「コンフィデンスマンたちのいい話」コンフィデンスマンJP プリンセス編 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
コンフィデンスマンたちのいい話
ダー子、ボクちゃん、リチャード。天才コンフィデンスマン・トリオが仕掛けるコン・ゲーム。
初めて見た前作が面白かったので、この劇場版2作目も続けて見ちゃった。
さてさて、新たな“オサカナ”は…
シンガポールを牛耳る世界有数の大富豪、フウ一族。
その当主レイモンドが他界し、3人の子供、長女ブリジット、長男クリストファー、次男アンドリューが総額10兆円と言われる遺産と新たな当主の座を狙うが、各々性格や振る舞いに難あり。
そんな中、執事トニーが相続人として発表したのが、隠し子ミシェル。
が、存在どころか誰も顔すら知らず、世界中から“ミシェル”が名乗りを上げる。
これに目を付けたダー子。
街で偶然出会った詐欺師仲間の娘、コックリを新たな子猫にし、お馴染みの仲間とシンガポールへ。
10兆円を騙し取ろうという訳じゃない。
レイモンドの愛人と隠し子と称して、手切れ金を頂く寸法。
ところが、DNA検査も上手く騙し、正式に相続人と認められ、来るお披露目に向け、ダー子も母親として共にプリンセス教育を受ける事に…。
教養、振る舞い、ダンスなどなど、毎日毎日勉強&レッスン。
ダー子はヘトヘトうんざり。
一方のコックリは言われた通りミシェルを演じ、勉強やレッスンも。
母親の死後、引き取り手の詐欺師にこき使われていたコックリ。本名は“こころ”だが、何事にもコックリ頷く事から“コックリ”と。
ちょっとオツムも弱いのか…? 今回の仕事の事もちゃんと分かっているのか…?
命の危険すらあるのに。実際、姉兄弟から嫌がらせ。
が、健気に頑張るミシェル。
そのピュアな姿と心は周囲を動かす…。
ダー子とコックリを不審に思ったトニーは独自に調査。本物の愛人を探し出す。が、ミシェルと名付けようとした子供はすでに亡く…。
嘘である事がバレた。しかしトニーはその事を自分の胸だけに秘め、様子を窺う…。
プリンセスとして洗練されていくコックリ。
見事なスピーチを披露。またこの時、フウ家に恨みを持つ者がアンドリューを捕まえて奇襲。コックリが思わぬ行動=優しさを見せる。
トニーの中で何かが決まった。忠実で、フウ家を守る為なら非情な手段も厭わないトニー。誰よりもフウ家の行く末を案じている。難ありの3姉兄弟に継がせていいものか…? 本物の相続人は…? そうではない。血筋も関係ない。誰がフウ家の新当主として相応しいか。
3姉兄弟を見捨てる訳ではない。父レイモンドからの手紙。愛情不足だった事、フウ家に束縛させてしまった事など後悔の念と、本来やりたかった自分の道を行け。フウ家の呪縛からの解放。居なくなってからの父親からの子供たちへの愛情。
トニーはまるでレイモンドから託されていたようだ。子供たち各々の幸せと解放と、相応しい新当主。
それがこんな私でいいの…? 不安がるコックリ。
相応しい者は現れるべくして現れたのだ。
信じれば、嘘だって本当になる。
ダー子…いや、“母”からのエール。
コックリの成長と、シンデレラ…いや、プリンセス・ストーリーでもあった。
トニーの新当主相応しい者探しと、コックリのプリンセス・ストーリーが今回の主軸。
なので前作のような騙し騙されのコン・ゲームを期待するとちと薄味かもしれないが、ちゃんと騙しとお宝にロックオン。
フウ家を継ぐ者が持つ玉璽。
それを狙ってダー子たちだけではなく、赤星やジェシーも。大集合!
ジェシーと組む?組まない?のダンス。
赤星に追い詰められ、ダー子たちは殺し屋が投げたナイフを受け…という芝居。
今回も赤星は騙された。手に入れた玉璽も偽物。ダー子たちを殺したと思い、喜ぶと共に悲しみ…。が、実は生きていてまた騙されたと知ると、またまたお怒りと共に笑みがこぼれる。もうそういう好敵手関係。
本物の玉璽はダー子が盗んで…いなかった。盗まなかった。
新当主の為に。それがコックリになる事を想定して。
ダー子も新当主探しに助力。…数年前から。
遡る事2年前、あの香港での時…。とある屋台に跡継ぎが居ない事を知ると、ダー子は妙案を。
それを聞いていたのが…!
長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、小手伸也、江口洋介らレギュラー陣の好演はますます好調。
関水渚のキュートさ。レイモンド役でもいい柴田恭兵のいぶし銀の存在感。
豪華SPゲストもスケールもアップ。
公開は2020年夏。この年に三浦春馬と竹内結子が亡くなったと思うと…。
前作同様痛快なコン・ゲーム。
であると同時に、今回は何だかいい話でもあった。