すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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すばらしき(この)世界
役所広司だけをひたすら見る。
その仕草や表情、怒りや宥め、悲哀と愛らしさ、いろいろな三上正夫演じる役所広司を見る、
周りには仲野太賀、橋爪功、キムラ緑子、長澤まさみに安田成美、白竜もいるし、その人々はとてもうまく演じ、
三上をあたたかく見守るのに、
このカメラの視点は役所広司にフォーカスし続けこっちもひたすら役所広司を追いかけその感情に寄り添う
だからこそかわいくてせつない。
それくらい役所広司は素晴らしい
この三上という駄目な人間をひたすら見て、
なぜか
この自分のいる「すばらしき世界」を憂い考える
泣きました
すばらしき映画。
人情とか現代社会の生きづらさ、その中で実際生きて行く人の心の動きを丁寧に描いた作品だ。
役所広司のキレる演技は迫力がある。目の瞳孔を開いて相手を威圧し、地元言葉のように方言を使って相手を罵倒する。それからたまに見せる優しくて穏やかな顔。前を向いて生きようとした時の人間の明るさが目の輝きからすぐにわかる。悩む演技も泣く演技も、"三上"という男の人生を理解していないとあそこまで深みのある演技はできないと思う。役作りとその過程での想像力は並外れたものだし、天下一品だと思う。ここまで幅のある役を圧倒的な存在感で演じきれる俳優は、今の日本じゃこの人を置いて他にいない。
西川美和監督の作品は初めて見た。もちろん役所広司以外の俳優の演技も良かったが、西川美和監督の演出の中でそれぞれの役割を全うしてるという感じ。役者が1番輝くのは、それぞれの役割をしっかり認識した時だと思うが、あんなに豪華俳優陣が集まって誰も他の人の演技を邪魔していないというのは、監督の演出が良いからだと思う。三上が出会う人は一対一で三上と対峙しているから、これで三上が引き立つ。最期三上が亡くなった時は、三上と関わった人が集まって皆故人を黙々と悼む。その時にそれぞれ一人一人が三上に対する想いを頭の中で巡らせて、三上が生きていた時と死んだ後の世界の区別がはっきり現れている。それぞれの役割を適切に分担した上で、人が人と繋がることの意味をより深く探っているような演出をしてるように感じた。単に俯瞰視点だけでは成し得ない演出だと思う。人の心の奥深くに入って、他方で客観的に三上を取り巻く環境を構築していき、なおかつそれが自然に組み合わさってるというのは、人間一人に対して最大限その旨みを出させようとした演出だと言えると思う。
カメラの撮り方も良かった。印象的だったのはまず役所広司の背中だけ映すシーン。初めの方にワンシーン、その後に二つ目のシーンがある。一つ目は三上の中で葛藤とか悩みがある時の寂しい背中。二つ目は風呂の中で仲野太賀が三上の背中を流すシーン。この二つのシーンの対比があったからこそ、三上という人間が前に向かって進んでいるんだなと思わせたんだと思ってる。
それからたびたびある光がぼやけたシーン。万華鏡のようにいろんな光がぼやけて映ってる途中にも、俳優たちの会話は続いてる。だから綺麗な映像の中に俳優たちの声が印象深く残ってるんだと思うし、そのおかげで俳優の顔が見えた時の表情をもっと見たいと思うようになるんだと思う。
また、引きで夜の東京を上空から撮影してるシーンも似たような技法を使ってるんだと思う。ただ前者がより印象・観念の中に三上という実像を映し出していたのに対して、後者は社会の中に1人ポツンと元ヤクザが暮らしてるという寂しさを映し出していたという点で違いがあったと思う。
報われない世界でも 素晴らしき世界へ
狭い世界 広い世界
不自由な仕組みの世界
どんな所でも、そこで自分達が
幸せを見つけられたら
それは
『すばらしき世界』にできる
映画を見て
そんな風に感じさせてくれました。
優しい笑顔や我慢する役所広司
中々報われない世界の描き方が素晴らしかった。
久しぶりのすばらしき邦画
胸がつまる映画だ。どの登場人物も存在感がはっきりしていて過剰な演技をしない。これは現在の邦画ではあまり見られないスタイル(最近の邦画は何事もオーバーで見てられない)。西川監督作品は今回がはじめて。人物描画がブレることなく的確に描くから説得力がある。キャメラも秀逸で人間性を鋭く捉え、時折り幻想的かつ詩的なショットを映す。役所広司さんが今回もまた素晴らしい。元ヤクザが直面する現代社会との苦闘を演じているが、役所さん自身の人間性がそこかしこに滲みでている。PERFECTDAYSでも思ったけど役所さんの笑顔はチャップリンのあのチャーミングな笑顔と似ていてほんとに魅力的だ。ラストショットもしごく秀逸。ここでも余計なことは一切しない。悲嘆にくれる人たちをそのまま撮っているから返って強烈だ。また、キムラ緑子さんという女優の演技が強く印象に残った。貫禄や寛容さが濃くて素晴らしかった。こういう邦画がもっと出てくれたら、と願う。
