1917 命をかけた伝令のレビュー・感想・評価
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全てが計算され尽くした映画
多くの映画レビュアーさんたちが「2020年上半期ナンバー1」と言っていた映画。タイミングが合わず劇場鑑賞ができなかったので、DVDレンタルが始まった今のタイミングでの鑑賞です。
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第一次世界大戦中、イギリス兵であるスコフィールドとブレイクの二人は重要な指令を最前線の部隊に伝える任務を託された。重要な指令とは明朝に行われる攻撃の中止命令であり、このまま攻撃してしまうとドイツ軍の罠に掛かり、1600人の命が失われる。その1600人の中には、ブレイクの兄もいた。どこに敵が潜むか分からない敵陣の中、二人だけの行軍が始まるのだった。
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この映画の特徴は何と言っても「全編ワンカット」ということでしょうか。しかし実際には「ワンカット風」ですが。DVDに付いていたメイキング映像でも明かされていますが、実際はワンカットで全て撮影しているのではなく、長尺カットで撮影された映像を上手いこと合成してワンカットに見せているようです。
この「ワンカット」というのが、戦場のシーンの緊迫感を見事に表現していたと思います。画面が切り替わることがほとんどなく、スコフィールドとブレイクの二人の後を付いていくようなアングルの映像が続くため「自分が伝令部隊の3人目になったような気分」が味わえます。
カメラのアングル・演者の立ち位置・セットの設置位置までもが完璧に計算されつくしていて、一発撮りとは思えない画角や構図やタイミングに「おぉ」と声を上げてしまうシーンもありました。
メイキング映像を観ると、その凄さが良く分かります。常に歩き続ける二人を撮影するために照明器具を設置することができず、自然光での撮影。また、天候が変わってしまうと違和感が生まれてしまうため、撮影時間の大半は「天気待ち」状態。撮影に適した気象になったら撮影をし、天気が変わったら天候が回復するまでひたすらにリハーサルを繰り返すというタイトなスケジュールで、よくここまでの作品ができたなと、本当に感心します。
戦争映画とは思えない、自然豊かで美しい情景描写も多いため、風景を見ているだけで楽しめます。
ストーリーも実に良かった。若い二人のイギリス兵が、時にぶつかりあい、時に協力し、危険な戦場を進んでいく描写も良かったし、登場シーンの少ないキャラクター達も、戦場を生き抜くために精一杯戦っていたり誰かを守るために行動していたり、一人ひとりにドラマがあります。
そして、予告編でも使われていたスコフィールドが大砲の爆撃の中を全力で疾走するシーン。予告編で何度も観たシーンなのに、あんなに感動するとは思いませんでした。あのシーンでは本当に鳥肌が立つくらいの感動を覚えました。
戦争映画ですが、血が飛び散るようなグロテスク描写はほとんど無く、数少ない出血シーンでも出血した部分が見えないように撮影されていますので、グロが苦手な方でも問題なく鑑賞できると思います。
本当に面白い映画でした。劇場で観られなかった事を少し後悔しています。
オススメです!!!
臨場体験はもちろん登場人物の心理描写が印象に残る映画
若き兵2人の対比が印象的だった。人物の心情描写が凄まじかった。
伝令を届けられなきゃ自分の兄も死んでしまうからと緊迫し、焦るブレイクと伝令を届けるために敵地を通ることを冷静に考えて慎重を期して行動するスコフィールドの表情の対比、勲章や帰還に対する意識の違いが浮き彫りになっていた。
特に帰還に対しては、悲観的な意識を持っていたスコフィールドが指令と友の想いを通じて劇中で変化していくのは辛くも目が離せなかった。
あと、カメラワークが「死」に全く焦点を当てていないのが戦争をより写実的に表現していたと思う。
土に還らんとする馬、生気を無くしたヒト、それらが映像の端々に映り、
決して画面の中心にはならず、荒涼とした戦地の有様が表現されていて、臨場感が増していた。
