すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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息苦しいのなら、相手に「自分の想い」を伝える勇気を持とう♪
冒頭からすんなり映画の世界に引き込まれました。
TVディレクターの津乃田さんが、主人公三上に、
「ネグレクトにあった子どもは脳に損傷を受けている。怒りや暴力性をコントロールできない。三上さんは、お母さんと離されて、ずっと傷ついているんじゃないんですか」
と踏み込むシーンからは、涙腺がユルユルに…。
その後、自分が育った児童養護施設で、子どもたちとサッカーに興じている三上が、急に泣き崩れるシーンがありました。
彼の母親の代わりに「つらかったね、頑張ったね」と抱きしめてあげたくなりました。
この世は、とかく息苦しく、生きにくい。
「いやだな」「不当だ」と思ったときに、暴力ではなく言葉で表明できる賢さを持とう。
伝える勇気を持とう。
それによって、その場所を追い出されたら、諦めずに次の居場所を見つけよう。
空気を読んで、愛想笑いをして、自分を欺いてたら、そのストレスで死んでしまうよ。
うつむくのはやめよう。
顔を上げれば、すばらしき世界は広がっている…はず?
自分の持っているたくさんの幸せを大切にしたいと思いました。
今の世界はすばらしいか
2021年2月11日@イオンシネマ大日
公開前からあらすじを読んで気になっていたので公開初日に鑑賞しました。
NHKで西川監督を特集した番組を拝見したせいか期待値が高くなっていました。
感想は、面白かったです。ただ、少し分かりやすすぎるストーリーだったなと思いました。
すこし不満があるのは三上以外の登場人物の描き方。
津乃田はなぜ急に使命感に燃えて、三上を支援するようになったのか見えにくい。(人間の行動はいつも理由があるとは限らない、あいまいで良い加減ということなのかもしれないですが、、、)
六角精児演じる松本も同郷というだけで良い奴すぎませんか笑
長澤まさみ演じる吉澤もチョイ役すぎて、物語に必要だったのかなぁと思いました。
そして三上もなぜ死なないといけなかったのか。原作ものだから仕方ないのですが、このタイミングで死ぬのかぁと残念に思いました。
映画全体を通して、刑務所帰りの人間に対して、社会は不寛容で、生きづらい世界であることが、よく描かれていました。更生とは、言うのは簡単ですが、現実は非常に難しいです。まともな仕事に就けず再犯する確率も高い。
西川監督はそういう現実も描きたくて、2年かけて取材をされたでしょう。
下稲葉の妻が、シャバは生きづらいけども空が広い、と三上に逃げるよう説得しているシーンは刺さるものがありました。
三上が死ぬ直前にコスモスの匂いを嗅いで、なにを思ったのか。
職場でいじめられている知的障害のある同僚は社会から邪魔者扱いされる、まさに三上と同じ境遇。そんな彼を助けられないもどかしさを感じながらも、三上自身も社会に適応するため、見て見ぬふりをする。コスモスは三上の複雑な心情を表すものなのかと思いました。
学生時代に、刑事政策を学び、刑務所の見学や、出所後の方と話す機会を通じて、犯罪者の更生について考えることがありました。
今の日本社会は一度でも罪を犯した人間に対して、非常に不寛容です。統計をとれば、厳罰化を望む国民が大半です。(被害者の人権も大切であることは十分わかっています)
犯罪者は同じ人間ではないと心のどこかで線引きしてしまっているのです。
しかし、犯罪者全員を一生刑務所で飼い殺すことなどできません。出所後の人間もまともな仕事に就いて、お金を稼がないと生きていけない。
にもかかわず、感情的に厳罰化を望み、彼らを社会から除け者にすることは、更生から遠ざけ、再犯のリスクを高めるだけです。
「すばらしき世界」が指すものとはなんなのか。
映画では答えは出ません。観ている側への問いかけなのでしょう。
社会から邪魔者扱いされる者にとって、今の世界は良い社会なのでしょうか。
下稲葉を白竜が演じていたのは笑いました。あの場面だけVシネマでした笑
服役したヤクザの苦悩が秀悦
よかったと思います。が・・・
私自身、映画の見方がまだ確立していないので、断片的な感想になります。
いい作品だと思いましたが、正直「ディア・ドクター」や「永い言い訳」の方が面白かったです。
いくつかの話から構成されているのですが、もう少し膨らませてほしい気がしました。子供のころ育った施設での話や勤めることになった介護施設での知的障害があり前科があるという青年の扱いのことなどです。それらが上手くつながってスムーズな流れになったら良かったのにと思いました。
それからタイトルの「すばらしき世界」ですが、世界が世間を指すのなら、決して「すばらしくはない」現実として表現されていたのではないでしょうか。
最後にまた刑務所に戻るというストーリーもありえないことはないと思いました。
役所広司は素直に上手いと思います。
以上です。
「ヤクザと家族」もあわせて観るとよりいいかも!
