「泣きたくて観に行って予想以上に良くて心が重たくなった」ミッドナイトスワン mu_u.さんの映画レビュー(感想・評価)
泣きたくて観に行って予想以上に良くて心が重たくなった
予告を見ただけでこれは泣けるだろうと予想していましたが、想像していたより心が苦しくなり、観終わったあとは身体が重くなった。
●良かった点
他の方のレビューにもありましたが草彅さんが本当に自然に演技されてて、実在する人のようだった。
切なそうというかあの何ともいえない表情が…凪沙のこれまでの苦労なんかを上手く醸し出してる。
また、一果ちゃん役の服部さんやりんちゃん役の上野さんが驚くほど演技がハマっててお上手でした。思春期独特の反発心というかツンとしたかんじ。うまくでてました。気だる感、嫉妬、不安、よく演じれていたと思います。
●もう少し表現して欲しかった点
1. 一果の、バレエに興味が湧く瞬間。
お試し体験したときの雰囲気から、未経験で見栄張ってやったことあるって言ってしまった感じだったのに、バレエに興味持つまでがえらい短かったなぁ、と。何度か覗きに行くとか昔から興味あった風な表現があったらもっとしっくりきたかなぁ。
2. 一果の母が「私変わったの」と会いに来た時。
そのあと連れて帰らなかったんだ?あれ?バレエ見に来たんだ?じゃぁ何であのとき連れて帰らなかったんだろ?と"?"だった。
無理やり連れて帰ろうとしてモメかける描写が欲しかったなぁ。「帰るよ!」「発表会まで待って!」みたいな。
3. 一果が発表会で失敗して母親が抱きしめに行った時、凪沙が会場から立ち去ったシーンとそのあと。
慰められてる一果をみて本当の母親がいいんだやっぱり…と少しやるせない感じだったと最初読み取ってたんですけどね。
他の方のレビューに「母親になる決意をして手術をして堂々と迎えに行った」とあって色々納得。
あの子を支えてあげる母親になりたい→戸籍を女にしないと正式な母親になれない→性転換手術しないと母になれない
ってことで性転換手術したんですね。だから迎えに行ったときはトレードマークのベージュトレンチではなく赤のトレンチで決意表明してたんですね。ここはちょっと読み込めなかったです、、もう少し覚悟決めるシーン欲しかった。瓶詰めの貯金箱とかで。
4. 一果が卒業後会いに行った際、合併症らしき状態を「サボったらこうなった」とあったんですがここは単純に知識不足で、メンテナンスさぼったらこうなるの?そしてこの状態をボランティアでお世話してくれる人がいるの?というので"?"でした。
5. 卒業後母親がすんなり東京へ行かせたのとバレエ講師の出張は凪沙が金銭的に援助してたんでは…と思ってます。
自分のメンテナンス・食費ケチって、安い家賃の部屋に引っ越してどうにか工面したのでは…
赤いコートで振り返らず闊歩したは、いつか連れ戻す!というその決意も表したのではと思ってるんです。
さすがにバレエ講師も東京からボランティアで通うとは思えないし(しょっちゅう来てる言い回しだったし)、
あの母親がお金出すとも思えなかったので。
あと凪沙がマンション引っ越す理由が他にない。
でもそれを匂わす要素が低いので、もしこの読みが当たってるとしたら術後の描写ももう少し欲しかったです。
ゴチャゴチャ書きましたが、すごく良かったのはよかったんです!笑
もう一度見たいと思えた映画は久しぶりでした。
みなさん絶賛だったので、敢えてで書きました。