劇場公開日 2020年3月20日

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「ただのラブストーリーではない」弥生、三月 君を愛した30年 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ただのラブストーリーではない

2020年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

時期を逃して4月になって、「弥生、三月」を鑑賞。といっても、新型コロナウイルスの影響で多忙を極め、今頃のレビュー投稿となってしまいました。そのため、記憶が曖昧なところが多々ありますが、ご容赦ください。

鑑賞前の予告から、30年越しの壮大なラブストーリーが描かれるのだろうと予想していました。まあ、そうではあったのですが、それ以上にいろいろな内容が含まれており、胸が苦しくなったり、熱いものがこみ上げたりと、最後まで目と心を惹きつけられる作品でした。

物語は、太郎と弥生の高校時代から始まり、そこから30年の歳月の流れと、二人の人生と愛を描いています。高校時代とラストには多少の無理矢理感はあったものの、成田凌くんと波瑠さんが、それぞれの年齢に合わせた振り幅の演技を見せ、なかなかの好演だと感じました。

本作で最も特徴的なのは、その描き方です。三月だけで定時観測したかのような構成が実におもしろかったです。数年の移り変わりを、カレンダーをめくるような画面の切り替えで描き、二人の容姿が少しずつ変化し、歳を重ねていく様子が自然に伝わってきました。

そこに描かれるのは、30年間すれ違ってきた恋心だけではなく、思い通りにならない人生で味わう挫折や苦悩。それでも、その時その時で迷いながらも選んだ選択肢の結果が「今」なのです。時には必死でつかみ取り、時には手を伸ばすことを諦めた、そんな二人の姿が、冒頭から一貫して続く「バスを追いかける姿」に象徴されているように思います。

最後に、劇中の言葉「歳をとることが羨ましい」「転んだことより起き上がることに興味がある」がとても印象的でした。ラブストーリーではあるものの、本作から「人生を諦めず、いくつになっても自分らしく人生を切り開いていけ」というエールを送られたような気がしました。

おじゃる