ライトハウスのレビュー・感想・評価
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人が発狂するまでのAZ
モノクロで真四角な画角。
これが最大のキモ。
スタンダードサイズでもないんですね。
このサイズが見ていて閉塞感を与え、
ずっと窮屈でリラックスして観られない。
暗い部屋。
狭い部屋。
連続する音。
金属音。
重労働。
まずい飯。
くだらない説法。
孤島(閉ざされた場所)。
話が交錯して真実が分からない。
これら全てカルト教団が信者を
洗脳するための要素だそうです。
この映画を一見すると
プロメテウスの話かな?ってなるけど、
そっち方面でイメージ膨らませると
全然面白くない。
知識人の自慰解説になっちゃう。
この映画は二人芝居としてスゴイ。
それだけで見た方がよい。
そしていつの間にか、
その閉鎖空間に見ている自分も
入ってしまうような感覚。
それがこの正方形の画角。
爺さんは初めから狂人なのか。
若造はどこから狂い始めたのか。
いや、狂ってるのは見ている自分なのか。
そのカタルシスに身を投じ、
灯を見た週間に発狂してしまうのか。
鳥に体をついばまれている錯覚に陥るのか。
そして鑑賞後、ここは孤島の灯台じゃない。
と、我に返る。
あの北欧の童話はキャラクターの可愛さばかりが強調されるが、実はダークファンタジーだ
あの北欧の童話の一巻を大いにリスペクトしていると僕は感じた。孤島 灯台守 怪物 バラバラな人格 完全にリスペクトしている。ディストピアなファンタジーだ。あの北欧の童話はキャラクターの可愛さばかりが強調されるが、実はダークファンタジーだと知るべきだ。『洪水』『彗星』『冬』そして『孤島の灯台守』
狂気
1801年に実際に起きた事件をもとにした作品。
もともと気の合わない2人だけで4週間の灯台守。確かに気が変になりそう。おまけに年配の先輩は灯台の灯り守はやるがそれ以外の重労働は全て若者に押し付ける。ちょっと酷いよな〜。ペンキ塗りの途中で落下しても、そのまま放っておくなんて酷すぎる。
待ち望んだ4週間、嵐のせいでさらに延長。精神的に参るよな〜。
木こりをしていた時に犯した罪の贖罪として、灯台守の任務の辛さ,精神錯乱という罰を与え海のトリトン王の描写やラストの海鳥に突かれる場面があるようだけれど、辛さに耐える日々と錯乱しつつある幻覚や人魚との妄想などの織り交ぜ方も絶妙。
カラーではなくモノクロであること、画面のサイズ等、とても効果的。この元になった事件の後から灯台守は3人になったそうで、映画「バニシング」はその後なんだな。
海鳥、怖いです😬
ベテランと新米の灯台守が衝突を繰り返しながらも最後の夜を迎える。 ...
ギリシャ・トキシック・マスキュリニティ
ギリシャ神話ベース。
非常にうまい。プロメテウスが火を盗み、怒ったゼウスが罰として生きたまま鳥に臓物を食わせる話を灯台守に置き換え、トキシックマスキュリニティを交えながら40年代映画のようなざらついたモノクロで表す。
片目のカモメが元相棒かつ悪い前兆だったり、ハワードフィリップスラヴクラフトのクトゥルフのようなキモさ、酒が絡むことによる現実との境界線など見どころがたくさん。特に2人の喜怒哀楽の演技は最高。
本作で灯台はペニスのメタファーであるが、灯台にペンキを塗らせて(奉仕させて)落っこちて顔射させるシーンでめっちゃ笑った
わからない。
鑑賞動機:評判8割、デフォー&パティソン1割、A241割。
簡単なストーリーで複雑怪奇
ザ・A-24映画。極めると映画はこうなるのか。
