劇場公開日 2020年2月14日

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「長回しについて語ると長くなるのでカット。」1917 命をかけた伝令 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0長回しについて語ると長くなるのでカット。

2020年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 それでもちょっとだけ。必ず出てくるのがロバート・アルトマンの『ザ・プレイヤー』(1992)、ブライアン・デパルマの『スネーク・アイズ』(1998)の名シーンたち。そして、邦画でも『カミュなんて知らない』(200&)ではそれらの長回しのオタクぶりが発揮している。しかし、フィルムカメラの時代も終わり、1巻のリールという制限がなくなったデジタルカメラ時代。2006年には『トゥモロー・ワールド』という作品で「あり得ないカメラワーク」と絶賛されたが、これも仕掛けがあったし、『バードマン』(2014)も編集技術を駆使したワンカットのように見せる映画も登場した。そして今作もよく見ると気絶する部分、川に飛び込む部分でブラックアウトしている。

 日本では三谷幸喜監督もワンシーン・ワンカットにこだわっていて、『有頂天ホテル』(2006)でも試していたし、TVドラマでは『short cut』という2時間近くのものを撮っている(内容はつまらない)。最近では『カメラを止めるな!』がいい例ですが、監督をやり始めると長回し作品を撮りたくなるものなのだろう。単に長回しでも、POVや固定カメラのホラーは含まれてないみたいw

 と、やっぱり長くなってしまいましたが、この『1917』はそんなテクニックなんて忘れてしまうほど壮絶、悲惨、勇敢な戦争を見事に描いてました。ストーリー的にもほんの一兵卒の視点による伝令モノで単純なのだが、彼らに迫る砲火、銃撃、小型機墜落という凄まじいものばかり。息をつく暇もないほど、緊迫感漂う戦争映画です。

 根底には悲惨な戦争に対する反戦メッセージもあるし、サム・メンデス監督や、アカデミー賞も獲ったロジャー・ディーキンスのテクニックにより、常に主人公目線で追いかけ、兵士から見た戦場を表現している。観客はカメラと一体化したかのように戦場に参加している感覚に陥るのも見事。とにかく余計なエピソードが一切ない素晴らしさでした。そして、戦闘前の一人の兵士による歌も感動的。

kossy
kazzさんのコメント
2020年3月9日

kossyさん、コメントありがとうございました。
割りと「本当のワンカットではない」ということを書かれてるレビューが目立つのですが、ヒッチコックの「ロープ」にしてもワンカットに見えるように工夫して繋いでいます。
当然ですよね。そこが監督やスタッフの腕の見せどころですもんね。
私は、ブライアン・デ・パルマの長回しが大好きです。

kazz
ATさんのコメント
2020年2月20日

三谷幸喜の長回しドラマ、大空港はおもしろかったな。くだらなくもあったけど。

AT
グレシャムの法則さんのコメント
2020年2月18日

ご紹介されてる映画ですが、『バードマン』しか鑑賞してません。
kossyさんのレビューやコメントはいつもユーモアと親しみやすいという意味での軽やかさを感じるのですが、とてつもなく深い鑑賞眼に裏打ちされていることが改めて分かります。
さすが、『おいちゃん』です❗️

グレシャムの法則
momo8さんのコメント
2020年2月18日

kossyさん、こにちわ(^-^)v 私も小型機が突っ込んできた時、逃げました。なんか振動が伝わってくる気がしたのは、音響?これ4DXだったらヤバいんじゃない?と思ったらIMAXだけ。ある意味ホッとしました(((^_^;)

momo8