花束みたいな恋をしたのレビュー・感想・評価
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花束みたいな恋って…
サブカルチックな商業映画(褒め言葉)
脚本が『最高の離婚』や『カルテット』の坂元裕二さんということもあり、格言めいた言葉が散りばめられていて、観心地が良かった。
映画全体的な内容は他の方も言われている通り、二人が出会って別れるまでの『リアル』なラブストーリーなのだが、使われている美術作品などが明らかに高級でとてもフリーターの二人が買えるような物ではない『理想』な暮らしを体現しておりそこもまた、あくまで映画の世界だと認識させられ興味深かった。
また、小説や音楽が好きだと豪語する人が好きになりそうな、小説や音楽の固有名詞がこんなにふんだんに使われて、売れないわけがないと思った。
自分自身、同じ時代に学生で小説に出てきそうな出会い方、夜な夜なお互いの好きなものを語り合う恋愛を体験した淡い思い出が蘇り、帰り道は少し胸焼けがした。過去の恋愛を思い出して同じような気持ちになった人は少なからずいそうだな...。
青春時代の妄想を具現化したような高密度ストーリー
恋愛映画が傑作である条件というのが個人的にはあって
・自然体なイチャイチャ
・色濃い照明
・バッドエンドだけどハッピーエンド
・「行為」は描写しない、又は及ばない
の4つ。
イチャイチャは観る人を悶絶させる効果があって行為を描写しないのはその悶絶をさらに強める。恋愛映画を観る上でこの「愛おしいけど手が届かない」という悶絶こそが醍醐味だと思っていて、この映画の場合、この悶絶が物足りない気がした。
ストーリーは脚本家で宣伝してるだけあり、ユーモアとドラマを織り交ぜていて面白い。しかしやはりまだ商業映画的なクセがあるといった印象でもう1パンチ喰らいたかったな。恋愛映画の爽やかさと切なさの境界線をさまよってるような感じだった。
でも実在のカルチャーを出したのはめっちゃ良かった。
「神がいる」
「新海誠がいつの間にかポスト宮崎駿」
とか。
自分もこの2人と同じような趣味してるから神は世界水準だし、新海誠と宮崎駿は決定的に違うし、無理して人付き合いするよりは自分の世界に篭っていたいし。
そういうヲタクならヲタクほど共感できる要素があったのが1番好きなポイントかもしれない。多分隣りの人は「なんであの人あんな鼻で笑ってんだろう」と不審に思ってたはず。
いいんだよ不審でも。こっちは楽しいんだから。
逆にファミレスのシーンでその人は泣いていて、そんなに泣けるかな、と疑問に感じたが…
自分もわざと終電逃した振りすれば出会いとかあるかも?て馬鹿げた事考えたり、そういう甘い妄想も恋愛映画の醍醐味かもね。
恋人じゃなくていいから趣味がピッタリな友達欲しいよなぁ。
とりあえず清原果耶版の『花束みたいな恋をした』よろしくお願いします!
ちなみにさわやかハンバーグ大好きだし、魔女の宅急便はやっぱアニメです!ガスタンクよりは…ホビットかな。
【要注意】カップルで見に行くべきではない
恋愛というよりも人生観の映画です。非常にリアルな描写で監督、脚本、俳優さんらのクオリティの高さが分かります。
が、それゆえに非常に重く感じました。
表記通り、カップル、特に付き合いたての2人にはとても気不味い空気にし、微妙な状態の2人には別れを加速させるものとなりえます。
現に私が観た時はカップルだらけだったのですが、上映中から終わった後までの何とも言えない嫌な静寂でした。
完全に個人的なことですが、映画見るまで楽しい1日が、観ただけで後味の悪い形で1日を終えることとなってしまいました。
1人や恋愛対象外の人と見に行く分には良いと思います。
繰り返しますが、バレンタインデー前後に浮かれていくとカップルブレイカーとなりえる非常に危険な映画です。
(なぜこの内容で恋愛ものとして、この時期に公開した…)
本当に一般人の恋愛あるあるを映画にしたって感じだったので、すごく親...
安定感
言葉にできません。
前半傑作で後半は凡庸だった。映画として見るには少し物足りない。 こ...
