劇場公開日 2019年12月20日

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「壊さない革命。」デニス・ホッパー 狂気の旅路 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0壊さない革命。

2020年5月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

異端児デニス・ホッパーは枠組みも制約も破壊することなく、何かを変えるための革命を起こそうとした。んですよね、多分...

映画としての公開は2017年。イージー・ライダーは1969年。ラストムービーの製作が1970年前後。地獄の黙示録は1979年。2010年にロサンジェルスで死去。

ホッパーの大ファンだったと言うニック・エベリングが製作したドキュメンタリーは、ラストムービーの編集を行っていた時期から、その後の数年間の映像集(登場するクルマの年代から推測すると少なくとも1975年までの映像が使用されている)。ほぼ全部が、デニス・ホッパーの日常、語りで埋め尽くされていますが、そこからは、1970年代のアメリカの姿の一部が垣間見られ、かなり興味深い内容になってました。

プレイボーイのプレイメイトとの文化論。ハリウッドとの契約で「ラストムービー」の編集権だけは渡したくないと主張するホッパーの姿。ホッパーが撮影した1900を超えるシーンで、映画として使うのは59個で良いとホッパーに伝えるプロデューサー。

ホッパーに"拾われた"女性料理人。ホッパーに纏わりついて一時も離れようとしない恋人。フィルムチェックをしながら編集の指示を飛ばすホッパー。荒野に向かってコルト・パイソンとM16A3を撃つホッパーと親友。30人の女性を集め、3人の女とバスタブに入り濃厚なキスを交わす姿。女性達と「何も秘密を持たない事」を共有し集団ヒステリーに陥って行く場面。原爆製造の街、ロスアラモスでいきなり服を脱ぎだし全裸でシボレーC-20に乗り込む姿。

時に。カメラに向かって毒づく姿。ただ、いかなる場面においても、この人の言葉は流れ落ちる水の様に、留まることが無い。

個人的には、興味深い内容でした。デニス・ホッパー個人に対する興味がなくとも、「時代を映す鏡としてのドキュメンタリー」とてしての価値はあると思う。ちなみに、ベトナムは一切合切出て来ません。かすっても居ません。逆に、そこが斬新でもあり驚きでもありました。

女の子達へ。君たちの為に、俺は映画を撮っている。男性諸君へ。ブラブラブラブラブラ(何言ってたのか憶えてません)。

これなんか、男の真理だったりするかも知れないなぁ。って思いました。コロナ明け二本目。盆踊りに打ちのめされた頭ん中が、少しだけ回復したw

それと、この邦題考えた人。
本作、見てないでしょw

bloodtrail