花束みたいな恋をしたのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
菅田将暉×有村架純×坂元裕二がエモすぎる。
誰もが好んで観られる物語。
その中でも特に刺さるんじゃないかと思うのは、恋愛も就活も社会人生活も、酸いも甘いも経験した20代後半の人だと思う。
もちろん中学生や高校生が観ても楽しめる作品ではあるが、学生から社会人に代わった時のあの感じはなかなか理解するのは難しいだろう。
いつでも変わってしまうのは男の人なんだよなって感じたり…。
「僕の目標は、絹ちゃんとの現状維持です」って言ってたのにな…。
誰もが恋焦がれる理想の恋愛の形を菅田くんと架純ちゃんが演じることによってますますエモさが増す。
最後は、ちょっと二人の復縁を望んでしまう私もいたり。
でも、あれがハッピーエンドなんじゃないかと。
もう恋人の二人には戻れなくても、あの恋があって良かったと思えるならばそれがきっと花束みたいな恋なんだと思う。
個人的に、「俺映画結構詳しいよ」的なことを言ってたサラリーマンが最近見た映画に『ショーシャンクの空に』を挙げてたのが一番ウケた。
恋愛物語としては及第点をつけられない
恋愛物語はふたりの関係性の変化を綴るものだから、ふたり以外はみんな脇役だ。本作品の脇役は豪華である。小林薫、戸田恵子、岩松了、オダギリジョーと並べてみると、この4人だけで渋いドラマが出来そうだ。そんな中で重要な役割を果たすのが清原果耶と細田佳央
太の19歳コンビである。ふたりの一度だけの登場シーンが本作品にとってのハイライトだと思う。
巷間に言われていることを思い出した。男の恋愛は名前を付けて保存で、女の恋愛は上書き保存だというのである。別れに際しては女は意外なほどクールで、男は未練たらたらということだが、当たっている気がする。
高評価の作品で、主演のふたりの演技もとてもよかったのだが、どうにもピンとこなかった。それは多分当方に原因があり、最近の本をまったく読んでいないのでふたりが挙げる作者をひとりも知らず、おかげでふたりがどんな世界観で生きているのかが全然わからなかった。わかったのは日本人の作者ばかりだったということだけだ。
ここでもし誰もが知る古典を挙げてもらえれば、当方にも少しはふたりの世界観がわかったと思う。例えば一方がダンテの「神曲」を挙げ、一方が源信の「往生要集」を挙げれば、それは世にも珍しいマニアックなカップルだと認識できる。ふたりとも村上春樹を挙げればありふれたカップルだとわかる。
実名で上げられた作者たちを否定するものではないが、当方にはふたりが幼稚な小学生のカップルに見えてしまった。本を読むのは自分なりの世界観を構築するためである。もちろん面白いから読む。読むと作者の見ている世界と同じ方向を向く。そうやって少しずつ世界観が形作られていくのだ。何を面白いと思うかが個人によって違うから、構築される世界観も違っていく。同じ本を読んでいる筈のふたりは、それだけが嬉しくて、世界観も一致していると勘違いする。
ふたりが時期を異なって相手に言う台詞が印象的である。「楽しくないことはやめたほうがいい」。この世界観は正しい。人はパンのみにて生きるにあらずだ。しかしパンのために自由を投げ出すことが現実だと、そういうパラダイムが支配的である。パンよりも自由を選ぶ女と、パンのために自由を投げ出す男。出逢ったときから実は世界観がまったく違っていることに気づくのは、ふたりの主人公ではなく観客である。出会いのシーンからそれがわかっていたから、ふたりのどちらにも感情移入することが出来ず、感動もしなかった。恋愛物語としては及第点をつけられないと思う。
恋もコーヒーも苦いぐらいが丁度いい
試写会に当選し、先週見る予定だったんですが.....
絶望しました。よりによってこのタイミングかよと。悔しくて悔しくてたまらない時に、なんとイオンシネマ公式Twitterが「ワンデーフリーパスポート復活!」と発表。発狂しました。ということで、1本目はこの作品にしました。上映開始ギリギリだった...危ねぇ。座った瞬間に有村架純が話し始めました。
あー、最高に面白い!
