すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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タイトルの意味
「出所後のヤクザ」といシュチュエーションは最近観た「ヤクザと家族」と似ているが、どちらかというと、今作はヤクザというより、前科者の更生を中心に社会の不寛容さを、一方で心ある人間の善意を描いていると思う。
強がってるけど、脆さを内包した繊細な三上役を役所さんが演じると妙に説得力がありますね。脇を固める俳優陣も渋くて、確かな仕事っぷり。嫌なやつ代表のような長澤まさみが最高にいいスパイス(笑)
とにかく、みんながいい人過ぎて上手くいってるのに、観ていて破滅の予感しかしない不穏さ。そしてこんな世の中なのに「すばらしき世界」というタイトルにする西川監督はすごいと思った。タイトルバックの出し方も妙に納得してしまった。
役所広司に拍手
映画の内容は、先日観た ヤクザと家族の違う側からのですが、役所広司はじめ、太賀くん、六角さんに安田成美、北村有起哉さんはいたっては、ヤクザと家族でも熱演、しかも全く正反対の役柄やし。
その他の皆さん良かった。
やはり役所広司はすごいわ
人懐っこさもありながら
瞬間湯沸かし器の様にキレてすごみも出したり
この映画はどんな内容か全く知らなかったが役所広司の演技を観たくて。
やっぱりすごい!
満足でした。
ただ、この監督の作品。
永い言い訳も、わたしには刺さらず、今回も内容的にはそんなに、かなぁ
役所広司ありきです!
それでも大満足!
お風呂屋のシーン良かったな
人はなかなか変われないので
三上の成長はあれが限界だったのかな?
知的障害のある同僚を見て見ぬふりじゃなく、暴力を使わない解決方法を出来たら良かったのに。
実際には愛想笑いで心はパンク寸前。
もらったコスモス。
カタギの始まりで病死になるのが運命だったのかな。
コスモスを握りしめて旅立った時は幸せな人生だったと思って欲しい。
施設で泣き崩れるシーン。
お風呂のシーン
最後の号泣シーン
心を揺さぶられました。
映画を観入ったのではなく、三上に魅力されました。
今年鑑賞の映画『プペル』『ヤクザと家族』に共通するテーマ「生きづらい世の中」に偶然とは言い難い揃い踏み。
4歳で親に捨てられた少年が、親の愛情を渇望しながら安逸な生き方をしてきて、ついに前科10犯。人生の半分以上を刑務所で過ごし、出てきた時には浦島太郎になっていたわけです。
最後に刑務所に入ったのは懲役10年ほど。しかし刑務所内でも、何のかんのと問題を起こし、懲罰を喰らい、刑期が延びて延びて結局13年をムショ暮らしして出所する、そんな初老の元暴力団員を演じるのが役所広司です。
彼は左上半身にだけ入れ墨の下絵(筋彫り)を入れていますが、まだほとんど色は入っておらず、中途半端なままで放置されていて、ヤクザにすらなりきれない彼の中途半端な人生を示しています。
ただ、彼の暴力には一定の傾向がありました。
自分の正義感に反することに遭遇した瞬間、決して許せず見逃せずに、後先考えずに暴行に走る、それが彼の一貫した傾向でした。
自分を抑えることを学び、物事には何通りもの見え方があるということを教えてもらうべき幼年期に両親から捨てられてしまったことが、こんなところに深い影響を及ぼしているわけです。
ほとんどの累犯と同様、この初老の元暴力団員にも絶望的に欠けているのは人間関係でした。
だからこそ、自分を捨てた母親に一目会いたいと願い、その気持ちにつけ込んだテレビ局の取材を許してしまうのです。
冷血で嘘つきなディレクターを演じる長澤まさみの登場シーンは、実はほとんどありません。
なので彼女期待で観た人は、ちょっとガッカリするかも知れません。
演技は上手いのですけどね。
この映画の凄いところは、「マスゴミ」側だった仲野太賀が、カメラを投げ捨て、人間として目覚め、成長していく道程にあるのかも知れません。
仲野太賀はまったく一寸の緩みもなく、この役柄を見事に演じており、ほとんど主役に匹敵する活躍で、感心しました。
というわけで、ほぼ満点ペースの作品だったのですか、最後の最後で、映画監督が安易なところに逃げ込んでしまったのが、返す返すも残念でなりませんでした。
あのようなエンディングではなく、もっとキチンと、描きにくい面を、真正面から肝を据えて描き切らないと、本当に胸を打つドラマにはなれないと思うのです。
息苦しいのなら、相手に「自分の想い」を伝える勇気を持とう♪
冒頭からすんなり映画の世界に引き込まれました。
TVディレクターの津乃田さんが、主人公三上に、
「ネグレクトにあった子どもは脳に損傷を受けている。怒りや暴力性をコントロールできない。三上さんは、お母さんと離されて、ずっと傷ついているんじゃないんですか」
と踏み込むシーンからは、涙腺がユルユルに…。
その後、自分が育った児童養護施設で、子どもたちとサッカーに興じている三上が、急に泣き崩れるシーンがありました。
彼の母親の代わりに「つらかったね、頑張ったね」と抱きしめてあげたくなりました。
この世は、とかく息苦しく、生きにくい。
「いやだな」「不当だ」と思ったときに、暴力ではなく言葉で表明できる賢さを持とう。
伝える勇気を持とう。
それによって、その場所を追い出されたら、諦めずに次の居場所を見つけよう。
空気を読んで、愛想笑いをして、自分を欺いてたら、そのストレスで死んでしまうよ。
うつむくのはやめよう。
顔を上げれば、すばらしき世界は広がっている…はず?
