「弱さを肯定しない、弱さを否定しない、美しい映画」ミッドナイトスワン mmtgさんの映画レビュー(感想・評価)
弱さを肯定しない、弱さを否定しない、美しい映画
ネタバレなしの前評判を漁るほど映画館で観たい気持ちが募って、今日足を運んで来ました。観ているうちにいつの間にか、静かに、凪沙に心が寄り添っていき、ラストシーン、凪沙が自分に乗り移ってきたかのような思いでスクリーンを見ながら涙を流していました。バレエを踊る一果の姿はどのシーンもとても美しく、スクリーンで観て良かった!と強く思ったところです。
一果と出会うまで、様々なことに踏み切れなかったのだろう弱く優しい凪沙。そんな自分自身に苛立ちながら生きてきた凪沙が、踊る一果に強く心惹かれ、一果を思うことで強くなれることを知った。しかしそれもまた側から見れば依存とも言える凪沙の弱さであるところが、何とも悲しく、美しい。
トランスジェンダーが、というより、人の弱さ、そこから来るどうしようもない運命について、肯定も否定もできないと思ってしまったというのが、観たばかりの今の正直な思いです。不幸だったのか幸せだったのかも決められない、決めてしまってはいけないと思えるところが、この映画の魅力なのかもしれません。
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