劇場公開日 2020年2月14日

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「ワンカットであるからこその没入感。ワンカットであるからこそのデメリット」1917 命をかけた伝令 Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ワンカットであるからこその没入感。ワンカットであるからこそのデメリット

2020年2月16日
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全編通してワンカットの戦争映画。この宣伝文句が衝撃的なのは、日本映画の話題作になった「カメラを止めるな!」を知っていれば分かるはず。ワンカットで映画を作ることの難しさは映画に詳しくなくても想像がつく。それが戦争映画として作られる。それだけで映画館で観る価値があるだろう。厳密にはワンカットでなかったのだが、十分すぎる功績だと思う。
実際に観賞して率直な感想としては、宣伝に嘘偽りなし!その没入感は他の映画の比ではない。
しかし一方で、ワンカットであるがゆえのデメリットも感じた。シーンの繋ぎがないゆえに時間の経過に違和感があるのだ。例えばトラックに乗って移動するシーンは、映像では5分足らずであるのに、映画のなかでは一時間は移動したような形となっている。同じように感じた場面は多数あり、ワンカットで作ってしまうと脚本にもかなりの工夫がいるのだと感じさせられた。
また、戦争映画としては特別目立った点がないのも難点かもしれない。ワンカットであるというのは映画としての特徴なのだが、戦争映画として特徴はとくにない。主人公は幸運すぎ、ストーリーは淡々としている。濃い人物が出てくるわけでもない。実話を元にしているからそうなるのだろうが、何かしらの印象的なものがほしかったところ。
全体としては満足。ワンカットの偉業は素直に称えたい。

Ko Fu