自分の持っているたくさんの幸せを大切にしたいと思いました。
今の世界はすばらしいか
2021年2月11日@イオンシネマ大日
公開前からあらすじを読んで気になっていたので公開初日に鑑賞しました。
NHKで西川監督を特集した番組を拝見したせいか期待値が高くなっていました。
感想は、面白かったです。ただ、少し分かりやすすぎるストーリーだったなと思いました。
すこし不満があるのは三上以外の登場人物の描き方。
津乃田はなぜ急に使命感に燃えて、三上を支援するようになったのか見えにくい。(人間の行動はいつも理由があるとは限らない、あいまいで良い加減ということなのかもしれないですが、、、)
六角精児演じる松本も同郷というだけで良い奴すぎませんか笑
長澤まさみ演じる吉澤もチョイ役すぎて、物語に必要だったのかなぁと思いました。
そして三上もなぜ死なないといけなかったのか。原作ものだから仕方ないのですが、このタイミングで死ぬのかぁと残念に思いました。
映画全体を通して、刑務所帰りの人間に対して、社会は不寛容で、生きづらい世界であることが、よく描かれていました。更生とは、言うのは簡単ですが、現実は非常に難しいです。まともな仕事に就けず再犯する確率も高い。
西川監督はそういう現実も描きたくて、2年かけて取材をされたでしょう。
下稲葉の妻が、シャバは生きづらいけども空が広い、と三上に逃げるよう説得しているシーンは刺さるものがありました。
三上が死ぬ直前にコスモスの匂いを嗅いで、なにを思ったのか。
職場でいじめられている知的障害のある同僚は社会から邪魔者扱いされる、まさに三上と同じ境遇。そんな彼を助けられないもどかしさを感じながらも、三上自身も社会に適応するため、見て見ぬふりをする。コスモスは三上の複雑な心情を表すものなのかと思いました。
学生時代に、刑事政策を学び、刑務所の見学や、出所後の方と話す機会を通じて、犯罪者の更生について考えることがありました。
今の日本社会は一度でも罪を犯した人間に対して、非常に不寛容です。統計をとれば、厳罰化を望む国民が大半です。(被害者の人権も大切であることは十分わかっています)
犯罪者は同じ人間ではないと心のどこかで線引きしてしまっているのです。
しかし、犯罪者全員を一生刑務所で飼い殺すことなどできません。出所後の人間もまともな仕事に就いて、お金を稼がないと生きていけない。
にもかかわず、感情的に厳罰化を望み、彼らを社会から除け者にすることは、更生から遠ざけ、再犯のリスクを高めるだけです。
「すばらしき世界」が指すものとはなんなのか。
映画では答えは出ません。観ている側への問いかけなのでしょう。
社会から邪魔者扱いされる者にとって、今の世界は良い社会なのでしょうか。
下稲葉を白竜が演じていたのは笑いました。あの場面だけVシネマでした笑
服役したヤクザの苦悩が秀悦
よかったと思います。が・・・
私自身、映画の見方がまだ確立していないので、断片的な感想になります。
いい作品だと思いましたが、正直「ディア・ドクター」や「永い言い訳」の方が面白かったです。
いくつかの話から構成されているのですが、もう少し膨らませてほしい気がしました。子供のころ育った施設での話や勤めることになった介護施設での知的障害があり前科があるという青年の扱いのことなどです。それらが上手くつながってスムーズな流れになったら良かったのにと思いました。
それからタイトルの「すばらしき世界」ですが、世界が世間を指すのなら、決して「すばらしくはない」現実として表現されていたのではないでしょうか。
最後にまた刑務所に戻るというストーリーもありえないことはないと思いました。
役所広司は素直に上手いと思います。
以上です。
「ヤクザと家族」もあわせて観るとよりいいかも!