<余談>
観ようと思ったきっかけは、007シリーズをスタイリッシュに進化させたサム・メンデス監督作だったから。
実は普段、戦争映画は苦手であまり観ない。サム・メンデス監督作じゃなかったら興味を持たなかっただろうけど、普段観ないジャンルの映画を観るのも新たな発見があって良いなと感じられる映画だった。
使命をまっとうすること
撮影のために戦争をつくってしまっていた。
ジョージマッケイは四角くディーンチャールズチャップマンは丸かった。
朴訥なマッケイにはノスタルジーを感じた。饒舌なチャップマンにはフラグを見た。
勇敢だと思う。トムとウィルだけでなく、映った全員が、戦争を日常のようにしていた。
ラブリーボーンのPeter Jackson監督が2018年にThey Shall Not Grow Oldというドキュメンタリーを撮った。第一次世界大戦の兵士たちが写る写真や動画に色づけをしている。兵士たちはみんな笑っている。悲壮がない。「かれらは老いない」のに、まるで命に無頓着のようだった。
彼は昔の人間であり、背負った使命は特殊で希有だが、
銃剣を装着して塹壕を出る、
あふれる血を止めようとする、
嵌まった車輌を押し上げる、
薬莢をリジェクトして深呼吸する、
闇夜の影に怯えて走る、
膨張した水死体から這い上がる、
突撃の合間をひとり駆け抜ける、
それらを見ていると、自分がただ生きてるような気持ちになる。
技術を尽くして表現したかったのは責任ではなかろうか。
自分はなにかをまっとうできるんだろうか。なにか得体のしれない罪悪感を感じながら、厖大な商品がならぶモールを通って帰った。
見づらい
ワンカットという新たな試みに惹かれて鑑賞したが、そのせいで映画としてはあまり高評価のできない作品だった。
普通の映画では、様々な角度から撮った映像によってそのシーンに関する情報や景色を観客が受け取る。しかし、本作はそれらをあえて制限するという挑戦をしてしまったため、「周りの景色が見えない」「どんなところに彼らがいるのか分からない」という映像的に情報不足な状態で観客が鑑賞を続けていかないといけないという苦しい状況ができてしまう。
また、カメラワークに制限ができたため、様々なカットで視覚的に楽しませる(飽きさせない)ということも比較的できなくできなくなっている。特に会話のシーンでは、それぞれの顔をアップで撮ることがということがほとんどできないので、繊細な表情が伝わりづらい。これは、上述の情報不足の面でも言えることだ。
ただし、この撮影方法のおかげで臨場感、没入感を得るということは間違いないだろう。主人公たちに、カメラが数時間絶えず密着しているという状態が、我々観客にその現場にいるような感覚を与える。主人公があらゆる困難を乗り越え、戦闘中止の伝達を完遂したときには、本作でしか感じられない安堵感があった。それだけ彼らの置かれた状況に没入できた、ということの表れだろう。
驚異の体験。これが戦争、これが戦場。
【賛否両論チェック】
賛:ワンカット演出なので、まさに戦場の最前線へと放り込まれたような緊迫感に襲われ、ハラハラさせれること必至。そんな中でも進み続ける主人公達の姿も切ない。
否:どうしても似たようなシーンが多く、遺体のシーン等も多いので、苦手に人には向かないか。
まさにこれが戦争であって、これが戦場なんだと感じました・・・。
全てワンカットと見まがうような映像で、最前線へと向かう主人公達を追っているので、いつ戦いに巻き込まれ、いつ命を落としてしまうかも分からないという緊張感に、観ている間中ハラハラさせられてしまいます。月並みな表現ですが、本当に戦場へと放り込まれてしまったような感覚に陥ります。
そんな中でも、仲間や家族の命を救うために、歩みを止めることなく進み続けるスコフィールドとブレイクの姿は、観ていて次第に胸が痛くなってくるようでもあります。
遺体のシーンなんかが結構あったりするので、苦手な人には少し不向きかもしれませんが、極限の緊張が襲う戦場の最前線を、是非感じてみて下さい。
すごい
ワンカットによる臨場感×没入感味わえる映画体験!
1917
緊張と執念
実話だけに…
塹壕の長さを感じられる
新体験!