殺人の刑期を終えて一般社会に戻ってきた元ヤクザの三上と、三上をテレビのドキュメンタリーで取材しようとする津乃田。2人の交流を中心に元受刑者の社会復帰の難しさを描く。
最近観た「ヤクザと家族」でもそうだったが、暴対法によってヤクザがいかに生き残りづらくなったのかがわかる内容だった。三上にしたら別世界に連れてこられた気分だろう。
罪を犯してもその罪を反省することがない人間なんていくらでもいる。三上も罪を反省しているわけではなく、刑務所に戻りたくないからカタギになるという意識だった。だからこそキレやすく、暴力で解決しようとしていた。でも、それらとは関係のないところでその人の人間性というものがあるのだとも感じた(全くの無関係とは言わないが)。応援する人が増えていくのも納得。
本作はさらにヤクザになったり、犯罪を犯したり、キレやすい人間の根底には親からの愛情不足があったんじゃないかというところまで踏み込んでいるところが興味深い。
それにしても西川監督はさりげないシーンの演出がうまい。夜景の東京タワーが映るシーンとか、子どもがお母さんを探して泣いてるシーンとか、最後の洗濯物取り込むシーンとか。細かい説明がなくても伝わるものがある。今年はヤクザ絡みの名作が続くな。
圧巻。
わざとらしいのが味がある
ラストがなぁ……
まっすぐすぎる男
構造の中の悲劇とスクリーン
藤井道人監督の『ヤクザと家族』といい、淘汰されてゆくものの中に例外的な善性をロマンティックに見出し現代の「生きづらさ」を表象する、というのは賞レース的にも扱いやすい題材だし、それ抜きにしても素晴らしい作品であればいいけどなんで揃いも揃ってそこに「破滅の美学」的な「死」の終わり方しか発想が無いんだろうか。「感動」や「納得」、から誘導させる「考えさせられた」的なラストは刹那的な快感を得られる一方で、社会問題を大義名分化させた賞レース目当ての大喜利を見させられている気分になる。
もっと、「唖然」とさせられるような評価が真っ二つに割れ、批評が批評を呼び込み生み出すような作品以外は全部社会問題を大義名分とした感動ポルノにしか見えません。そんな作品だけが世界に溢れすぎてる。
渋い
ヤクザと家族を見たばっかりだったからか、比べると少し地味かな。少しまったりした印象。
ただとにかく役所広司がいいですね。人間味があって、ところどころなんかかわいい。さすがですね。まっすぐで、だからこそ社会でうまく生きられない。自分を殺して生きるくらいならいっそ死んでしまいたい。人をバカにして差別して弱いものいじめして、でも社会的には真っ当に生きてる人間との対比が考えさせられる。
周りも素敵な俳優さんばかりだったから安心してみてられた。出演シーン短かったけど、長澤まさみキレイ、そして久しぶりに見た安田成美もキレイ。。54歳だと!素晴らしい👏
にしても祝日にあわせて、今週の映画始めてくれるのはありがたいー週末が早めに来た気分♫
どんなに償ってもあがいても・・・
これはコメディー映画だと思って楽しく見ていましたが、その勘違いがよけい反動を招いたのかもしれませんが、最後、いやーな思いになってしまいました。
質の悪い映像でしたが、出演者のパフォーマンスはいずれも素晴らしかったです。役所さんは当然誰よりも凄かったんですが、六角さんはじめ全脇の面々も大変面白かったです。ケーキを囲んだささやかなパーティーなんて、最高に面白かったです。
大いに笑いナチュラルに泣けたのに、わざわざ泣かそうとしなくても・・・と思ったんですが、泣かそうとしたのではなく結局現実世界はこうなんだと示したかっただけなのかなーと邪推するところなんですけれど、作り話くらい大きな希望を持たせてもねーなんて思ってしまいました。
還る場所と皮肉
エンドロールですぐに立ち上がれない
この薄汚れたすばらしき世界
我々の住むこのすばらしき世界には、たくさんの鳥が居ますが、皆一様に灰色(グレー)である。
そこへ、三上と言う一羽の白い鳥が舞い込んでくる。この白い鳥は正しいと思ったことは主張してやまない正義の鳥でした。
しかしこのすばらしき世界は見て見ぬふりや不正義でも、のうのうとして生きていられる世界で、三上は何とか、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、このすばらしき世界で生きていこうと懸命に努力をするのですが・・・
ある日、我慢の無理が祟り、三上は天に召されてしまいます。
所詮、彼はこの薄汚れたすばらしき世界にはなじめなかったのでした。
今更ながら、このすばらしき世界で曲がりなりにも長年生きている自分に涙が出ました。
【身分帳】を渡した三上の思いとは。
西川監督作品で初出演となる役所広司さんの抜擢に期待をして、どんな作品なのだろうかと期待していたのもあるが、何かグッとくるシーンをもっと丁寧に描いて欲しかった、何よりそれぞれの登場人物に感情移入するような演出が足りない気がして不完全燃焼という印象です。
今までの西川監督作品はオリジナル脚本で、今回は原作【身分帳】を基に脚本化した作品とあるのか、監督自身もディテールをどこまで出していいのか悩まれたのでは。
