「大人向けの恋愛映画、好き嫌いは分かれるかも」花束みたいな恋をした moekoさんの映画レビュー(感想・評価)
大人向けの恋愛映画、好き嫌いは分かれるかも
3/11 加筆修正しました。
きのこ帝国世代、文学オタクです。
事前情報をいれずに見に行ったため、出てくる作品も、曲が流れることも、それらのタイミングも知らず、毎回頭を抱えました…。
ドンピシャの世代は就活を経験している23〜アラサーくらいですかね?
たしかに出てくるのはワードばかりですが、だからこそ見ている人の思い出とリンクするのかなと。
個人的には序盤のクロノスタシスの時点で、大学時代にサークルのメンバーで深夜にコンビニで花火を買ったのを思い出して情緒が死にました。
この作品はありふれた日常、ありふれた恋愛が描かれた作品だと思います。
何かしらの時間があるわけではないので普段ミステリーだったり、きっちりした文面や作品が好きな人だと好き嫌いはわかれるかもしれません。なにより、麦くんも絹ちゃんも感性が女性的ですね。
だけど出会った頃の彼らは大学生で、おそらくこれまで何かを苦労して得たことがない、所謂「競争社会」から離れたところにいる二人です。
信念も将来のビジョンも特になく、現状維持を掲げているあたりが現代っ子らしい。そのままフリーター、売れないクリエイターという進路を選んだのが全ての始まりだった気がしています。
麦くんは絹ちゃんに寄り添える男の子で、絹ちゃんが100を伝えなくても酌もうと努力する子。
絹ちゃんも言葉にしないだけで麦くんのために色々気を回していて、女性だったらついつい共感してしまう気がします。好きな人のためならがんばれるけど、ある日突然限界が来るよなぁと思いながら鑑賞しました。
あと、絹ちゃんは押しに弱いタイプ。
社長とのラーメンだけで終わったわけないんですよね…
世の中の恋は漫画のように劇的なものではないかもしれないけど、その一つ一つが花束みたいに美しくてキラキラしたものなんだなと思えた作品です。
何か決定的なものがあったわけではなく、少し少し変わっていく恋愛関係を認められるのか、その噛み合わない歯車をまた合わせることができるのか、いろいろなことを考えました。
大人向けだと思います。
私のように刺さりすぎた場合、終演後全く言葉が出ず号泣している人もいるのでデートにはお勧めできません笑