花束みたいな恋をしたのレビュー・感想・評価
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いいラブストーリーだ
個人評価:4.0
坂元裕二の至極のラブストーリー。
形が無いはずの心の輪郭を、見事に炙り出し、形にしている。
価値観が変わる事への否定と肯定。どちら側に立って見るかで、見方も180度変わってくる。
夢追い人を描いた又吉作品の劇場の様に、変わる側、変わらない側を描いている様に感じる。
自分に無いモノを持つ人を好きになるとも言うが、同じ価値観や、同じ推しの人に出会った時の高揚感。それも本作は教えてくれる。
いいお話だった。
無さそうでよくある人生のドラマ
なんとも言えない気持ちにさせる映画でしたね。
起きていることは、本当にありふれたことばかり。
おそらく、世のほとんどの大人が経験してきたであろう
出会い・ときめき・喜び・すれ違い・ケンカ・別れを
静かにリアルに描いている「だけ」の映画。
ヘタな役者に演らせたら「え?これだけ?」ってなりそうなくらい、さほどドラマティックではない展開。
でも、30代以上なら、誰しも自身の若い頃を重ねて胸をギュッとされるんじゃないかしらね。
菅田将暉と有村架純は、上手いですねぇ。
21歳の大学生の初々しさから、社会に出て疲れてきた姿、
ふたりの関係がこなれすぎてしまった姿、
別れた後の思いの外ふっきれた様子も、
すべて自然に演じて見せてくれています。
なんか、所謂ハッピーエンドというわけではないと思うんだけど、妙に後味の良い映画でした。
いまどきのラブストーリー⁈
花束をあなたに
「有村架純がかわいかった。」
キラキラ恋愛映画に見せかけて、固有名詞出しまくりも普通のお話。
誰かが難病で死ぬわけでもなく、二人に立ちはだかる身分といった壁もない。
壁の代わりになるのが”社会”という名のお風呂。
ある人はお風呂で溺れ、主人公の山音麦(菅田将暉さん)はお風呂に入ろうともがく。
普遍的な物語に時代性を散りばめながら余白を作っているので、いろいろな解釈が成り立つ。
最近はYouTubeなどでいろいろな人の感想や解釈を、その人の表情を見ながら聞くことができる。
そんな新たな映画の楽しみ方をわかりやすく提示してくれているように感じた。
いろいろな感想や解釈を聞いてみよう。
私は自分の娘に解釈を聞いてみたら「有村架純がかわいかった。」の一言だった。
それもこの映画の大きな魅力に違いない。
♪木綿のハンカチーフ
別れ話をするハメに
そもそも2人は恋愛していないのではないか?
そもそも主人公の2人が恋をしているという前提が感じられず、入り込めなかった。「この人でなくてはだめ」という関係性には感じらず、たまたま趣味が合っただけに見える。なので、別れてしまっても何の切なさも覚えなかったのだと思う。確かに出会った当初の思い出は綺麗なもので手放したくないものかもしれないが、それはあくまでも昔の出来事で「今、ここ」にあるもの(別れる時からみて)ではないのである。
特に、醒めてしまったのが喧嘩や倦怠期の描写である。なぜか同世代の私からみても幼く感じられてしまう。愛し合っていたなら、あのような自分の感情だけを吐き出すような、思いやりの欠片もないやり取りには至らないのではないか。
また、主人公たちの人柄に魅力が感じられなかった。主人公の2人は俗っぽくなく独特な感性の持ち主で、陰と陽のどちらでもない人なのだと感じる。だとしたら、精神的にもっと成熟していて知的さがあればバランスが良かった気がする。さらに、カップルとしても憧れる要素がなかった。本作品では、他の登場人物の影は薄くカップルの関係性を排他的に描いたものと思われるが、2人だけの世界が感じられなかった。うまく言えないが、もっとバカップルらしいところがあってもよかったのでは、そうしたらキュンとくることがあったかもしれないと思う。
散々偉そうなことを述べてしまったが、鑑賞できてよかったと思っている。ここまで感想を書いているのは強く影響を受けている証であろう。個人的には、自分も主人公と同世代で5年に渡る恋愛をしたものの(なんの前触れもなく相手の心変わりで)別れてしまった経験があったため、さぞ感情移入して辛くなるだろうと思ったが、見事に裏切られて、それが面白かった。私は5年間全力で恋をしていたのだと清々しい気分になれた。感謝している。
記号化したサブカル
美男美女のサブカル好きって時点で違和感を感じてしまうんだよね。まあそれはいいとしても、記号化したサブカルの固有名詞が飛び交うだけの会話ってなんか空虚に感じる。
「好きな言葉は替え玉無料」って自己紹介する絹の言葉をスルーするってありえる? そこって食いつくとこでしょう。記号化した単語をいっぱい並べるだけのセリフが結構あって、しっくりこない。
就職したからって興味がなくなるってことは、サブカル好きな自分に酔ってるだけなんだと思う。
共感できたのは、「好きなことを仕事にしたい」絹のセリフくらいかな。
恋愛感情がなくても家族になりたいって、いつの時代の感覚だよ。監督さん!
