すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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やりなおしは、きっとできるはず。
今年32本目(合計99本目)。
さて、こちらの映画。同じような法律系ジャンルの「私は確信する」の次に見ました。
この映画に出てくる方は、みなさん温かい方ばかりです。逆に暖かくない人を探すほうが難しいでしょうね。
さて、「すばらしい世界」と書くと、逆に「すばらしくない世界」換言すれば「良くない世界」はどこなのか??という気もします。それについては、また後述で。
長く収容されていた場合の復帰は文化の違いにもなれず苦労することが多いと言われます(だから、何度か職業を変えている)。それでも、ここはこうなんだよ、ああなんだよ、と教えてもらえれば誰だって理解できます。言わなきゃ理解できないのです。
そしてこの映画にも出てきますが、元受刑者の方などを了承した上で雇っている企業というのは制度として実在するようです(協力雇用主制度、というそうです)。これも、不自由な刑務所では三食は確保されているけど、いざ外に出ると何もないという悲劇(もっとも、ある程度までは保護してもらえるが、最終最後はこのように就職にむつびけられます)があるからで、塀の中から出てくる色々な属性を持った方の頼りある色々な制度の1つです。
こうした部分についてもごくごくちらっと触れている点、ここは大きいかなと思いました。
良い協力雇用主が見つかると再犯率が下がることは当然目に見えているので(極論、食べていけるのに最低限のお金があるかどうか、という論点につきる。普通の場合は。精神疾患的にパチンコ狂とかというのでない限り)、そこさえクリアできれば、他に色々ハードルはありますが、大きなハードルをひとつこえられます。
映画の終わりの部分(エンドに持っていく収束の部分)についてはいろいろな意見があろうと思います。が、それでも原作ありではないとはしてでも、ある事前をモチーフにした、という以上、あることないこと勝手にあれこれ付け加えるとおかしくなるので、そこは許容範囲内かな、と思います
▼ 「主人公目線での」「すばらしくない世界」は…?(あくまで一つの仮説)
・ まぁ、年齢がもう年齢なのできついですが、刑務所を満了して出たら出たでいろんな関係者の人が集まって大騒ぎ、そしてもう働くのも難しいでしょうから、今風にいうとオレオレ詐欺とか「知恵でできること」をやらせたり、教授させられたりというパターン。まぁ、時間の問題でまた捕まるだけですけどね…。そういう、「出所者は、もうそういう目でしか見てくれない、またうまいように利用する人「しか」出てこない」というのは一つの「すばらしくない世界」かなと思いました。
さて、加点減点ですが、減点は特にないものの加点は0.3として5.3としました。
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+0.3 このような長期収容者が塀の外に出るときというのは、そこからもう生活が無茶苦茶になって、行政も面倒なので深入りで介入もせず、最低限やることやったらはいあとはよろしくーみたいな感じで投げちゃうってのは、やっぱりあるようです(いわゆる高齢者の万引きなど。最近は万引きが病気である(クレプトマニア)ことが認知されているので、あまりにも様態がひどい場合は通院を勧めるなど、行政も支援民間も頑張っているが、1回目であまりそれも疑われない場合、驚くほど手抜きな対応になるわけですね。
ただ、今回はこう、「この人には二度とまた塀の中に行ってほしくない」ということが関係者の総意にあり、弁護士の方など色々な方がサポートされています(生活保護の申請など)。こういう部分は、なかなか評価が難しい(特に凶悪犯の場合は、そのあとも自分で何とかするのが仕事だ、みたいな考えの方もいる。それは否定しない)ところ、今回はそうなっておらず、何とか「次に捕まることはやめよう、みんなで支えよう」という点が見られたところです。
もちろん今の日本では、こういう類型は多回数万引きや、累犯障がい者(知的・精神の方も含む)の方に対してはサポートが手厚くなっていますが、それがやがて全員に広まって、すべての類型についても、満期後でも「サポートを受けたい人はどこそこへ電話、その電話先でワンストップで自立(=就職)に向けて支援が受けられます」というような世の中になればな(一部はすでにありますが、それを拡張して、ということですね)、と思います。
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コスモスをあげると言われた後の主人公の感情を、言葉で説明するのは難...
