すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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自分が望んでそうなったわけではない、その痛み苦しみを救う何か
コロナ禍のなかでも沢山の人が映画館に観に来ていてビックリしました。
涙の鼻水をすする音が時折聞こえて来ました。
役所広司さんが養護施設で歌を歌う所、母を慕う子供の無垢な心を感じました。
後でサッカーをして子供を抱きしめるとき、子供を持ちたかったであろう思いが自分とダブり何んとも言えない切ない思いがして涙が溢れました。
私は母親から精神的虐待を受けて精神疾患になったので身につまされる思いでした。
母だって意図してしたわけではないだろう、しかし自分の抱える苦しみを子供に暴力的に吐き出したことは事実です。
自分が望んでそうなったわけではない、その痛み、苦しみを救う何かを日本人は本来は思想として持っていたと思います。
何故日本はこんなにも自殺する人の多い国になってしまったのか。悲しい。
そして、私は今、何故か生かされて生きている。
私が望む素晴らしき世界を創造していくチャンス(自由)は与えられている。
監督からの挑戦状
道(未来)は変えられないのか
殺人罪で13年の刑期を終え、出所した三上(役所 広司さん)。
東京で堅気となって再出発することを誓うが、
なかなか上手くいかない様子。
真っ直ぐな性格と短気な所があるため、
トラブルに巻き込まれそうになるが、
再出発を応援する人たちの助けもあり、
ギリギリのところで回避します。
本作は、ストーリーに派手な部分はありませんが、
人生の大半を刑務所と裏社会で過ごした男が、
真っ当な人間として社会に適応し、
普通の生活を送ろうと努力する姿を
主人公・三上を演じる役所広司さんが、
リアルに演じられておられます。
ストーリーの中では、表社会に適応できず、
苛立ち、裏社会へ戻る方が楽だと考える場面も描かれており、
そんな、三上の葛藤を見ていると、
“人の進む道は変える事はできないのか”と考えさせられました。
三上は、再出発を応援する人達に恵まれたこともあり、
人間として成長し、社会に適応していきます。
表社会、裏社会は関係なく、
社会や周囲の人達との関わりから
人は変わることができ、成長できる。
そうすれば、道(未来)が拓ける。。。
そう語りかけている作品に見えました。
傑作
自分自身に刺さる映画
正直者には生きづらい
不幸でありながら幸せになった役所
少し前に観た「ヤクザと家族」に似た物語でした。私たちの生きるこの3次元の世界では、もはやヤクザは化石になりつつありますが、彼らが普通の人間になろうという意志を、簡単には認めない世界にますますなりつつあります。不寛容の世界なのです。だから再犯率は下がらないというジレンマに陥っているのでしょう。現代の問題といえます。ストーリーは違えど、「ヤクザと家族」と同じに、役所がこの世のヤクザとしての宿命をたち切った時、この世の使命を終えてしまいます。それでも、今回も何故か穏やかな気持ちで見送ることができました。一番の救いは少数ではあれど、役所を守る人たちがいたことです。そのおかげで、真っ当な人間になって行くのですが、そこが一番泣けました。前半は、役所が極道そのもの、瞬間湯沸かし器のような振る舞いに、匙を投げたくなりましたが、それが変わって行くとき、嘆きが歓喜になるのです。成長物語は映画の王道なのでしょう。あと、所々に色っぽいシーンがあるので、ドキドキ感もありました。長澤やキムラの色っぽさや、仲野の名演技も秀逸そのものでした。良い映画です。
役所広司さんオンステージ作品です。
最近、任侠世界の人の現代の生きにくさを扱う映画多い気がします。ブームなのかなぁ?なんなんだろう?GAPを作りやすい、ストーリー作りやすいのかなぁ?
なんだか<ヤクザ><任侠>がキャラ扱いされているようで、なんかしっくりこないです。
さて、まずは主演の役所さんのための映画だなぁと。
その主演の役割を十二分に演じ切った役所さんに大拍手です。
とにかくずーーーっっと画面にいます、役所さん。それが苦にならないし、見事に一人の人間を演じ切りましたね。役所さんじゃなければ本作は成り立たなかったのではないでしょうか?役所さんをキャスティングできたことが最大の演出だったのではないでしょうか。
脇を固める演者さんたちもよかったです。ただ、根幹ストーリーへの絡みではないので印象が薄いです。そこは残念でした。もったいなかったなぁと。
ストーリーとしては、冒頭述べたように、最近増えてきたかなぁ?って感じです。
任侠の世界と刑務所しか知らない男のカタギ生活を目指す物語です。
一人の男の出所後の人生を描きながら、何かを描こうとしていそうなんですが、ちょっと、とっ散らかっている感があるんです。様々なサブエピソードがあるのですが、それらが簡単に出ては消えていくので、なんだったんだろう?って感じ。(ツノダ君の三上への絡み方の動機の描き方とか薄いよなぁ)
そのサブエピソードの扱い方が、役所さん以外の演者さんの扱いに繋がっているような気がするんですよね。もっともっと、深みある作品に仕立てられたのではないかなぁ?って思います。
役者陣はとても良かったから、もっともっとそれぞれの人物や人間関係に踏み込んで欲しかったかなぁ、残念です。