それはそうと、『街の上で』の女優さんがいっぱい出演していたのは驚いた。
その辺でガスタンクなら廻沢か平沼橋
2015年、終電間際の京王線明大前駅で出会った大学生カップルの5年間の恋愛映物語。
調布で独り暮らしをする男子大学生と飛田給の実家で暮らす女子大生。
名大前からだとタクシーで5~6000円ぐらいですかね?
それぞれお付き合いで参加した乗り気じゃないカラオケ帰り、終電を逃して時間を潰すうちに、共通点が沢山あることから意気投合し、交際して同棲して…大学生からフリーターになり就職しという、どこかでありそうなカップルの心境や環境の変遷と機微をただひたすみせていくというね。
決してつまらなくはないけれど、主人公の2人が自分とはまるで違うタイプの人間で、共感出来るものがほとんどなかったし、冒頭でオチをみせられていたからか、ふ~ん…という感じだった。
もっと若い時期に本作に出逢いたかったという嫉妬心
ラブストーリーほど観る者の価値観に左右されるジャンルはないのではないだろうか。それまでの恋愛経験や恋愛哲学、さらにはその恋愛をしていた年齢や時代さえも作品への評価へ影響を与えかねない。故に、この作品の評価が人によってばらつきが多いのは当然のことに思える。
かく云う自分はどうかと問われれば、それほどの共感を得られなかったタイプだ。若い二人が恋をして、甘美な時と厳しい現実に直面する時を経て、次第に変化する心境を紡いだ構成は見事であったし、恋愛のピークを超えて、感情がプラトーに達したやや退屈な日常さえも描いた思い切りの良さにも関心した。特段、前半で2人が居酒屋で語らうシーンの距離の縮め方のリアルさには頬を緩めてスクリーンを見つめていた。
だが、それは物語の輪郭にすぎないように見えた。2人のモノローグで語られるストーリーテリングは冗長に思え、展開が進むほどに2人のモノローグが左右で異なる音を出すステレオのごとく、不協和音となって耳に残る。無論、次第に変化するその微妙なセリフの食い違いこそが本作の魅力であるし、そこを読み解くことに物語の魅力が隠されているのだろうが、私にはセリフ過多のあざとい演出に思えてしまったのだ。
記号的に使われるサブカル情報が架空のものではなく、実在するものを登場させたことは諸刃の剣だ。同じ時代を生きた同じ世代の観客には響くトピックであっても、数年後、数十年後に本作を初めて観る者にはどう映るのだろうか?と首を傾げたのも事実。ただ、本作の主人公たちと同世代、同年代でこの作品を観賞したのであれば全く違った感情を持って観れただろうと思うと、もっと若い時期に本作に出逢いたかったという嫉妬心があるのも事実である。
人間は良くも悪くも変わっていくもの。 恋愛関係もずっと一緒ではいら...
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