本作は過去製作されたどんな作品の中でも最もスケールの小さい作品ではないだろうか。なぜなら、灯台守の男二人が永遠といがみ合い、酒の力で仲良くなり、また喧嘩をするだけの映画だからだ。だが最初から最後まで釘付けになってしまうのは何故か。全編モノクロという事もそうだが、画面サイズが小さくなっており、観ている我々はその場を覗き込んでいる様な、一種の閉塞感を感じる状態で鑑賞しているからだろう。
その二人の様子は、デリカシーの欠片もない先輩風を吹かす初老の男性と、寡黙で何か秘密を抱える若者。彼が抱えている秘密が後半に生きてくるのだが、衛生的とは思えない環境下も相まって、この時点で観客も不快感を既に感じているはずだ。
そして、若者に降りかかる災難と不気味な現象の数々。これらが現実の物なのか、はたまた彼の妄想なのか、鑑賞中に誰もが疑問に思うそれは、最後まで明かされる事は無かった。観る人によって、全く違う解釈になるのだろう。
絶対に灯台には近付けさせない「先輩」と、次第に灯台に固執していく若者が後半に差し掛かるに連れて狂気さが際立っていく訳だが、酒を飲んで二人で踊っているシーンなんかはかなり異常だった。そこで明かされる真実と細かい伏線の回収。支離滅裂なストーリーに見せかけ、緻密に練られている様だ。まず万人受けする作品ではないが、幽霊やゾンビよりも怖いのはやはり人だ。あのラストシーンは、人であるが故に陥った闇の末路を象徴する為のものなのでは無いかと思った。
「ウィッチ」の監督だが、独創的な設定と世界観はこの先も爆発するのだろうか。またこういう逸材をウォルト・ディズニー等の会社が放って置くのだろうか。これから先が楽しみである。
悪夢の灯りが人の狂気をさらけ出す…
1890年代、米ニューイングランドの灯台が立つ小さな孤島。
そこに灯台守としてやって来たベテランの男と新人の男。
邦画だったら人情と漢涙の作品になりそうだが、
気鋭のA24スタジオ製作、『ウィッチ』で高い評価を得たロバート・エガース監督、ウィレム・デフォーとロバート・パティンソン激突。
感動作になる訳がない。
見る前の印象は極限状態下の心理スリラー。開幕は往年の怪奇ホラー。そして作品は、見る者を狂気と幻想と戦慄の悪夢世界へ惑わしていく…。
絶海の孤島。島にあるのは生活の為のオンボロ小屋と灯台のみ。
そこに男二人。
相性悪く、初日から衝突。これから4週間も…。
ベテランのウェイクは威圧的な性格で、スーパーパワハラ。雑用は全て押し付け、「わしのもんだ」と灯台最上部の灯室には一歩も入れさせない。
新人のウィンスローは寡黙な性格。が、時折反抗的。沸き上がる不満や怒りを抑えつつ、真面目に黙々と雑用をこなしていたが…。
あれやこれやと口うるさくダメ出し。…いや、それならまだ優しい。
罵り。「若造」と名前ですら呼ばない。
酒飲みで、かつて海に出ていた事や海の神話を自慢気に得意先に話す。しょっちゅうこく屁もイラッ!
掃除なども自分が納得するまで何度でもなり直しさせる。
口答えは許さない。絶対服従。
仕事ぶりの評価も日記に記され、彼の一言や気分次第で、給料や解雇すら決まる。
何故こんなクソみてぇな仕事を選んじまったのか…。
辞めたくてもここは絶海の孤島。島から出られない。
通る船は島から遠く過ぎ去っていくだけ。ボートはあってもこんなんで…。
まあ、いい。4週間。4週間我慢すれば、いい金貰って、クソみてぇな島と仕事、何よりあのクソジジイとおさらば。
だったのだが…
突然の大嵐。
それにより航路が絶たれ、島から出る事が出来なくなってしまった。
交代要員もナシ。
つまりは期間延長。嵐次第でいつ終わるか分からない。
外界とも完全遮断。食料も尽きていく。腹を満たすは、酒。その量がどんどん増えていく…。
最低最悪、地獄のような設定がさらに究極にまで整った。
ここから二人の鬼気爆発の関係が嵐の如く…。
ウィレム・デフォーvsロバート・パティンソン!
