「リアルで随所に共感して入り込んでしまう素晴らしい作品👏」花束みたいな恋をした sugiPさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルで随所に共感して入り込んでしまう素晴らしい作品👏
大学時代の恋愛に没頭する麦と絹2人の姿は輝かしく、永遠に続いて欲しいと、続くと信じたくなる綺麗な光景です。自分の大学時代と重ねながら、美しい恋愛に入り込んでしまいました。
ただ、楽しい恋愛と夢だけで食べていける程世の中甘くはなく、2人は安定した収入を得る為、社会人となります。ただそれだけ、社会人になっただけで2人の幸せな時間は何も変わらないはずなのに、麦の価値観は社会という環境の中で大きく変化していきます。
価値観の相違から2人は小さな衝突を繰り返し、次第にお互いへの関心が薄れて行きます。麦が発したじゃあ~といった投げやりな優しさは多忙な時、余裕がない時に誰しもが口にしてしまう行動ではないでしょうか。
絹の好きじゃないことなんてやりたくない、麦の上手くいかなかったらどうするの、どちらの気持ちも非常に分かる、思わず自分の頭を抱えてしまいました。
麦の言うように、恋愛感情がなくたって、結婚して子供が生まれて、幸せな家庭を築く人達は多勢いるし、それも正しい選択と思います。そこに、ファミレスの思い出の席に昔の2人に重なる若者がやってきます。2人は自分達の過去の姿を重ね合わせ、号泣してしまいます。もうあの頃の関係には戻れない、そうして2人は花束のような沢山の幸せな思い出だけを記憶に残し、別れることを選択します。
とても丁寧で現実的なストーリーは派手さはなくても見る人を共感させ、惹き込みます。
誰もが歳を取り、過ごす環境が変われば価値観は変化していくと思います。ただその過程で、変えたくないと思っていた部分まで知らず知らずに変わってしまっているかもしれません。
進むべき道に迷った時は、一度立ち止まって昔の自分を見つめ直してみようと思います。
自分の過去にこそ未来へ進むヒントがあるのかもしれません。
最後に、前半の大学生と後半の社会人の異なる価値観を持った麦を菅田さんは見事に演じてらっしゃいました。
たまたま観た映画でしたが、素晴らしい作品と思います。