ラブコメ?では無いと思うがクスリと笑える場面が沢山あり、恋愛映画としても非常に上品で美しい作品だった。
カラオケ屋っぽくないカラオケ屋に行きたくもないのに誘われた絹(有村架純)。こちらも同じくほぼ誰も知らないカラオケ行くはめになってしまった麦(菅田将暉)。2人は終電を逃してしまい、押井守を通じて親交を深めていく。
基本的に2人それぞれが自分の思いや考えていることを小説の主人公風に心のなかで語っていく。絹目線麦目線と切り替わったり、考えていることが同じで知らぬ間に噛み合っていたり。思わずニヤッとしてしまうし、微笑ましくて心温まる。
爆笑まではいかないものの結構笑える。
特に1番笑ったのは「"はいUNOって言ってない〜。2枚追加ー"ってやつが嫌いです」ってのが共感しすぎて超笑いました笑笑笑 今年見た映画一の笑いでした
2014年に起こったこと、2015年に起こったこと、と言った感じに年ごとに起きた出来事をサラッと口にするので懐かしいと思いつつ、確かに時が進んでいることを感じさせる。すごく上手い手法だな〜
他にも数え切れないほど小ネタがあるので
予告ではThe・王道恋愛映画って感じだが、案外全然違う。恋愛だけでなく、生きることの難しさや夢を仕事にする過酷さなどを描いているので普段恋愛映画見ないよって人でもオススメ。むしろカップル向きでは無いかもしれない。痛いところついてるし、結構マニアックな本や映画。言わば架空OL日記のような映画です
所々で映し出される菅田将暉のイラスト、時を重ねる内に変化していくお金、ファミレスで働くお姉さんの歌手活動などなど、小さなことがラストになると感動に変わる。細かな演出まで素晴らしい
ただ、親が同居している家にやってきたシーンあたりからテンポが悪くなる。笑えるシーンも減り、倦怠期に突入するが呆気ない感じで終わってしまい微妙だった。
あと、予告で使われている曲?が流れていないのにはびっくり。インスパイアソングって言うんですね、予告だけに使われる音楽のこと。それはいいとして、エンドロールは寂しかった。涙がギリ出らず終い。
んでも、すごくいい映画でした。
とりあえず、今年ナンバーワンでしょう。
余韻が心地良く、今でも残っている。あぁ、良かったなぁ、、、
花束みたいな○○恋をした。○○に入る言葉を答えよ。
一度は誰もが経験したことがある、恋をするがゆえの葛藤。ありふれた悩みを、ここまで瑞瑞しく鮮やかに切り取れる土井監督と脚本の坂元さん、そして菅田将暉、有村架純の同年代俳優の地力を感じた。
生まれるべくして生まれたバイブルにしたい一作。
大学生の麦と絹。出会いのきっかけは予告編の通り劇的。出会ったその日に家に招いて濡れた髪の毛乾かさないよ!笑とツッコミながら、序盤はフィクション要素を十分楽しむ。運命の糸に引き寄せられた2人が、恋に落ちるのに時間は必要なかった。
理由は異なるもののフリーターとして新たな生活を始めた2人。しかし直後に、働いて生活する、言い換えると生活するために働くという課題に直面する。
恋愛における環境の変化は年代を問わず存在し続けるもの。事実、土井×坂元タッグの前作『カルテット』は、30代を登場人物にした群像ドラマだった。
"大人"にならなきゃという焦燥感と学生気分がなかなか抜けないもどかしさ。『はな恋』で描かれた要因は、私自身26歳ということもありリアリティをとても感じた。
当初の熱が継続する恋愛は、まず存在しない。しかし外野からは冷めているようでも繋がっている。そんな2人にしか存在しない距離感が、本作では絶妙だ。実際、決定的な亀裂が描かれる場面はない。だって存在しないんだから。強いて言うなら通夜に行ったあの夜か。
いつもそばにいるのに心が離れていく感覚に陥る、なぜ恋は一筋縄にいかないのだろう。。
お互いの気持ちを悟り、最後はせめて笑った状態で、と同じ考えに至る2人が何とも切ない。祝福されるべき場面で静かに忍び寄る"終わり"の演出が憎い。←涙腺崩壊
最初のデートで使ったファミレスで言葉を紡ぎ合う姿、そしてその後の清々しさが辛い。"別れる"と決めたはずなのに"結婚しよう"と言ってしまう。これが5年近く付き合った2人の現実だろう。
学生時代京王線(明大前)を使っていたこともあり、当時を思い出しながら観ていた。
カラオケ帰りの麦とトイレットペーパーを抱えた絹。あそこか…!と一人突っ込みながら始まり、ガスタンクの際に出てきた芦花公園や、パン屋の木村屋(生活圏徒歩10分以内にあったような)など固有名詞にいちいち反応してしまう。(サブカルには疎くてほとんど対応できず)
個人的には、明大前あるあるや学生あるあるをもう少し盛り込んでいたらより楽しめたかも。
真面目な麦と深刻ぶらない絹。
好きな監督、好きな作者、好きな音楽、趣味と言う趣味が驚くほど一緒なのに、何かが違う。
"価値観のすれ違い"を20代半ばの視点から写し出し、恋に燃え上がる美しさとその裏に見え隠れする儚さが尊い5年間だった。
タラレバ
若いころ彼女との楽しかった同棲生活を
思い出した。
終わってしまう人そのまま結婚する人もいるでしょう…。
タラレバさせてくれましたw
まったり観るにはgood!