タイトルの重み
すばらしきアクターの世界
苦しくて切ない
本当にこの世界はすばらしいのか
刑務所から出てきて普通の生活を手に入れるのがこんなにも難しいのか。笑える要素もあり
ケータイを手に入れるのも元前科者は難しい
そして家も仕事も 帰る場所がなければまた刑務所戻り
しかし三上は普通の生活を苦労しながらも手に入れて、人に支えられていく。幸せだったかは分からない
身の回りの人に支えられて生きてるからこそ今隣にいる人を大事にしようと思った。
泣けるシーンはなかったかもしれないけど
私は5回くらい泣いてしまった。
そして虐められてる人を見て見ぬふりをするのが本当に正しいのか 周りに合わせてヘラヘラと悪口を一緒に言うのが本当に正しいのか
私達は普通の生活を手に入れて普通に何気なく生きているかもしれないけど、色々考えさせられる映画だった。
ぜひ見てほしい。
個人的に安田成美さんの演技が好きでした。
悲劇な結末がハッピーエンド色に染まった
女性として西川美和さんに魅かれます。
おこがましいと知りつつ焦がれます。
そんなこんなの15年。
肝心の新作はシンプルに『傑作』と言えるものだった。激しく激しく感動した。
役所広司さん演じる主人公の三上は親の愛情を知らずに育った根っからのヤクザだった。13年の刑期を終え堅気として生きようとするも、直情型の性格ゆえにままならない。
役所さんの一触即発の迫力に圧倒された。自からすべてを壊してしまいそうで緊張しながら観た。
三上が接する社会も歪んでいた。三上の振幅と相まって緊張感を増した。
太賀くん演じるテレビディレクターの津乃田が三上のすべてを見届けた。昨年の『生きちゃった』に続き太賀くんと一緒に鼻水垂らしながら泣いた。
悲劇な結末が三上を見守った人々の涙でちょっぴりハッピーエンド色に染まった気がした。気のせいだったのかなぁ。『すばらしき世界』は自分らが作るものだろうが。
【追伸】偶然とはいえ先日観た『ヤクザと家族』とのインターバルは2週間。上映順もベスト。何れもヤクザと社会を描いた傑作だった。
やさしい人達に
空は広い
豊穣なる哀しみ
自分を押し殺すことが幸せなのか?
正直このエンディングは勘弁してほしいというのが、見終わった直後の感想。空気を読んで力を持つ人間におもねることが「すばらしき世界」であれば、違和感が湧く。その「すばらしき世界」から逸脱しないように生きている自分にも情けなさを感じるが。
ラストの是非は別にして、役所広司の存在感は、改めて凄いの一言につきる。直情径行というか無邪気というか、自分の感情のおもむくまま行動する元極道を演じている。最初の旭川刑務所での刑務官とやりとりから引き込まれてしまった。気がつくと三上の感情に寄り添ってしまっている自分がいる。
原作は読んでいないが、30年以上前の作品なので当時は、携帯電話も暴対法もない。この作品では、昭和の元ヤクザが戸惑いながらもiPhoneを使いこなせるようになるところなど、コミカルな要素を若干織り交ぜながら話が進んでいく。
自分が止めどもなく泣いてしまったのは、三上が自分が育った施設で少年たちをサッカーに興じる場面。少年たちとふれあいで、三上は、無邪気な笑顔を見せるが、最後に、三上は積もり積もった感情を爆発させる。役所広司に完全にノックアウトされてしまった。
人は人に助けられて生きている‼️
実話だけに、あまり浮き沈みのないシンプルな展開です。
フィクションなら、こんな都合よく親切な人がいるか、そう思うでしょう。
でも、改めて、自分の半生に置き換えて考えると、助けられて生きてるな、そう思います。
どちらかと言えば、ヤクザと切り離して、不遇な生い立ちと、生き方でも、人の親切と、投げやりにならない気持ちが有れば、なんとかなるもんだ、そう思いました。
だから、運転免許と持病については残念でした。
自分を抑えることを覚えた、役所さんが初めて上手い演技だと思いました。
大賀と長澤まさみみの演技は、良いですね、最近、整形の女優が目立つ中、長澤まさみの笑顔が貴重です。
心が暖かくなる映画でした。
人に親切にされた分、人に親切にしよう、そう、思いましたありがとうございました。
ストレートな疑問
現代社会は、一度レールから外れた人間に対し不寛容で、やり直しが難しいという現実を深堀りしていたように感じました。
先日観た、『ヤクザと家族』にも似たテーマが含まれていましたが、あれとはまた違う描き方。
イギリスの制度批判を描いた、ケン・ローチ監督『わたしは、ダニエル・ブレイク』あたりが、近しいかもしれません。
差別や偏見、暴力から目を背け、見てみぬふりをして生きるのが本当に賢いのか?