特殊解では済ませたくないとの“すばらしき世界”へのメッセージとの思いに至り…
この公開年、キネマ旬報では、
前評判通りに「ドライブ・マイ・カー」が
第1位に選ばれる中、
選考委員の10点満点を付けた選考委員の多さ
では「ドライブ…」に次いで多かった結果、
第4位に選出された作品。
そして、原作者及び制作陣の想いを
強く感じる作品ではあった。
殺人をよる13年の刑期を終えた主人公が、
彼を社会に迎え入れようとする温かい人々に
支えられ更生を図るという、
正に“すばらしき世界”を希求する想いに
満ちあふれた作品に感じた。
周りの善意の支えられ
更生への強い決意がありながらも、
社会慣習の壁に、
時折、身に付いた暴力性が頭をもたげる。
しかし、最後にはそんな危機も脱して
“すはらしき世界”を感じつつ絶命する主人公
を演じた役所広司の演技力が
作品を支えていた印象。
ただ、どうしても私には特殊ケース的に
感じざるを得ない印象ではあった。
主人公が再度ヤクザ世界に
足を踏み入れそうになった時に
警察のガサ入れで救われることも、
身元引受人夫婦夫妻も、
主人公を取材する男性も、
役所の生活保護担当者も、
スーパーの店長も、
ヤクザ組長の妻も、
主人公の元妻も、
余りにも理解ある人々が
偶然にも周りに居過ぎる設定に違和感が。
現実にはなかなか無いこと
なのだろうな、と。
しかし、特殊ケースだけに
監督はじめスタッフの想いがそこに、
と理解をすべき作品だったのかも知れない、
との思いに至った。
特殊解では済ませたくない
“すばらしき世界”
への期待のメッセージとして。
役所広司どんな役でもこなすなあ
特に狂気が重なると神がかって見える。
あーこんな人が世の中にいるんやなという強い説得力を醸し出す。
相手を叩きのめし快感を得た笑顔と
子供たちと遊びながら笑う場面は同じ表情なのにあきらかに違うのがわかる。
凄いねえ
長澤まさみもチョイ役ながら存在感を示す好演。
70点
MOVIX亀有 20210217
気押され呑まれていた
気付くと夢中でスクリーンに釘付けになり、役所さん演じる三上が身近にいるような錯覚に陥り、映画と現実の区別がつかなくなりました。それぐらい、演出、脚本、演技がすごい映画でした。西川監督、師匠を超えたんじゃないでしょうか。
いろいろと思いがあります。伝えたいこともたくさんありますがまとまりません。
すばらしき世界、このタイトルにいろんな意味があること、すばらしき世界はあったのか、やってきたのか、いけたのか、幻なのか、現実なのか、そもそもなんなのか、、、、反芻して考えましたがとても難しいです。
是非、ご覧になってお感じ下さい。
もう刑務所に戻りたくない三上は 身元引受人の弁護士・庄司(橋爪功)、 近所のスーパーの店長(六角精児)、 保護司(北村有起哉)などの善意に触れることで少しづつ変わっていく。
動画配信で映画「すばらしき世界」を見た。
劇場公開日:2021年2月11日
2021年製作/126分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
役所広司
仲野太賀
六角精児
北村有起哉
白竜
キムラ緑子
長澤まさみ
安田成美
梶芽衣子
橋爪功
三上(役所広司)は人生の半分を刑務所の中で過ごしてきた男。
この男をネタにしようとするテレビディレクターの津乃田(仲野太賀)。
津乃田に電話してきた、いい声の女性プロデューサーの吉澤は誰かと思ったら
長澤まさみだった。
短気で出所後も頻繁に暴力的な行為に及ぶ三上。
正義感からだとはいえ、その行為は社会では容認されない。
もう刑務所に戻りたくない三上は
身元引受人の弁護士・庄司(橋爪功)、
近所のスーパーの店長(六角精児)、
保護司(北村有起哉)などの善意に触れることで少しづつ変わっていく。
やっと就職先が決まりこれからという時に、
事件は起こる。
終盤泣けるシーンがある。
キムラ緑子が演じるヤクザの姐さんもよかった。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
TOHOシネマズの売店で店員さんに、「すばらしき世界のパンフくださ...
