劇場公開日 2020年9月25日

「「あるべき姿」のせいで、生きにくい社会」ミッドナイトスワン にっしんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「あるべき姿」のせいで、生きにくい社会

2020年11月25日
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鑑賞方法:映画館

たくさん泣いた。一果の踊りに泣いた。覚悟のある凪沙の笑顔に泣いた。ふたりの愛情に泣いた。生きにくさの中で、戦っている束の間の幸福に泣いた。愛情をかけられない親の悲劇に、哀れさを感じた。「あるべき姿」を押し付ける社会に、苛立ちを感じた。ここで描かれたことは、決して特殊なことではないと思う。男らしさや女らしさに悩んでいる人がいる。愛情を知らなくて育った人がいる。一果と凪沙が象徴するように、彼らに罪はない。だけど、「あるべき姿」が横行して、生きにくい社会がある。凪沙のいう「私たちのような人間は強くなくっちゃダメよ」って、それじゃあ辛すぎる。社会が反省しないといけないことだと思う。強くなくても普通の努力で、みんなが力まなくて生きられる社会がいい。内田監督の伝えたいことをこんな風にとらえた。

にっしん