カップルで観に行くのは微妙かも…。
あのシーンは今までの恋愛もので最も切ない
可笑しくも切なく、最後は涙が出た。
大学生の恋愛と、社会人の恋愛。
女性が思う幸せと、男性が思う幸せ。
とても微妙にすれ違っていくのがとても切ない。
脚本が坂元裕二さん。絶対に観る決定。
坂元さんの脚本はとても好きです。
訳の分からない例えが、文学的な感じに思えますが、小難しくないでとても分かりやすく、すぐに心に届きます。
また、今、心が動いた、というのもとてもわかりやすい。岩井俊二監督のようにあとからジワジワ来るというより、直接心に届く感じがします。
土井監督で、ドラマの「カルテット」のコンビなんですね。今後もこのコンビで映画がみたい。
もちろん、二人の役者も最高。言葉も自然で、表情だけで切なくて、あー、、と思ってしまいます。
相変わらず、名言が多い。
全部メモして覚えたいよ。
とてもコミカルな展開も「カルテット」っぽい。
全体的にとてもリアルだと思う。
事故や事件、三角関係とか、ドラマチックなことが起きる訳ではなく、とても淡々とした日常と、言葉や表情ひとつですれ違っていく様子がとてもリアル。
声を出しそうになるほど笑ってしまう部分や、観ていて恥ずかしくなるようなラブラブな様子。切なくて泣きそうなシーンなど、「普通の日常」の中もある喜怒哀楽みたいなものが、花束みたいにまとめられています。
キレイな思い出だけが残る、キレイな花束ですね。
ネタバレはしませんが、最後のあのやり取りは、今まで見たラブストーリーで、最も切ないかも。
麦の言うことは、男としてはとても理解出来る。そして正論だとも思う。けど、感情の部分では、そうなんだね。と。
え、、そうなんだ、、うん、そうか。うん。
もし、もうひとつの選択肢を選んでも幸せだったのかもしれない。
そして、その後の展開。泣きながら笑ったよ。
「泣き笑い」は映画も舞台も大好物です。
唯一言わせてもらうと、主題歌が欲しい。
その曲を聞くと麦の絹を思い出すような。
そんな曲が欲しい。
ちゃんと1人でステレオで聴くのに。
訂正、主題歌あったんですね。
予告では流れていましたが、本編では流されましたかね?