TOHOシネマズの売店で店員さんに、「すばらしき世界のパンフください!」って言ったら花束みたいな恋をしたのパンフが出てきて、「すばらしき世界のパンフです」って言ったら名も無き世界のエンドロールのパンフ出てきて、「すばらしき世界のパンフです」って言ったら「世界が同じだから間違えちゃいましたえへへ」って言っててすばらしきドジっ子だった。
役所広司の演技で4点
衝動を抑えることができず社会のルールに適応できない主人公が、苦しみながらも周囲のサポートもありなんとか適応していこうとする物語。
こう書くと物語としては平凡だが、役所広司の演技が素晴らしく、この作品を印象的なものとしている。
死生観をちょっと変えてくれた。
映画館で見て良かった映画1位でした。
ネットで簡単に「性犯罪者は死」だとか「犯罪者は~~」と書くけれど、誰もその後の人生を考えたことはなくて
犯してしまった罪と更生という点をとても考えさせられました。
初めて見た時は「こういう映画が国際なんとか賞取るんだろうなあ」という感想しかなかったけれど、
後々、生きていると「こういう時にあの映画のことが大事なんだなあ」と思えます。
あとすばらしき世界という題名とエンドロールで流れた原作の名前に監督を感じました笑
すばらしき役所広司
主人公だから当たり前ですが映画全編ほぼ全ての映像におっさん(役所広司)が映り込みます。笑
しかし、画が保つ!それほどの圧倒的な演技力!終始見入ってしまいました。
どん底からの人生再スタート、もがき苦しみながら泥臭く懸命に社会復帰していく様子に心打たれました。
もしかしたら人間社会というのは全体的には酷いけど、いいこともある的なことを言いたかったのかもしれない。
今村昌平監督の『うなぎ』みたいな映画なのかなと思って見たけど、だいぶ違っていた。
主演も役所広司さんで同じだし、ネタ的にも近いものがあるけど、『うなぎ』というより今流行りの”おっさんブチ切れ映画”(自分で勝手に呼んでるだけだけど、『アオラレ』とか『ミスター・ノーバディ』とか『ファイル・プラン』とか『ドント・ブリーズ』みたいな映画)に近いものだと思う。
先がどうなるか分からなくて、ハラハラドキドキして面白かった。
とにかく役所広司さんがうまくて、ほとんど一人芝居みたいなもので、どのシーンも役所さんが出ていて、役所さんで始まり役所さんで終わるみたいな映画だった。
この映画を監督した西川美和さんって、『ゆれる』と『ディア・ドクター』しか見たことなくてあまり注目してなかったけど、こういう”おっさんブチ切れ映画”みたいな流行りにいち早く気づいて、乗っけてきたのなら、そうとうセンスがいい人かも?
この映画は原案があるらしいけど、現在オリジナルを中心にやるような監督は、自分のやりたいことをやるだけの人が多い。
それだとたまたまヒットすることはあっても商売になりにくいので続かない。
世間の求めるものに合わせながら自分のやりたいこともやって、尚且つ面白い映画を作るのは相当な実力がないとできないと思う。
この映画は『すばらしき世界』とか題名がついているので、最後はすばらしい世界になって感動するのかと思ったけど、最後まで見ても全然すばらしくなくて「酷い世界」で終わったような気がした。
この映画の主人公は頭が悪くて、怒りを我慢できないから酷いことになるという自己責任もあるけど、親とかこの人物の周辺の人、それから社会も酷いと思う。
でも酷いばかりではなくてたまには助けてくれる人もいて、何度も破滅の危機があったけど、とりあえず主人公が暮らしていけたのが救いだった。
でも前科のある人だけじゃなくて、普通の人もこんなもんかもしれないと思った。
現実でも酷い人が多いけど、たまには助けてくれるいい人もいて、やなことばかりが多いけど、たまにはいいこともある。
天国ではないにしろ、地獄でもないみたいなアンビバレントな感じだと思う。
もしかしたら人間社会というのは全体的には酷いけど、いいこともある的なことを言いたかったのかもしれない。
全455件中、61~80件目を表示