「恋はドライフラワー?」花束みたいな恋をした ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
恋はドライフラワー?
坂元裕二のドラマは大好きだけれど、映画ではきっとうまく機能しないだろうと思いずっとウォッチリストに入ったままだったのを消化するべく鑑賞。
やっぱりダメだった。
本棚に置いてある本がほぼ一緒になるくらい趣味の合う男女の大学生が、どこにでもあるような出会い方をして付き合い、同棲し、別れるだけのお話。
分かる〜と共感する部分もたくさんあるけれど、そこから深い感慨に至るような坂元裕二らしいセリフや演出もなく、特別輝いたカップル生活を送るでもなく、それぞれが選んだ結末から新しい示唆がある訳でもなく、ただただ終わった。
冒頭のイヤフォン問題から最後のファミレスで始まる恋の萌芽まで、反復させることで対照的にみせて際立たせる演出は好きだけれど、それもテクニックに過ぎなくて物語の本質的な部分で新鮮さが足りない。
映画や小説などの作品名を具体的に出すことで2人のキャラクターイメージは伝わりやすいけれど、それは会話や感情表現で演出すれば良いし、それらの作品をしらない人には全く伝わらない。
同じようなサブカルをモチーフにした映画で「モテキ」や「明け方の若者たち」があるけれど、使われ方としてはそっちの方が効果的だった。
そもそも趣味嗜好が一致するだけの恋は続かない。
そのへんを描くのかなとおもったらそうでもなかった。
最大の違和感は、ラストで絹が麦との思い出を思い出しながらハヤシライスを食べていたけれど、新しい恋人と付き合っている時に別れた昔の男を思い出すことはない。というかもう上書きされて忘れている。
このあたり、完全に昔の男目線で愕然としてしまう。
ありきたりなカップルの4年間を過ごして別れただけで、いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまうようなことはない。ミイラのように腐っても形は壊れずにずっと残り続けることもない。それは男だけだ。
文句ばっかり書いてきたけれど、麦の「パズドラしかやる気しないんだよ」には共感した人も多いのでは。
仕事で疲れて帰るとスマホゲームで手軽な快感ばかり求めてしまう。考えながら読む小説や映画は心に余裕がないと楽しめない。あの辺の学生から社会人への変化が趣味嗜好への変化に繋がるあたりは本当に共感する。
あとは何より、「ベイビーわるきゅーれ2」をより楽しめるようになるのが本作最大の魅力。