「生きる光として」ミッドナイトスワン conpeitoさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる光として
心が痛くなった。
途中、何度涙がこぼれそうになったことか。心に響いた台詞が観終わった後も残ったままで消えていかない。
凪沙の視線の先に、ふとした仕草に、ハイヒールを鳴らし歩く姿に。一果の表情、そしてもちろん彼女の踊る姿に。
それにしてもスクリーンに映るバレエのシーンはなぜにあんなにも美しいのだろう。この作品に限らず。踊るという行為は人間の内なる叫びから来ているのか。
LBGT、ネグレクト、母性愛、貧困、生まれついての環境、持って生まれた才能……考えてしまう事柄がありすぎて少々混乱気味。
ただ、虐待されている中学生の女の子を普通は親戚のおじさんには預けないだろうとか一果と母親との関係性とかそのあたりの設定に疑問点はあったけれど。
人生は思い通りにならないことばかりだ。
もし、もうどうにも自分のためには生きられないと思うのなら、誰かのために生きるという感覚を確かめてみてもいいのでは。モノやコトではなくて温もりのある誰かのために。
生きることから離れていかないで。
時おり挟まる東京の夜景のキラメキと全編に切なく流れるピアノの音色が美しくも悲しい。
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