「誰のための映画か?」ミッドナイトスワン HirosHiさんの映画レビュー(感想・評価)
誰のための映画か?
過剰セリフ、過剰演出、過剰音楽…。
凪沙の「よしよし」×3「…綺麗」×3など、一回言えばいいことを何回も言わせたり、バレエの先生の「…変な子」、ラストの「見てて…」など観客に想像させれば良いところを独り言として喋らせる。
三者面談での先生の対応、警察官の機械的な仕事ぶり、就活での、あまりにも失礼な面接官の態度など、ザ ・ステレオタイプすぎる描き方には違和感を感じざるを得ない。
そして要所要所で、さぁ、泣いてください、とばかりにかかる音楽。呆れるほど説明的。
役者とプロットは、いいだけにもったいない。草なぎ剛の役作りと、新人・服部樹咲の佇まい、思春期特有のおでこニキビ 、バレエには目を見張るものがあった。
この映画を観て1番強く感じたのは、現実のセクシャルマイノリティの人達に対して失礼だということ。LGBTを人生の底辺みたいに描くべきではない。始終、社会の日陰者として描き、何をしても上手くいかず、親戚にすら罵られ、挙げ句の果てに股間を血だらけにして死んでしまう。あれじゃ凪沙さんは浮かばれないよ。
弱いものを慰み者にしたお涙頂戴番組のように趣味が悪い。この映画を見てセクシャルマイノリティの人たちがどう感じるか?
マジョリティの側から作った映画にしか感じないから胸糞悪い。過剰な演出やセリフは、マジョリティを感動させるためだけのもので、LGBTへの理解や共感は感じられない。
この映画を観てただただ感動してるようじゃ、果たして本気で彼らに寄り添えてるのか疑わしい。
彼女がしっかり女性として生きて行くために、手術したのじゃないの?って思い、ラストが本当に残念でした。女の子を預かる、預からない関係ないと思うし、母親になるならなおさら強く元気でいないとって思いました。