近年、これほどの狂気すら感じる演技対決を見た事がないってくらい。
その横暴さは勿論、次第に声も顔すらも見たくなくなってくるデフォーの圧巻の演技。独裁者のようでありつつ、何処か惨めで愚かな哀れ人の隠し味も滲ませる。悪役は十八番だが、それらとは全く違う、どの役よりも恐ろしかった。
対するパティンソンも素晴らしい。序盤の抑えた演技、徐々に徐々に込み上げてくる怒りと反抗心、そして遂にの感情爆発。様々な感情を入り乱れる難役を見事に演じ切った。特に中盤からのラストにかけてまでの彼の変わりようは凄まじく、終始圧倒。新コウモリヒーローに抜擢されたが、そのヴィランでもイケそう。
いきなり気まずい初日の夜食の席。
衝突。途切れる事ないピリピリムード。
罵り合い、怒鳴り合い。
正気と狂気。その狭間に蝕まれていく…。
キャストも全編通してほぼ二人のみ。二人のキャリア最高と言って過言でもない渾身の演技は必見!
往年の名作のような画面サイズ、モノクロ映像。
このモノクロ映像がとにかく、恐ろしく、感嘆するほど美しい。
往年の名作怪奇ホラーを彷彿させる雰囲気に開幕から魅了された。
見る者はさらに混沌の中へ。
神話や古典の引用。
ウェイクが何度も警告するカモメの存在。
島に着いた時から鳴り響く灯台の音、不穏な音楽…耳を塞ぎたくなるような不協和音。
そして我々を悪夢の世界へ誘うものとして鮮烈に印象残すのは、ウィンスローが夢や幻想で見る人魚や異形のモンスター。
これら現実と幻想の境界線の象徴か、己の内に潜めた“何か”か。
全てに於いて、ロバート・エガースの才気が炸裂する。
人は何処まで狂気の中に堕ちていくのか。
支配する者とされる者。
が、ある時を境に立場が逆転。
ウィンスローの過去。素性。そして本性…。
ウェイクが性悪なら、ウィンスローは病悪。
大酒飲み。性格も豹変。
凶暴になり、罵倒罵倒罵倒!罵倒し尽くす。
そんな彼が抱える過去に犯した罪…。
一度解き放たれた本性は、もう逃げも隠れもしない。
惨めさも哀れさも恐ろしさも全てさらけ出す。
もはや“倍返し”どころどはない。人が人を支配する。人はあそこまで恐ろしい姿になり得るのか。
そしてまた再び…。
その狂気を止める手立ては…?
もう一つしかない。
死を以て。
あのラストシーンは衝撃的で皮肉的でもあった。
まるで、この島が愚かな人間に罰を下したようだ。
並みのホラーなど比べ物にならない。
この恐ろしさ!
聞けば、1801年に英ウェールズで実際に起きた事件が基。
それを聞いてさらに戦慄。
久々にこんなにも嫌なものを見てしまったなぁと、しかし芸術的な作品を見たと感じさせてくれた。
元ネタがわからなくても、なにやら凄いのは伝わってくる
不愉快で嫌悪感が残るか、アートだと崇めるかの二者択一‼️❓
映画通のための映画
映画を観て「よく分からなかった」とだけは言いたくない。当然伝える側の問題もあるのだろうが、それは恐らく意図によるもの。台詞や画、音楽や伏線など、監督が用意した点と点を消化できない観客にも責任はあるのだ。チェスも当然ルールを知らなければ面白くない。誰にでも分かるようにやさしく人間の奥底に眠る感情を垣間見たいのであれば、名探偵コナンやクレヨンしんちゃんなどを観ておけばよいのだろう。ちなみに私はチェスを知らない。
そんな嫌味を前提に、この映画は私には難しすぎた。悔しい。悔しいけど勉強してまた観よう!とは思わない。映画は楽しいのが一番。そう、コナンもクレしんも恥じる必要はないのだ。
いびつにすら感じる独特なアスペクト比と終始色のない世界。狂った演技に理不尽に見える暴力。しかし懐古主義を楽しむためには「古」を知る必要がある。ギリシャ神話や米文学など博識な人にはたまらない作品なんだろう。羨ましい。そんな人間に育ちたかったと本気で思う。
でも、そんな人たちと友達になろうとは思わないかもしれないな。
ギリシャ神話知識が必要そう
主人公が狂気に取り憑かれ、意味深なカットが挟まりつつ相手を殺して最後は自分も…というわりとありがちなスリラー?ものでした
人魚=セイレーン(下半身が魚で美しい歌声を持ち男を虜にして海に引き摺り込む サイレンの語源となった)とかプロメテウス=ゼウスから火を盗み鷲に肝臓を引き摺り出される責苦を受ける 等ギリシャ神話ネタを知らないと意味がわからないと思います
