「ノスタルジックな映画」ミッドナイトスワン Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
ノスタルジックな映画
立ち上がりゆっくりなんだよね。アバンタイトルで丁寧に草彅剛と服部樹咲の事情を説明してから入るの。いまの作品でこの丁寧さは珍しいね。じっくり観てくださいってことだと思う。
そこからは、足りないもの同士が一緒に生活して、互いになにかを得てく話なの。でも服部樹咲の才能が全てを解決しますという話にもみえた。才能なかったら変化できないね。
前半は草彅剛のトランスジェンダー設定も余り活きないのね。普通に都会でうだつの上がらない遠い親戚設定でも成立する話。
バレエの発表会で「やっぱり最後はお母さんか」ってなってからトランスジェンダー設定が活きていくるの。
でもなんで「やっぱり最後はお母さん」って思ったんだろうね。まあ、そういうものなのか。
そして草彅剛は性転換手術をし、服部樹咲を迎えに行くんだけど、付いてきてくれず、服部樹咲は中学の卒業式を迎えました。
ここ、水川あさみ(服部樹咲のお母さん)が頑張ってるよね。ちゃんと中学卒業させてるし、東京からダンスの先生呼んでレッスンも受けさせてる。それでダンス留学も決めるまでになってる。だから服部樹咲は草彅剛に付いていかなくて正解だったんだよ。
それで中学卒業した服部樹咲が草彅剛に会いにいくと、たぶん性転換手術がうまくいってなくて、良く解らないが草彅剛は死んでしまうと。
トランスジェンダーの苦しみが、この作品では、良く解らないのね。途中、男性相手の風俗に堕ちた同僚が「なんで私たちばっかりこんなに苦しむのよ!」って叫ぶけど、それは選んだ男が悪いからと思っちゃったな。貢がせる男にいれあげて風俗に堕ちるのは普通の女の人でもあるよね。
そして服部樹咲の同級生と、草彅剛が死ぬんだけど、これ死ななくても物語的に良くないかな。人が死んだら心は必ず動くけど、だからこそ意味なく死ななくて良いと思ったな。
《仁義なき戦い》って、がんばって生きてる人が死んじゃうんだけど、この映画は《仁義なき戦い》のころの作品につくりが似てるノスタルジックな映画だなと思ったよ。