「「花束」のような作品」花束みたいな恋をした 山田晶子さんの映画レビュー(感想・評価)
「花束」のような作品
本作は、冒頭でテンポの良い場面が出てきて、何事もなかったように余韻を持たせながら舞台が切り替わるので、「あれ?このシーンは何なのだろうか」と思ってしまう。
そして2人の出会いから始まっていく。訳がわからないところから本編が始まるという点では洋画のようで、最後まで観ないとその理由がわからない。
終電を逃した2人が居酒屋で過ごすという偶然から、一見「恋愛あるある」の王道をたどっていく展開。そう感じつつも、序盤からスクリーンに釘付けになっている自分がいた。
題名通り、手元がリボンで束ねられている「花束」のような物語。花束の花は一本一本、各々のペースで枯れていってしまう。本作で言えば、花は一つ一つのエピソード。2人の5年間(21歳から26歳まで)のやり取りを、一つ一つ丁寧に描いているため、数々の場面がリアルに心に残り、そのエピソードが飽きることなくどんどん束ねられていく。
恋とは言え、現実は楽しくて美しいことばかりではない。
そんな様々なリアリティのあるエピソードで構成される『花束みたいな恋をした』は、「切ない」ではなく
「面白かった!」という感想が出てくる作りとなっているのが大きな魅力。
例えば、絶妙なタイミングで2人の親が出現するシーンは笑ってしまう。他にも予想外のサプライズがタイミング良く出てくるので、「ラブストーリー映画は苦手」という方でも挑戦してみて欲しい。一見、王道っぽい感じでも本作は脚本が秀逸で、従来の作品とは一線を画している名作なので。
主演の菅田将暉と有村架純は驚くほど息がぴったりで、作品の質を大いに左右する難しい役どころを完璧に演じている。
BOØWY世代さん。
コメントありがとうございます。
この映画は濃密な分、余韻もあって良いですよね。世代を問わず共感が広がっているのは名作の証だと思っています。
人生半分過ぎたオジさんも半世紀前を思い出しながら楽しめました。
なんとなく映画の2人にかさなる、浜省の名盤sand castleを聴いて余韻に浸ってます。
Tsune. さま
コメントありがとうございます!
「花束」と例えると、感想が違ったりするので、本当に映画の感じ方は人それぞれで面白いですよね。
実は私も「2人合わせて1つの花束」という感覚を持っています。
「花束」について私の解釈と、全然ちがいました。
私の解釈は、「すごく綺麗で美しいが、最後には、枯れてしまった。」
そんな美しい思い出のような恋をした。
です。
見る人によって色々な解釈ができる。
だから、映画って、面白いですよね。