殺人の刑期を終えて一般社会に戻ってきた元ヤクザの三上と、三上をテレビのドキュメンタリーで取材しようとする津乃田。2人の交流を中心に元受刑者の社会復帰の難しさを描く。
最近観た「ヤクザと家族」でもそうだったが、暴対法によってヤクザがいかに生き残りづらくなったのかがわかる内容だった。三上にしたら別世界に連れてこられた気分だろう。
罪を犯してもその罪を反省することがない人間なんていくらでもいる。三上も罪を反省しているわけではなく、刑務所に戻りたくないからカタギになるという意識だった。だからこそキレやすく、暴力で解決しようとしていた。でも、それらとは関係のないところでその人の人間性というものがあるのだとも感じた(全くの無関係とは言わないが)。応援する人が増えていくのも納得。
本作はさらにヤクザになったり、犯罪を犯したり、キレやすい人間の根底には親からの愛情不足があったんじゃないかというところまで踏み込んでいるところが興味深い。
それにしても西川監督はさりげないシーンの演出がうまい。夜景の東京タワーが映るシーンとか、子どもがお母さんを探して泣いてるシーンとか、最後の洗濯物取り込むシーンとか。細かい説明がなくても伝わるものがある。今年はヤクザ絡みの名作が続くな。
圧巻。
わざとらしいのが味がある
ラストがなぁ……
まっすぐすぎる男
構造の中の悲劇とスクリーン
藤井道人監督の『ヤクザと家族』といい、淘汰されてゆくものの中に例外的な善性をロマンティックに見出し現代の「生きづらさ」を表象する、というのは賞レース的にも扱いやすい題材だし、それ抜きにしても素晴らしい作品であればいいけどなんで揃いも揃ってそこに「破滅の美学」的な「死」の終わり方しか発想が無いんだろうか。「感動」や「納得」、から誘導させる「考えさせられた」的なラストは刹那的な快感を得られる一方で、社会問題を大義名分化させた賞レース目当ての大喜利を見させられている気分になる。
もっと、「唖然」とさせられるような評価が真っ二つに割れ、批評が批評を呼び込み生み出すような作品以外は全部社会問題を大義名分とした感動ポルノにしか見えません。そんな作品だけが世界に溢れすぎてる。
渋い
ヤクザと家族を見たばっかりだったからか、比べると少し地味かな。少しまったりした印象。
ただとにかく役所広司がいいですね。人間味があって、ところどころなんかかわいい。さすがですね。まっすぐで、だからこそ社会でうまく生きられない。自分を殺して生きるくらいならいっそ死んでしまいたい。人をバカにして差別して弱いものいじめして、でも社会的には真っ当に生きてる人間との対比が考えさせられる。
周りも素敵な俳優さんばかりだったから安心してみてられた。出演シーン短かったけど、長澤まさみキレイ、そして久しぶりに見た安田成美もキレイ。。54歳だと!素晴らしい👏
にしても祝日にあわせて、今週の映画始めてくれるのはありがたいー週末が早めに来た気分♫
どんなに償ってもあがいても・・・
これはコメディー映画だと思って楽しく見ていましたが、その勘違いがよけい反動を招いたのかもしれませんが、最後、いやーな思いになってしまいました。
質の悪い映像でしたが、出演者のパフォーマンスはいずれも素晴らしかったです。役所さんは当然誰よりも凄かったんですが、六角さんはじめ全脇の面々も大変面白かったです。ケーキを囲んだささやかなパーティーなんて、最高に面白かったです。
大いに笑いナチュラルに泣けたのに、わざわざ泣かそうとしなくても・・・と思ったんですが、泣かそうとしたのではなく結局現実世界はこうなんだと示したかっただけなのかなーと邪推するところなんですけれど、作り話くらい大きな希望を持たせてもねーなんて思ってしまいました。
還る場所と皮肉
エンドロールですぐに立ち上がれない
この薄汚れたすばらしき世界
我々の住むこのすばらしき世界には、たくさんの鳥が居ますが、皆一様に灰色(グレー)である。
そこへ、三上と言う一羽の白い鳥が舞い込んでくる。この白い鳥は正しいと思ったことは主張してやまない正義の鳥でした。
しかしこのすばらしき世界は見て見ぬふりや不正義でも、のうのうとして生きていられる世界で、三上は何とか、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、このすばらしき世界で生きていこうと懸命に努力をするのですが・・・
ある日、我慢の無理が祟り、三上は天に召されてしまいます。
所詮、彼はこの薄汚れたすばらしき世界にはなじめなかったのでした。
今更ながら、このすばらしき世界で曲がりなりにも長年生きている自分に涙が出ました。
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