第二次世界大戦。戦況を左右する重大な伝令を託された兵士が、伝令を伝えるために戦場をただただ目的地へと進む。
カメラは彼をワンカットで追いかける。
観客は何の説明もなしで戦場に放り込まれるんだけど、映像から伝わってくる情報量がもの凄い。
緊迫感、戦場の広大さ、突如始まる戦闘、ぬかるみの不快さ、死体のおぞましさ、恐怖感も安心感も。主人公のスコットフィールドと時間も空間もともにすることでこんなにも身に迫るものがあるんだなと。
普通の作品だと一部で取り入れられたりする手法なんだけど、全編でやってのけるのはホントに凄い。
惣田監督の観察映画とも似てるなと思ったけど、こちらの方はぐっと主人公の目線に引き込んでくる。
あと、アンチャーテッドとかプレステのアクションゲームやってる感覚にも近い。
臨場感だけじゃなくて、映像美も素晴らしかった。
きっと実際の戦争もこうだったんだと思わせるような、長閑な時間と、緊迫の時間の緩急。死体がそこら中にゴロゴロ転がる戦場の風景。広大な野原。夜が明けて行く青の美しさ。空深い森からかすかに聴こえる歌声。戦闘シーンは多くはないものの、風景や死傷者からもまじまじとわかる戦争の残酷さ。はっとする瞬間が何度もあって、脚本も素晴らしかったなと。
スコットフィールド上等兵の、おそらく彼の人生でもっとも長くドラマチックな1日をこんなにも鮮やかに表現していることにただただ感服。
もう一度映画館で観たくなる作品。
「必ず戻って来て」泥沼の塹壕から走り出した二人の伝令
カテゴリーは戦争映画だが、一秒後に生きている保証のない切羽詰まった戦場の恐怖と、束の間の深い友情に胸を打たれる。
第一次世界大戦は汚泥と悪臭に満ちた塹壕戦だと言われ、毒ガス戦ともいわれる凄惨なものだったらしく、運良く帰還出来ても大半は精神を病んだと聞いている。
そんな大雑把な知識しかなくても、映像の緊迫感はリアルで、選ばれた2人の伝令が、味方塹壕の先端から荒れ果てた前線に這い上がるショットでは、狙撃兵の銃弾が今にも飛んできそうなサスペンスの描写が素晴らしい。
ドイツ軍の罠にまんまとはまった1600人の部隊の中に彼らの兄が居るという、上層部のずるい人選が尻を叩き、適中突破のスリルの中に男の絆を織り込む泣かせどころが上手い。
胸ポケットのハードカバーに入れられた家族の写真に「必ず戻って来て」とあるのが救いで、日本の様に「天皇の為に死んでこい」とは大違いの反戦映画だ。
人生はカットも編集もないドラマ
『24』のようにリアムタイム編集をしても十分緊迫感はあっただろうが、戦場のリアルを描くためにワンカットにこだわったのは圧巻。そこには編集のきかない希望も残虐も同居するのだ。
ストーリー自体はまさにタイトルの通り「命をかけて危険な前線まで伝令を届けに行く」だけなんだけれども、まさに今そこに生きているかのように駆け抜ける俳優たちの度胸と演技力はさることながら、どうやってその映像を可能にしたかと思わされるカメラマンたちの覚悟と実現力が素晴らしすぎる。
あんな泥だらけで凸凹の道や川のなか爆撃のなか、塵や泥や水しぶきをレンズに浴びずどうやって撮り続けたのか、否応なしに考えながら観入ってしまう。
どこまでがシナリオで、どこまでが現場のハプニングなのか。(「カメラを止めるな!」の返り血を浴びた画を敢えて使ったこととの差を思い起こさせる)
映画を観た後にメイキングを見たが、本当にカメラのパスや、クレーンや車に飛び乗らせていたとは脱帽。
ただ実際に長回しだけで撮ったのではなく、限りなくワンカットに見えるような映像に仕上げたそうだ。だとしてもその緻密に計算し尽くされた躍動感にただただ呆然とせざるを得ない。
斬新な異端作
圧巻のVFXと撮影技術に感嘆❗️
ワンカットライクってどうなんだろうと思ってた。最近の映画はカット割りが多い。まあ、カット割りが多い方が強弱がつけられ引きつけやすしね。しかし、そんなのは杞憂だった。
IMAXレーザーで見たというのもあるが、圧倒的没入感、何が起こるか、まさに一寸先は闇‼️主人公と一緒に伝令を伝えるため戦地を駆け抜けたかのよう。
今作は反戦だとかメッセージ性がどうとかではなく、現代の映画の技術全てを見せつけることが目的な気がした。
戦闘機が墜落するシーン。普通主人公たちの顔ズームくるし、何回も数秒毎にカット挟んで、誤魔化すでしょ。それをワンカットで行うことでこんなにもリアルさが増すなんて。全く違和感なくしたVFX技術には改めて驚かされた(°_°)
他にも照明弾で照らさせる、夜の破壊された街並みと影、臨場感を引き立たせる音楽、どこからともなく聞こえてくる音楽などなど。全てがこの異次元の映画体験を引き立てていた。
今作を最大限に楽しむにはIMAXレーザーが良いです(^^)
あと、彼らは生きていたを見ると当時の生々しさがより伝わってくるので是非❗️
今作、何回取り直したんだろう🤔
カンバーバッチ6ヶ月待ってたらしい、あのわずかなシーンで2300万ドル💵払われたってライアンジョンソン監督が言ってたよ😲
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