「愛され方が分からない少女。」ミッドナイトスワン bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
愛され方が分からない少女。
朝食をちゃぶ台から払い落とした一果は、愛され方を知らない少女。静かに抱きしめた凪沙は「愛されたい自分」にすらなれない女。自傷行為は不安から逃れる為の唯一の手段。誰も愛し方を教えなかったから、愛され方が解からない一果を、無言で抱きしめる凪沙に芽生えてしまった母性。でも、所詮彼女は、朝になれば元の姿に戻ってしまう定めの「夜更けの白鳥」だよ。って言う、この辺りが染みた。と言うか、東広島の広島弁は、もっと汚ねーから。一果も健二も、まだまだだねw
個人的な話ですが、めでたく刺さる。ここのところ何を見ても刺さらない日々。前々日は浅田家で何箇所か刺さるも速攻回復。致命傷ゼロ。なんで?この泣かす設定で役者さん最高で、刺さりが浅いなんて信じられへん。もう、病気なんじゃないかと不安に包まれ二晩を過ごしました。が。良かったぁ、刺さった。感受性、まだ死んでないw
凪沙が階段に座る一果に、オデットのカチューシャを被せるシーンでグサりでポロリ。夜の公園で踊る一果の姿にグサ。砂浜で幻影に向かって可愛いと言う凪沙が、一果に踊りをせがむシーンでグサリ。
ニューヨークにバレー留学とか、ちょっと盛り過ぎ感はあるけれど。
ミッドナイトスワン=暗部/Fakeのバレリーナ、と、檜舞台の白鳥=陽のあたる場所/Trueのバレリーナ、の対比。雑居ビルのオカマパブの楽屋で始まり、NYの劇場の控室で終わると言う吹っ飛び進化のお話なんて、想像してませんでしたから、意外性があって良かった。
いずれにしても、刺さる心が残っててほっとしたぁw
良かった。とぉっっても。
(追記してネタバレに変更)
ホルモン注射→子供は嫌いと言っていた凪沙に母性が芽生える→その母性が一果に向く→男に愛されない/愛せる男性もいない凪沙は母になるために女になろうと思い始める→タイで性転換手術→一果を迎えに行く
「強くなりなさい。私達みたいなものは一人で生きて行かなきゃいけないから」みたいなセリフがありました。凪沙は、自分に言い聞かせてるだけだったんでしょうね。
全くの「一人」では強く生きられない。けれど多分、一果は、今後一人でも強く生きて行けるでしょう。と言うか、一果は自分一人だなんて思ってない。凪沙のコートを着て、凪沙の赤いハイヒールを履いて、颯爽と劇場に歩み入る姿は「私は、もう一人じゃない」って言ってる気がして。なんか。凪沙を真似てるんじゃなくって。一緒にいるのだと。
ふふふぅん!ってなりました。このラスト、刺さりまくったかも知れませんw
でも、しつこく言うけど、なんでNY?ジュリアード?ハードル高すぎひん?撮影陣がNYに行きたかっただけとか?w