トラブルに真正面からぶつかる人間は、(暴力しか解決方法を知らないとはいえ)悪なのか?
そして制度側にいる公務員は、法律を順守しているとはいえ、いつのまにか遵守することが目的となり、困難に直面した個々の人間をないがしろにしていないか?
自己責任論がまかり通り、(例えばコロナで経済的に)困窮した人間を踏みつけにしても心が痛まないような人間が増えていないか?
そういった疑問を、観る人間にストレートにぶつけてきて、胸が痛かったです。
正義と悪の境界線があいまいな、生きにくく醜い混沌とした残酷な「すばらしい世界」を描き切っていて胸が熱くなりました。
そんな世界で、主人公・三上の殺人犯という過去を知っていても、手を差し伸べる人々~ディレクターの津野田(仲野太賀)、スーパーの店長(六角精児)、役所職員の井口(北村有起哉)らの存在が輝いて見えました。
彼らのように、道を踏み外したことのある人へ直接手を差し伸べることはできないかもしれないけれど、少なくとも差別や決めつけはしないで、寛容な心を持ちたいと思いました。
すばらしき世界
不寛容な現代社会の生きづらさとホームドラマ
1 刑務所から13年ぶりに一般社会に復帰した男が、人との係わりの中で社会に溶け込み自己再生を図ろうとする話。
2 男の性格やこれまでの人生は、出所後の暮らしの描写やある協力を求められたマスコミの青年が行うインタビューを通じ、次第に明らかになってくる。前半のいくつかのシ−ンでは、ヤクザと刑務所の狭い世界のみで生きてきた男と一般社会との不適合ぶりが時にはユ−モラスに感じ、短絡で狂気じみた行動には恐怖を感じた。
3 中盤から後半にかけて、男が社会のレ−ルに乗れるのかそれとも外れてしまうのか紙一重の中で進んでいく。養護施設辺りの幸福感に満ちたシ−ンや介護施設でのギクッとするショットが折り重なる中、嵐の夜に・・・。
4 西川の演出は丁寧な作りで緩める所と締める所が適宜あったが、いくつかの点で不満を感じた。劇中、不寛容な現代社会の生きづらさは、前半のいくつかのシ−ンで見せ、また身元保証人夫妻やケースワーカに語らせた。そこは説得力があった。主人公に力を貸した人々が、中盤ごろ、心無い言葉で罵倒されても見捨てることなく見守った姿には一時の救いを感じた。その一方、「現実社会ではそうはならないだろう」とも思った。ましてや、就職祝いで集まって自転車を贈るというほのぼのしたホ−ムドラマのようなシ−ンには違和感を感じた。リアリズムに徹するとセミドキュメンタリとなってしまうが、後半の展開には、西川の願いかもしれないが、甘さが感じられた。また、映画の終わり方としては、嵐の夜に帰宅した所でエンドにしても良かった。翌朝のシ−ンまで引っ張らなくても良かったと思う。九州の親分さんの女将さんの対応にも都合が良すぎるように感じた。
5 主人公の役所は善悪幅広く演じて安定していた。力を貸した人々、スーパー店主・六角の善良さやケースワーカ・北村の実直、TV制作マン・仲野の一途、身元保証人・橋爪と梶の親身な対応は、見ていてウルッときた。
6 また、テレビ局の傲慢な番組作りや外国人労働者、介護の現場での実相、身分帳なるものの存在に小出しながら光を当てていた。
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