自分も最後の鳥に内臓引き摺り出されてるのが暗喩になっている事は他の方のレビューで気付きました
プロメテウスの逸話は知ってたのに、老人がその話をしているセリフを聞き流してしまって自分で気付けなかったのが悔しい(笑)
他にも色々暗喩が隠されてそうで解説が欲しいです
強烈な映画体験。様々な映像が脳裏(眼裏?)から離れない。内容の解釈はその後にしましょう。
①映画の全編を流れる霧笛の響き。レイ・ブラッドリィの『霧笛』が思い出されて、そのうち海から太古の怪物が現れるのかしら、と思わされてしまった(モンスター好きの私にはそれでも良かったけど)。実際現れたのは人魚でしたが。②孤島や隔絶された場所に取り残された人間たちが幻想や狂気に囚われていく姿を描いた映画は時々あるが、今回は「灯台」を舞台としたところが新味か。『そして誰もいなくなった』(これは小説だけど)や『マタンゴ』『鳥』といった映画的記憶を呼び起こさせる。③人を殺した罪悪感に囚われ続けている男が、これまた変なおっさんと、秘密めいた灯台のある絶海の孤島みたいなところで何十日も二人だけで閉じれ込められたら、そら幻覚も見るだろうし頭もおかしくなろうというものだか、圧倒的なモノクロの映像がそれだけではないと思わせるシーンを綴っていく。映像で語り映像でイメージさせる正に映画らしい映画だ。④
唯一無二の不快な映画体験
決して愉快な気持ちになる作品ではないが、何度も味わいたくなる一作。
サンダンス映画祭で絶賛された、ロバート・エガース監督の最新作。インディペンデント系の名作を数々製作・配給しているA24が手がけ、長編デビュー作『ウィッチ』(2015)で高い評価を得ているエガース監督作品ということで、いやがうえにも期待感が高まります。
だが、「確かに一筋縄ではいかない物語である事は分かる。映像も入念に計算されていることも分かった。でも何が言いたいのか分からない。一体本作の何が素晴らしいのか」と、鑑賞後も首をひねる人は少なくないでしょう。もっともそれも無理からぬことで、スタンダードサイズよりもさらに長辺を切り詰めた、ほぼ正方形の狭いスクリーンサイズ(さらに縦構図が多いので、画面の閉塞感がいや増している)、美しさよりも荒々しさ、醜悪さを露悪的に強調した照明と映像(モノクロームである上に、コントラストをかなり強めている)、さらにその嫌悪感を加速させるようなロバート・パティンソンとウィレム・デフォーの演技、といったように、エガース監督は、およそ観客の審美感覚を満足させるような要素を作中から(恐らく)意図的に取り除いています。
実は物語の筋としては、ある「タブー」を犯した若い灯台守が罰を受ける、とごく短く要約できてしまうもので、そこまで大きな「謎」は出てきません。それでも本作が極めてミステリアスな雰囲気をたたえているのは、作中のあらゆる場面、表現、諸要素が古今東西の文学、美術の引用、暗喩に満ち満ちているためです。さらにデイヴィッド・リンチ監督作品を彷彿とさせるような、現実と幻想の境界線を曖昧にした演出が物語の「とっつきにくさ」を加速させています。
灯台が象徴するもの、ウィレム・デフォーと『白鯨』のエイハブ船長といった分かりやすい暗喩もありますが、古典的な宗教画をそのまま取り入れた構図も多く、引用元が分からないと場面全体の意味が分からなくなる箇所も少なくありません。この点、例えばジョイスの『ユリシーズ』が、全編にちりばめられた要素を理解しなければ、単に男がダブリン市街を散歩している物語としか読めない、ことと似ています。
本作のパンフレット、公式ホームページはこれらについての解説がかなり詳細で、鑑賞後に一読したら、意味不明と思っていた場面にはこのような意味があったのか、という驚きの連続でした。鑑賞後もやもやしていた人もスッキリ、本作に心動かされた人はますます感動が深まりますので、できれば鑑賞後にこうした資料のご一読をおすすめします。また、インターネットの「画像検索」も場面の引用元を調べる上で意外に有用でした。
決して楽しい気分で劇場を後にできる映画ではありませんが、何度も見返したり資料を精読して、知的探究心を満足させたくなる作品であることは間違いありません。
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