「言葉が、感情が、重くのしかかる」ミッドナイトスワン kiyさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉が、感情が、重くのしかかる
少し関心があるテーマだったから観てみようと、最初は軽い気持ちでした。
人間誰しも自由に生きる権利はあると、いっちょ前にある程度理解しているつもりでしたが、
作中の感情を目の当たりにして、そんな簡単なレベルの話ではなかったとすぐに気づかされました。
時折吐き捨てるように放たれる言葉はどれも重く、当事者にしか分かりえない苦悩に胸がぎゅっと締め付けられっぱなしでした。
凪沙と凪沙の仕事仲間、また一果と一果の母親や友人も、それぞれに生きづらい事情を抱えており、時に感情がぶつかり合ったり、時に今までなかった感情が生まれたり。
幸せや愛の形は人によって全然違っていて、凪沙もまた一果と接していく中で、
心境は変わっていっても、トランスジェンダーとしての苦悩が付きまとう描写が、
なんともやるせない気持ちになりました。
草なぎ剛さんの悲痛ながらも微妙で複雑な感情の表現がさすがだと思いました。
服部樹咲はエンドロールで新人と知って驚きました。堂々とした感情の起伏を表現されていたと思います。
この映画は作品としての評価だけで終わってはいけないと思います。
いつか青空のもと羽ばたける日が来ることに繋がって欲しいと思いました。
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