「引き込まれた」ミッドナイトスワン 真弓さんの映画レビュー(感想・評価)
引き込まれた
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今年観た映画ではNO.1の作品になりました。テネットは莫大なお金をかけてるだけあり映像が凄く良かったのですが、ミッドナイトスワンは、世界観に見事に引き込まれた感じです。誰しもが持ってる苦悩をドキュメンタリーを観てるかのようで、心に刺さりました。何といってもスクリーンに草彅剛はいなかった。全てのキャストが実在し、そこに居るかのような感覚。それが余計に世の中の不条理さや、偏見と異質な者を受け入れない生き辛さを感じて泣いた。こんな世の中ではダメだと分かってても、どうすることも出来ないもどかしさ。違う方向に導いてあげる人がいないのは、この日本の現実と思うと悲しくなった。海のシーンはとにかく美しく号泣。凪沙のコートと赤いブーツを履き、会場に向かい、ラストの白鳥の湖を踊るバレエのシーンも泣いてました。二人が一緒にいられた時間は短くても、確かに母と娘だったし、記憶と心に刻み混んだ一果の中に凪沙は確かに存在していく。最後の踊りが全てをあらわしていた。最後の解釈は色々観た人により違うと思いますが、一人でも多くの人がこの作品を観て、世の中の意識が少しでも変わる切っ掛けになればと思います。十人十色で同じ悩みはなくても、生きていれば、何かしらの悩みや辛さを抱えているもの。他人を拒絶せずに助けてしまう凪沙の心は美しかった。一果という光に出会え、母になれた事は幸せだったと思う。現状の幸せを噛みしめて生きたいと励みになった。この作品を作った方々、内田監督に感謝です。世界に広がれば良いと思う作品です。
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