コロナ前の普通に遅くまで飲んで語れるあの映画の世界に早く戻って欲しい。
菅田君サスガ
可愛いけど幼すぎる
一番好きなのは、麦くんが絹ちゃんの髪をドライヤーで乾かしてあげるところ。菅田将暉にぴったりで自然だった。びっくりしたのはファミレスでデートすることですごく驚いた。絹は恋愛指南のブログを読んでいる恋愛教信者で、大学生にしては幼い。色んな本を能動的に読んで頭使って考えているのであればあり得ないと思った。麦が思ってたことを翻して別れたくないと言ったのは本心で、大人になったのだと思う。涙が美しかった。麦の描く絵は私も好きだ。
この映画でうっとりしたり昔の甘苦いことを思い出して沢山の観客がいい時間を過ごせたんだと思います。私もです。でも若い人達の大変さを考えざるをえませんでした。
おまけ (2024.8.3)
今、新宿の紀伊国屋書店ではどのフロアでも平積みの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読み終え最後のあたりでは泣いてしまった。麦と絹の関係性と変化を通奏低音にした本書の著者は1994年生まれ。この映画を何となく突き放して見ていた自分はノイズを避けていたのか、上から目線だったのか。
有村架純
人の本棚を見るのは楽しい。その人が何でできているのかわかる気がするから。
内容的には普通ならスルーしている作品だが、東京テアトル、ユリイカにもしやと考え直して、今年初の劇場鑑賞へ。
ちょっとめんどくさいマニア気質な二人の5年間をニヤニヤ、アワワワ、しんみり、〇〇〇〇に眺めるお話。固有名詞を大量に投入というとスティーブン・キングを連想してしまうが、ある種のリアリティがあり共感を持つことができる。大人の事情ならこのチョイスにはならないだろう。舞城王太郎、いしいしんじに反応。「好き」を仕事にすると逆に辛いこともあるのにね。早稲田松竹行ったことない。『希望のかなた』をみる麦の生気のない目に、もうダメなんだなと悟る。
モノローグの多さは制作過程を聞くと納得はできるが、やはりもうすこし少ない方が主演二人の演技をじっくり観られて良かったのに。流石に終盤のファミレスでは抑えてあって、とてもよいシーンになっていたが。
束の間の夢を見た
タイトルの付箋回収出来ず...
思ってたのと違ったけれど
。
ちょっとでも本作が「刺さった」人は、パンフレット必携の一作。
この種の映画としては王道的な展開で、物語としての意外性はそれ程ありません。しかし「恋愛映画」の枠にはめ込んでしまうのは勿体ない傑作。もちろんデート映画として鑑賞するのもありだけど、その場合はタイトルの時制をよーく見てから判断しましょう。
また作品と同様、パンフレットもデザイン、情報量ともに素晴らしいできばえで、この値段は安すぎると思わせる力作!
いわゆる「サブカル」好きな男性と女性が出会い、ちょっと現実味の薄い共同生活を始める序盤、そして徐々に現実が侵食してくる中盤の展開は、ちょっと岡崎京子大先生の『うたかたの日々』を連想させるような夢見心地の美しさ(作中で「リバース・エッジ」と読めるTシャツが出てくるんだけど、偶然?)。洪水のように飛び交う文化アイコンや固有名詞に共感できるかどうかも、確かにちょっとは本作への感情移入の仕方に影響するかも知れないけど、菅田将暉と有村架純の表情、演技はとても自然で素晴らしく、たとえ彼らの「好き」そのものはあまり理解できない人でも(含自分)、作中世界に入り込ませる力があります。
ただ彼らが共有する世界と現実を対比させる象徴として、「ゼルダ」ではなく「パズドラ」、「文学」ではなく「ビジネス自己啓発本」を持ち出す当たり、ちょっと単純では…笑いました。これらが好きな人は、「自分って現実に妥協しているんですかー(涙)」となりそう。
終盤のやり取り、菅田将暉の訴えは理屈としては間違っていないんだけど、その場面で言うのは…、決定的に…、という、ある種の共感と断絶を同時に示すという見事な演出・演技。そこにさらにもう一つとどめを入れるというたたみかけがすごい。これがないとここまで後味爽やかにならなかったし、下手すると『レボリューショナリー・ロード』(2009)みたいな展開になっていたかも…。
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