汗
日本における色々な価値観を再認識させられる映画。今週公開分では間違いなく高評価。
今年22本目(合計89本目)。
※1つ前にみた映画が精神的ダメージが大きすぎたので、心の洗濯でいわゆる「○本見ると1本ご招待」でヴァイオレット~を見てやっている映画館に向かいました。
ヴァイオレット~もロングランですが、こちらも「花言葉」などを正確に理解すればするほど味があり、本当に名作かと思います。まだまだやっている映画館は多いので、まだの方はぜひどうぞ。
さて、こちらの映画。案外にもやっている映画館は少なく、大阪市では20時ルールがあるので、相当計画を組まないと1日4本見るのはまず無理です(60分映画などは除く)。その中で本日(31日)最後に、映画館を変えて(これは高評価だったので、ぜひ見たかった)見たのですが、本当に正解でした。
お話の内容については多くの方が書かれていますし、うかつにあれこれ書くとネタバレになるので細かいところは省略します。
日本に限らず、人は色々な信条があります。その中で人と人とは結び付き、交際し、そしてそれがうまくいけば結婚されるのです。
しかし、完全にお互いの信条を理解するということはまずできません。やはり個人には譲れない部分もありますし、「どうでも良いことまで強制できるものではない」からです。もちろん、交際や結婚にあたって支障をきたすほどであれば最初から交際すら始まりませんが…。
最初は意気投合して交際をはじめますが、ちょっとしたことからお互いに信条を理由とする言い争いが絶えなくなり、最後は<特定の経緯を経て、特定の結末>となります(ネタバレ防止のためここはぼかしました)。
一方でこの「言い争い」の元はとたどれば、要は「2015~2020年」(作品内で例示されている)における「フリーターからの社会への挑戦」(正社員を目指す、派遣を目指す、個人の知識・技能を生かして個人事業主としてやっていく…)というところに帰着します。今でも日本では「正社員至上主義」みたいなところは確かにあります(もっとも、リアル日本ではご存じの通り、コロナ事情なのでそれどころではない)。それはそれで理解できても、一方で特に派遣で働くことを否定することもできません。日本では派遣社員として働くというスタイルは一定の需要(スポット的な割り当て。正社員にするほどではないが、単発的にお願いできる、という意味)があることは否定できず、「正社員至上主義」は理解しますが、「契約社員や契約社員はダメだ」というのもちょっと、現在の価値観(コロナ事情はとりあえず度外視)から考えると、少し違うかな、とは思いました。とはいえ、映画内でどちらの両親も「正社員至上主義」を唱えていたり、はては「故郷まで戻ってきて後継ぎをしろ」とか言い始めるような「頭の固い人たち」ですので、それはそれで理解もできます。
そしてただ単にフリーターでいるだけでなく、いろいろな資格(作品内で触れられていたのは日商簿記2級。ご存じの通り、1級には及ばないにせよ、取得すると絶大な効果がある)を目指そうとする描写も描かれており、ただ単に「フリーターで3年5年暮らして行き詰った」事案とも違い、両者ともにベストを尽くした(ただ、一つのことが色々連鎖して、関係がおかしくなりはじめた)ものであり、そこは結局「信者や仕事観をどこまでパートナー(ここでは、便宜上、広く交際関係にある相手方、という意味も含む)に求めるのか」という点であり、それはそれで実際に結婚に至るまで重視する人もいれば、「30年もフリーターされても困るけど、合理的に資格勉強などしている限りで、かつ、同棲生活などでお互いに迷惑をかけない限りにおいて、お互いに応援しあう」というのであればそれはそれであり、その部分の描写はありました。
要は「人の信条はそれぞれ、誰もそれを曲げることはできない。交際や結婚にあたってはそれ込みでそうしないとダメであり、明らかに最初から合わないものはマッチングすべきではないし、逆に些細なことでどうこうする(しかも、短絡的に決めている)のも一生後悔する」という点です。この「人の信条はそれぞれ、それを尊重する」という点が明確に描かれていた点で非常に高評価かと思います。
特に減点要素となるべき点は見当たりませんでしたので、5.0としました。
(なお、映画内で日商簿記2級に挑戦している子が出ますが、当時(2015~)の日商簿記2級は事実上準1級と言えるほど難化しており、そうそう簡単にはとれません。現在(2020年)にいたっては、初歩的な連結会計が問われるほど、事実上「準1級」といえうる程度に難しくなっています(逆に、3級と2級の差がありすぎる点が現在問題視されているほど)。私はその改正前に取得しましたが、当然「取得して終わり」ではないので、都度新しい会計基準が出るたびにチェックはしています)。
避けられない衝突、仕事によるプライベートの圧迫
よくある恋愛映画は
お互いに、あるいは片方に、わかりやすい過失や欠点があり、それありきで物語が進んでいく。
その中で、
