無垢なる証人のレビュー・感想・評価
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キム・ヒャンギの演技にやられた
殺人の疑いをかけられた家政婦の弁護を請け負った主人公が、裁判の証人となった自閉症の少女と交流していく物語。
序盤に若干の違和感を覚える。少女が検察側の証人だからだ。弁護の依頼人を犯人だと証明するための証人ということになる。彼女と交流し理解していくと弁護に不利になるのでは?と思っていたが、なるほどうまい展開だった。そこに主人公の価値観や立ち位置、父親や思いを寄せている女性との関係も絡んでいく。
ふーーん、なかなか面白いじゃないのと油断していたら最後の方で涙腺を一斉攻撃されてしまった。やられた!
ミステリーとしての驚きは大きくないし、法定に立った少女を尋問するのは主人公ではなく上司だったり(嫌な役割を主人公にはさせない)、たしかに甘さはある。でも十分いい映画だった。とにかく証人になる少女を演じたキム・ヒャンギがいい。
みんな人と違う
殺人事件の唯一の目撃者が、アスペルガー症候群の女子高校生ジウ。
弁護士のスノは彼女の証言が証拠となりえるのか調べるために近づくが…。
アスペルガー症候群の特徴は人によって違い、彼女の世界に入るまで苦労するけど、良い人になりたい、人を助けたいというジウの人となりを知り、自分は『良い人』であるのかを考え悩みながらも進むスノ。父親の介護、借金、独身で結婚できない(あんなにカッコいいのに!)と八方塞がりの中にお父さんからの手紙!
あらすじだけを読むとお涙頂戴物みたいに聞こえるけど、奇をてらわず、ジウとスノ、その二人を取り巻く人々が丁寧に描かれていて、観ていてとても心地良い。
日本もこんな素敵な映画が作れたらいいのに。
イ検事が星野源に似ていると思ったらそうとしか見えなくなった(笑)
キム・ヒャンギが素晴らしい
良い人であるということ
検察側の証人で発達障害の主人公ジウと、被告弁護人スノの交流や事件の経緯、裁判の進展を見つめながら、良い人間であるという普遍的なテーマを扱った作品だ。
これまで、発達障害がテーマに組み込まれた作品では、
発達障害であってもなんら僕達と変わりない人であること、
発達障害の人にも様々な才能があることが、
物語の中心になっていたように思う。
同じ韓国映画の、「それだけが、僕の世界」では、ピアノの才能に溢れたサバン症候群のジンテと兄ジョハを中心にした家族の物語りだった。
そして、この映画は、
ジウの抜きんでた才能や、少女であるあどけなさ、優しい家族を見せつつ、ジウの正しく…、つまり、良い人であろうと貫かれる姿勢と、それに突き動かされるように、対立する立場にありながら、自身も正義とは何かを考え、今の地位を投げ打ってでも、真犯人を見つけようとするスノの心の動きに、胸が熱くなる。
既存のものの見方から逃れることが出来なかった対比から、良い人であるとは何なのかという問いが、2人を磁石のように結びつけていく。
日本映画、もっと頑張れ!と言いたくなる。
見て良かった。最高に感動しました。
弁護士にはなれなくても
15歳のアスペルガー症候群の少女の目撃情報のみで立件された殺人事件で、自殺か殺人かを争点に、証言の信憑性を問う為に、少女を証言台に立たせ様とする弁護士と少女の話。
被告人と被害者が揉み合い争う姿は、殺そうと襲っていたのか、自殺を止めようとしていたのかという流れから、弁護人が証言を崩す為に少女を法廷に引っ張り出そうと画策していくストーリー。
被告人の無実を証明する為に、目撃者と打ち解けて裁判での証言に導こうとする行動は、弁護士としては紛うことなく正しい行動だけど、いざ、裁判となると人としては嫌悪感を感じる様になっていく。
まあね…上手く行き過ぎではあるし意外性もないしあざといんだけどね…
やっぱり根は良い人な弁護士と、アスペルガー症候群が故の壁はあるものの素直で純粋で優しい少女との交流という構図は、温かいし可愛らしくもあって沁みてくる。
ご都合主義満載だけど、オチへの流れは優しさに溢れていて目頭が熱くなったし、そんな弁護士いるかよ?という思いは皆無ではないけれど、エンタメドラマとして非常に面白かった。
どう答えますか? ”あなたはいい人?”と聞かれて
自閉症をテーマにした作品と聞いて、軽々しく中途半端な描き方で映画にしたら、後味の悪い茶番劇で終わるのではないかとか、自閉症を理由に言葉にできない酷いいじめを見なけれいけないのかとか、その一方では、韓国の映画としてどのように表現をしているのかを見たい気持ちなど観る前から非常に色々と想像をしてしまい、その事で心の中で力こぶをギュ~ッと作ってしまう。仮に、もしこの映画が思わず良い作品なら…考え込んでしまわないか?
