで注文しました。
とても良かった!
悲しくて、強い映画
いい映画だなと思った。好きな映画です。
好きなジャニーズ系の俳優としては草彅剛、二宮和也、長瀬智也、生田斗真、という感じだったのですが、最近、草彅くんはちょっと敬遠気味でした。
しかし、やはり草彅くんは安定していました。
最初は何か役にハマっていない気がしてて、「どうかな?」って思って観てましたが、1/4を過ぎたあたりから自身が慣れたのかわかりませんが「グッ」とよく感じられました。
それは途中でこの映画は表情の映画、動きの映画なんだなと感じ始めたらからかもしれません。
台詞回しとかではなく、この二つに決して多くない台詞を絡めていき、伝えてくる気がしました。
当然、踊りが柱の一つになっている映画なのでそうれはそうなのかもしれませんが、細かい所作、歩き方などが印象に残り、言葉ではない伝え方をされていると強く感じました。
細部に対する心遣いを随所に垣間見られて、やはり「言葉で語る」映画ではないのだと思いました。
出演は皆さんとても巧くてよかったですが、踊りは語る必要なく、やはり服部樹咲さんは存在感がありとても良かった。「この目を惹く感じ、良いな〜」感じ、監督はこの女優を見つけたときとても嬉しかったのではないかと思ってしまいました。
この映画のメインテーマ曲のように、繊細で優しいながらもとても力強い映画だと感じました。
「ヨシヨシ」と「キレイ」はとても心に残る名シーンだと思いました。
後、らんま1/2は面白い。
予告で期待しすぎてしまった。
インスタやネットを見ていると予告動画が流れて、Twitterでも芸能人の方が絶賛していたのでかなり期待値を高めてしまった。
これから観る方は何も入れないで映画館に行くことをお勧めします。
話の流れとしては、「LGBTの社会の目」と「いちかちゃんの成長」が交互に散りばめられていて
自分としては「LGBTの社会の目」は2割くらいで良かった。
いちかちゃんとなぎさの交流は、前半は良かったが後半がいまいち感情移入できませんでした。
草彅君の演技はとても良かったのでもう少し編集頑張ってほしかったなと思ったのが本音です。
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