観る側は自分の境遇に近しい方に感情移入できる。
ただ、この映画の恋愛はこれといった過失も人物の欠点もなく、何より自分がしんどい状況でも、お互いがお互いを気遣っている。
そんな十分過ぎる気遣いがあった上で、衝突し、すれ違ってしまう。
こんな2人でも衝突してしまうということは、
誰がどうやっても避けられない出来事、未来だったのではないかとさえ思ってしまった。
観る側としてはどちらにも感情移入できたが、その分本当にもどかしかった。
また、特に感じたこととして
麦の、仕事でプライベートが圧迫され、生活を普通に楽しむ余裕が無くなってしまう様子がとても観ていて苦しかった。
仕事は"生活を支える、充実させる手段であると同時に、生活を蝕む側面も秘めている"ということを身に沁みて感じた。
最後に、
「エンドロールの途中で帰る人って苦手です」って言ってそうなあの頃の2人の価値観がとても好き。
平和を象徴する現代の恋愛像
思わぬ日本製恋愛映画の佳作。巧みな脚本、確かな演出、確かな演技で、一つの恋の始まりから終わりまでを丁寧に描いて好感が持てる。
①脚本が巧い。伏線の張り方が良く恐らく二度、三度の再鑑賞に耐えうる。ユーモア、皮肉、冷徹な視点等が塩梅よく散りばめられている。②土井裕泰の演出も『罪の声』(実際にはどちらが先だったかは知らないが)に続いて好調。③菅田将暉も『糸』では停滞しているように思えたが、ここではやはり若手きっての演技派の実力を見せる。有村架純もひけをとらない好演。④恋愛感情は2~3年続けば良い方と言われるが、ここでも生活という側面から二人の恋愛が揺すぶられ始める。当たり前と言えば当たり前の展開ではあるが、普通は女性の方がリアリストの筈がここでは男の方が先にリアリストになってしまうのが新しいか。でも男が仕事を言い訳にし出すのはどの時代でも同じか。⑤トラックごと荷物を東京湾に捨てた運転手のエピソードが途中で出てきて、運転手は「誰にでも出来る仕事が嫌だった。俺は労働者じゃない。」と動機を語っていたが、それは間違っていると思う。誰にでも出来る仕事の中でどう自分の色を出していけるかが出来るようになって初めて仕事をしていると言えると思う。「社会や世間に迎合して才能を潰すな」と言っていた菅田将暉の先輩が、やがて何時までも社会に受け入れられない鬱屈からDVに走り挙げ句は自殺同然の死に方をしたり、有村架純の両親が「新卒で社会に出ない人間は反社会的分子と見なしている」(笑える)人達であったり、社会・仕事・家族(世間と言ってもいい)をちゃんと描いているのが量産されるマンガ原作の浮世離れした恋愛映画と一線を画しているところ。⑥別れ話が切り出されるファミレスのシーンで、菅田将暉が未練がましく「別れたくない。結婚して家族になって“幸せ”になろう」とお決まりの曖昧な台詞を吐いた時点で、ああこの恋愛はもう駄目だな(その前から駄目になっていたわけですが)、と思った。「“幸せ”になろう」「“幸せ”になりたい」と人は簡単に言うが、“幸せ”って何なの?と思ってしまう。そもそも“幸せ”の概念が良く分からないし、人によって“幸せ”の意味や形は全部違う筈だから、自分の“幸せ”を人に押し付けている時点で終わりだと思うな。確かに恋愛と結婚とは別で、結婚を円満に続ける秘訣は「お互い空気のような存在になること」とは良く言われるが(それはそれで正論ではあるが)有村架純はそれを望んでいた訳ではないだろうから。⑦また、オダギリジョーの台詞で「一人で寂しいより二人で寂しい方が辛い」というのがあったが(私はこちら派)、恋愛感情がなくなっても或いは煮詰まっても一人にはなりたくないから、ズルズルと関係を続けたり結婚したりするんでしょうね。それを決して悪いとは言わないけれども。⑧まあ、そう言うわけで二人の恋愛にかこつけて色んな事を考えさせてくれる映画でもあるわけです。ラスト偶然再会した二人が背を向けたままバイバイするところはライザ・ミネリの『キャバレー』(1972)のオマージュかな、と思ったけれど。
多幸感と切なさの裏側に潜む〝冷徹〟
あ、それあるよなー
その本、オレも好き❗️
AKIRAのKCデラックス版❗️
実家に行けばうちにもあるぜ‼️
そんな歓喜に満ちた共感に溢れた映画です。
ズルイッ‼️
でも、作家の名前を聞いたときは小川洋子さんしか読んだことがなくて、なんだか菅田将暉さんに嫉妬して、帰路の乗り換え駅の大型書店で、今村夏子さんの『ピクニック』の収められたちくま文庫の短編集を買って帰ることになりました、まんまと嵌められた気分です。
でも、自分が、〝今村夏子のピクニック読んでも何も感じない人〟かどうか知りたくなりませんか⁉️
ちくま文庫は新潮文庫と違って紐の栞はついてないし、角川文庫のカドフェス的なキャンペーン用の紙の栞もついてないんですね。栞(しおり)ネタがちゃんと活きてる❗️
でも、東宝シネマズの半券はネット予約専用機だと感熱紙というかコンビニのレシートと同じような素材なので栞には向かないんですよね。早稲田松竹の半券のほうがしっかりしてるのかな?