以前、宮藤官九郎さんのラジオに監督が出演されていた時に、この『身分帳』という本来では世に出ないもの…という唯一無二のネタを、なんでこの三上が書き写したのか…という背景があれば、更生しようと奮闘する三上本人の生き様や、周りの優しさに共感できたのかもしれません。
…とは言っても、原作を崩さず脚本化するのは大変だし、映画を制作する努力は作った者しかわからないわけで、一視聴者が生意気に言うのは違うと思いますが。
また機会があれば2回目を観てみようと思います。
しあわせとは何か
人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の生きづらさを細かい所まで描いています。
真面目に働く意思があり、まっとうに暮らしたいと思う人にもっと寄り添える社会であってほしいし、自身への戒めにもなりました。
なぜなら生きづらさは誰もが多少なりとも抱えてるものだからです。
監督が細やかな方で、丁寧に撮ってるんだなぁと思いました。
観ているうちに、三上の親戚になった気分になり、ところどころハラハラさせられ、
最後まで彼の行く末を案じてしまうのは、
演じたのが役所広司さんだったからでしょうか。愛おしく思えました。
仲野太賀さんは自然に「普通の人」を演じられる稀少な役者さんだと思っているのですが、今後もますます楽しみです。
考えさせられるところもあり、
心がゆさぶられるところもあり、
総じてすばらしい映画だと思いました。
予想どおり役所広司だけに安定感抜群、手堅い。
今日本の役者で一番安定していると思われる役所広司。役も選べるだろね。
監督の力もあるだろうけど。安定感抜群。あとどうでもいいけどこのパンフレット、脚本ついてて結構豪華というよりボリューミーすぎ。値段相応ではあります。
暴力的な犯罪者だが、根は悪人になりきっていない真面目で真っ直ぐな面もある人間。
刑務所出所して、身元引受人の弁護士と、最初は冷淡だった生活保護担当の役人、スーパー経営の町内会長、
そして狂言回しのテレビ製作会社を辞めた作家志望の青年
それぞれに支えられつつ、何とか自立しようと悪戦苦闘
同時期上映で少しテーマがかぶる「ヤクザと家族」と違い、この主人公の周囲の社会は前科者にそれほど冷淡ではない。
主人公の根は悪くない性格を察して、皆応援してくれる。
途中、主人公もヤケになって元の暴力団の組長のところに戻ったりするが、暴対法の影響かそこに居場所がなかったのは「ヤクザと家族」と同じ。
悪戦苦闘しつつ介護の時間給職員になり、何とか堪えどころも堪えてめでたしめでたし。
東京タワーを中心とした俯瞰から、主人公の住んでいると思われる下町足立区あたりに近いスカイツリーの背景へ
主人公もだんだん社会に馴染んでいく。
まあ元ヤクザはこういう根は真面目な人間、ただし生育環境、この映画の場合、母親が施設に預けるのだけれど、この生育環境が故に軌道を外れてしまった人間が、実際は半分くらいはいるんだろねぇ。それくらい両親の愛情、特に母親の愛情は重要だよなぁ。
それに確かに再犯率は高いけど、堪えるところは堪えて、馴染むべきところは馴染んで、周囲と繋がりを気づいていくことが重要なんだろねぇ。
なんか暖かい、世の中捨てたもんじゃないと思わせる映画。これは監督の力量だろうけど、飽きないし、ストーリー展開も容易で快適。ぜひオススメの作品。大人なら万人受けするタイプ。実社会もこのとおりだといいんだけど。主人公に感情移入できること間違いなし。
ただ①長澤まさみ演じるプロデューサーの言「喧嘩仲裁して止めるか、カメラ回し続けるか」は大正論。映画とは言えなんで狂言回しの青年、その場から逃げるか意味不明?
②昔デカい車乗り回していた人間は服役でブランクあっても、歳とってもあれ程教習所レベルで運転ヘタクソになることはありえない。ただし上級国民と呼ばれるクソジジイは除くけど。
何はともあれ、疲れないし佳作、人間の繋がりって重要だよなぁ。あと当たり前に思ってしまう「仕事がある」ことのありがたみ感じました。個人的に。
すばらしき世界とはなんだったのか
殺人で服役した男が出所後に体験した社会のお話
幼い頃より問題行動を繰り返し力で生きてきた三上でも社会に出ればお金のないただの人。生活保護を受けながらも自立を模索するのだけれど…
感情論でいえば三上の言うことも理解できるが物事にはルールがある。それが守れなかったからこその現在なのだろうが三上にはそれが理解できない
生きるために罪は犯したが悪人ではないのだろうとなんとなくはわかるけど短絡的で粗暴な性格から手を差し伸べてくれる人達に背を向けて孤立していく姿が悲しかった
それでもなんとか社会に復帰してみたのはいいけれど社会に馴染むために必要だったのは自分を押し殺すこと
それでも生きていればよいことだってある
自分を押し殺した先にみた景色は
すばらしい世界だったのだろうか
それがすごく気になりました
心に何かが残った映画です
最後に一言
元気の出るクスリいれますか?と言う姐さんが異様に色っぽくてソープの場面よりドキドキいたしました(ハァハァ)
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