映画も8分を過ぎようかとしたときにジウが向かいの家の異変を知ってしまう。その後、その家で起きた殺人事件の容疑者として、家政婦が逮捕されるが、彼女はあくまでも家主の自殺だと主張している。
I have no money to give,
but I'll cook for you if you help me.
孔子の言葉”四十にして惑わず”なんて気の利いた言葉なんて弁護士スノには存在せず、父親の事、結婚の事、立身出世の事、父親から引き継いだ借金の事・・・・・事、事だらけで何一つ解決しているものがなく、更にまたややこしい案件を抱えてしまう。そして気になる人の存在も? …… 本当は、この件を解決してほしい
そのスノは、唯一の目撃者、ジウに証言台に立ってほしくて彼女の証言能力について専門医に相談すると
Do you feel her testimony is admissible?
What if I put her on the stand?
Communication will be tricky.
She lives in her own world.
It'll be tough for you, and for her, too.
ジウにいつも付き添っている友達から
Start with things she likes. She'll talk after a while.
Puzzles and quizzes. That kind of stuff.
というアドバイスをもらったスノ。しかし人間、不思議なもので、人を気遣っている者が、その人をいじめたりしている。「あなたはいい人です。」なんて言われていたのに軽いノイローゼ気味の人間不信的疑心暗鬼に....。
プロットとしては、人の能力というものを最大限に理解し、人として事件の真相を解き明かし、弁護士としての前に人としてどうあるべきかということを真摯にしかもストレートに描いているところが、多くの方が共感する部分かもしれない。
映画も終盤に近づき、父親がスノに送った手紙には
Dear son
I almost forgot your birthday.
Thank you for being born.
You've been the true joy of my life.
When you turned 16, you told me you wanted to be a lawyer.
With your energetic face,
you said "I want to do good things".
......................................................
そして "Yikes, that's just pathetic." という言葉の存在がこの映画の次のプロットポイントとして人の裏の顔と心理を追求するスノの最後の裁判への布石となっている。
最初、金の入る少し嫌なことをする悪徳弁護士か?金のない正義感の弁護士か?シェークスピアか?そう極端に振り子のように迷わなくてもいいようなものだけど....見るからに優しく物腰が柔らかい人、スノを演じているハンサムガイのチョン・ウソンの演技もさることながら多くの方が口をそろえるように、自閉症のジウを演じているキム・ヒャンギの演技の質の高さ。そんな彼女、若干20歳にして芸歴は14年ということで、同年代のエル・ファニングと変わらない経歴だけでなく、彼女の演技力が将来も嘱望されている理由の一つとなっている。
スノの父親役のパク・クニョン。この映画のスノよりも優しさを独り占めにしているし、ジウの母親役のチャン・ヨンナム。韓国時代劇「太陽を抱く月」では巫女のアリを演じていたけれどもその時よりも自然で押し付けがましい演技ではなく、しかも若く見えていたので巫女というより魔女なのあんた?
自閉症を扱うことによる弊害のようにただ批判する声も聞こえてくるけど、映画自体のシナリオや物語の進行具合は納得できるのじゃないかなと思える。
スノさん、あなた、弁護は最高でも恋愛は......フフフ
I don't know what I'll do from now on, but one thing's clear:
I don't think I can do it without you.
なんて甘い言葉で最後は締めくくられ、映画の幕が閉じます。
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