菅田将暉さんの口から語られる現実的な(世間的には)正論。
仕事には責任がある(あの人の受け売りですけど)。
恋愛感情なくなったって…
気持ちが変わってからも、嫌なところ目つぶりながら暮らしてる人たちいるよ。
家族になったら上手くいくと思う。
ベビーカー押して高島屋行こうよ。
絹はこう応じる。
ハードル下げて、こんなものなのかなって思いながら暮らして、それでいいの?
こんな絹に対して、「それでいい」という回答以外の言葉で応えられる男性はほとんどいないのではないでしょうか。
ハードルを下げないで現状維持を選んだカップルが経済的な窮地に陥った時に、今の社会は手を差し伸べてくれません。お金のことだけいえば、生活保護でも受けたら?という宣言とともに、あなたたちはそちらの世界でそれなりに頑張ってください、でも私たちの納めた税金で生き延びてることを忘れないでね。
そうやって、知らないうちに精神的に卑屈にならざるを得ない状況に追い詰められる構造になってます。
制度はあるけれど、未来への優しさはありません。
この映画の冷徹さの正体。
それは、映画を見てる間の幸福感は与えてくれるけれど、将来展望への解については、一切が鑑賞者側に委ねられることだと思います。
子供から大人に変わる最後の青春
とても面白かった!若干のネタバレあり!
価値観があわさり、夢のような生活を序盤に送る2人が見ててとても幸せになった!
人によっては「そんなことが?」と思うかもしれない2人の趣味や、価値観だが、映像として2人に共感がしっかりとでき、逆にそう言ったことが2人の味になっていると思う。
その後、菅田将暉が「大人」になっていく上で、2人の価値観が微妙に崩れていく。
2人が以前の幸せな日常から修復不可能になっていく中でも、お互いを思い合う配慮などが見てて切ない。
とにかく切ない要素がとても多いと感じた。序盤での楽しいムードでも要所要所、後半(破局)を示唆するような描写があったり、後半に序盤の幸せなカットを同じように、でも寂しく映すなど、とても巧みに作られていると感じた。
完全ネタバレは避けたいため、ラストについては言及しないが、周りでは泣いている人が多く、自分自身もうるっときた。
他のレビューで「デートムービーに向かない」的なものを拝見して、確かに。と感じたが、映画を見終わった後感想を相手と語り尽くし、仲を深めていけるような彼女が個人的に欲しいなと思った。作中の2人のように、、、
映画好きな人達向けの大衆系作品
いい男になってもう一回観たい映画
終電逃した4人の社会人2人
絹と麦がタクシーを降りて、2人はまたタクシーに乗り込んでどこか行ったけど、あれはラブホだよね?!
俺たちは大人だから楽しみに行こうぜ、って感じがします。
対比で、絹と麦の純粋さを表現してるんですよね。
そういうところの細かさがすごいと思います。
昔の自分を重ねてた
本当に期待して楽しみにしていた映画。
20代の子供でも大人でもない境目で奇跡的にも出逢った2人の花束みたいな5年間。
大人になりきれない、まだなりたくない。
早く大人になって今、隣にいる人とずっと一緒に居たい。
どっちの気持ちも分かる。
自分が通ってきた道だから。
親しい人の死と結婚を目の前にして2人は別れを選んでしまう。
最後のファミレスのシーンは最高。
あそこで昔の自分たちを投影しなかったら?もしかして?って思うこともあるだろう。
でも1年後に再会した時の2人は思い出を宝物にしていた。
2人が後ろ向きで手を振るシーンは胸が熱くなった。
私の心の奥底に眠ってた遠い記憶がスクリーンに映し出されたような感覚になった。
菅田将暉、有村架純でなければ、麦と絹は成立しないだろう。
若くて恋愛真っ只中のカップルには刺さらないかもしれない。
でもオバさんだからこそ、花束みたいな恋をした経験がある者たちだからこそ今の若い世代に見て欲しいと思える作品でした。
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