「予定調和でハッピーエンドの方がいいけど、それじゃあ映画にならないのが残念」花束みたいな恋をした 北のやまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
予定調和でハッピーエンドの方がいいけど、それじゃあ映画にならないのが残念
公開から2ヶ月程経過し、各劇場でも一日一回程の上映回数に
邦画の恋愛ものはどちらかというと敬遠気味なのだが、主演がお気に入りの有村架純さんというのと、前評判の高さから気にはなっていた。
今日アト6の別冊ポッドキャスト、ネタバレ座談会を聴いてやはりスクリーンで観ねば、ということで急遽鑑賞
夜の回にもかかわらず結構お客さんあり
大半は若い女性の二入組、カップルもちらほら
おっさんは私だけ
学生時代の、まあなんて気の合う二人の楽しい日々が続き、こんな相手と出会えること、一緒の時間を過ごせることはなんて幸せなのだろう
けれども、いつまでも経済的に支援を受ける学生ではいられず、社会に出て「生活費」を確保する必要が出てくることで
現実や他者とどう折り合いを付けていくか
自分の、パートナーの時間と社会との時間や優先順位をどう付けていくかという全ての恋人たち、特にクリエーターとしての夢を持つ二人が、いつかは対峙しなければならない永遠のテーマに直面していく。
第三者的にみれば、突っ込みどころ満載の不仲展開も、当事者にとっては岡目八目、自分がその局面になったら同じ轍を踏んでしまうのだろうが、
なんとも素敵な始まりの二人、ファミレスで昔の自分たちの姿を見て忘れていた感覚を思い出す二人にはハッピーエンドでいて欲しかったとは思ってしまう。
ただ、この脚本家は単純な予定調和の幸せを描く人ではなく、また、何も起きなければそれは映画ではないのだろうからやはりこのような展開になるのだろう
タイムラインが現代に戻り、それぞれの生活をする二人。お互いを覚えているけど、吹っ切れている(ように見える)姿は、「今の若者ってこういう感じなのかな?」と残念に感じてしまう
そんなシーンも、それぞれの観客が自らの過去の恋愛に対するスタンスとの対比で、これまたいろいろ考えさせ、議論を呼ぶ、それがまさにこの映画の狙いなのだろう。
一番きれいな瞬間を集めた花束が、いつまでも生き生きとしていることはなく、花瓶に挿して元気がなくなったら割り切ってお別れするのか、ドライフラワーにするのか、押し花にするのか、写真を撮っておくのか
いろんな考えや行動があるから人間は楽しいのだろう。