「草彅剛の仕草の妙」ミッドナイトスワン a0064さんの映画レビュー(感想・評価)
草彅剛の仕草の妙
トランスジェンダーものを見るといつも思うのだが、女性らしい仕草は女性だから、男性らしい仕草は男性だから自然にしてしまうものだという文化が、映画の底流を流れていて、その文化を役者が越えていく矛盾が面白い。
鑑賞者を、「凪沙は中身は女性だから、当然女らしい動作をする」というふうに思い込ませるために、男性である草彅剛は、女性らしい動作を研究して、映画の中だけであれ見事に再現している。でも、そんなことができるなら、仕草って実は性別によって規定されているのではなくて、自分のジェンダーアイデンティティによって自然に学習したことの表出なのでは?と思わせてくれる。ここにこそ、トランスジェンダーへの奇異な眼差しを和らげてくれるヒントがあるのではないか?悲しい物語だが、この作品でトランスジェンダーへの理解がさらに深まって欲しい。スターでありながら、難しい演技もさらりとこなせる彼だからこそ、多くの人に訴えかけることができると思う。本作を娯楽作品と思うなかれ、マイノリティーへの貢献は計り知れない。
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