なので、結局ラストのオチのみで本作のテーマを語ろうとしているんじゃないのかな?っていう風に見えちゃいました。(僕はこのラスト、好きではありません。安易な着地感で)
映像やエピソードを通して語って欲しかったかなって思います。全体的にセリフで語り切っちゃう演出も好きになれなかったなぁ。
でも、元ヤクザだから生きにくい、元ヤクザだから苦労するという視点に限っていないところは好感はもてました。あくまでハンデを背負った人間の精一杯の日常を描くというスタンスは好きです。
ですがなんでそのハンデを背負ったの?ってところを掘り下げて人物像をくっきりさせていくことでストーリーに厚みを持たせられたのではないかなぁ?と・・・重ね重ね残念。
本作を観終わって、僕は小さい頃砂場で遊んだ棒倒し遊びを思い出してました。
遊び方は、円錐状に固めた砂に棒をぐさっと刺し立て、友達同士で順番に棒が刺さってい砂を取り除き(砂の量は自由)、倒した人の負け・・・・って遊びです。棒を立てるのも倒すのも僕たちです。
棒っ切れは地面に落ちている木の枝です。硬いです。子供の力じゃ簡単に折れません。それで叩かれたら痛いです。けど、木の枝だけで立つことはできないのです。木の枝は大きな木から離れたら一本では立つこともできませんし、枝から芽吹くこともできません。
僕たちは砂を固めて枝を立てるために生きているのだろうか?それとも倒すために砂を取り除く生活をしているのだろうか?なんて思っちゃいました。きっと、いずれも僕たちなんだろうと思います。強いようで一人で立てない枝を支える土台を作るのも人間なら、壊すのも人間なんでしょう。
それは間違いないと思います。世間にパラダイスはありません。けど、人間関係を失ってしまうと土台すら作る機会を無くしてしまいます。人間とは、人間社会とはくだらないけど、面倒くさいけど、素晴らしいんだろうな・・・とぼんやり「棒倒し遊び」を懐かしみながらエンドロールを眺める僕でした。
良作です。
良かった。
浦島太郎が見た広い空
本作は、タイトルと役所広司さんに惹かれて鑑賞。
6回の服役で合わせて30年近く刑務所に入っていた三上。主な罪状は、暴力事件と思われます。6回目は殺人で、懲役10年のところ、問題を起こして13年かかりました。
迎えに来る人も無かった三上は、弁護士の助けで、生活保護を受けつつ社会復帰を目指します。そして、幼いころに別れた母親を探そうとテレビ局に連絡します。
アパートの部屋は布団がきちんと畳まれ、他にはほとんど物がありません。ずっと社会と関りを持たずに生きてきたから、飾りたい思い出の品も、本も趣味の物も無いのです。
すぐに激高してしまう三上。彼なりの理屈はあるにせよ、怒りを抑えられず、社会復帰はスムーズにはいきません。すべては自業自得なのです。でも実は実直な彼に、手を差し伸べてくれる人はいる。話しかけ、笑いかけてくれる人もいる。テレビマンで作家志望の津乃田(仲野太賀)も、三上の不思議な魅力に惹かれます。
思うようにいかず、優しくない社会だけど、それでも世界は美しく、生きる価値はある。生きるって、せつないけれど。題字が最後に出た事も意味があると思いました。いいタイトルだと思います。
噛みしめながら観たい
主人公三上は13年の刑期を全うし、旭川刑務所を出て、東京にいる身元引受人の弁護士の夫婦のところへ行く。かたぎになりたいものの、カッとなると怒鳴ってしまうし、また高血圧の持病もある。
一方、テレビの制作会社を辞めてフリーライターで食べていこうとしている若者、津乃田のところに、三上が更生して行く姿をドキュメンタリー番組にしようという企画が来て、カメラを回し始める。
何とか娑婆で生きようとする三上の必死な姿を認め、正義感が強すぎて暴力的になってしまう彼に、周囲の人たちは、逃げることも大切だ、みんなそうしている、よほどのことでなければ目を瞑れ、見なかったことにしろ、と諭す。前科者に優しい世間では決してないが、それでも生きていける隙間は残されている。
病院の女医さん、区役所の担当者、裁判で証言してくれた妻、身元引受人と奥さん、兄弟分の奥さん、福岡のソープ嬢、そしてスーパーの店長、津乃田。みんな役割があり、無駄がない。俳優に芸人さんなどを使っていないのも良いのかもしれない。
三上から「テレビに出るんですよ」と聞いた時の店長の微妙な表情の変化がすごい。また、津乃田の部屋、身元引受人夫婦の家の雑然とした様子のリアリティ、ボールペンから福岡の電話番号の紙切れを引っ張り出した後の東京の夜景もすごい。
中だるみどころか、どのシーンも全部重要で、無駄がない。すばらしき映画。
すばらしき世界だわ
さすが役所さん
時にヤクザ、時にカタギの北村有起哉
今年2番目に楽しみにしていた作品。
予告の作りも完璧で、かなり期待して鑑賞。
本当は西川美和監督の過去作を見てから見ようか迷ったんですが、他作も評価がかなり高いので見てからだと余計ハードルが上がってしまうと思い、見らずままです。
んー、面白くはあったんだけど期待通りとはいかなかったかも。期待のしすぎは良くないと十分承知しているつもりなんですが、面白そうだと自然と期待しちゃって...。
優しくて真っ直ぐすぎる三上(役所広司)。実は彼、人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯だった。
刑期を終えた三上は今度こそはカタギぞと心に誓い、普通の生活を目指すことに。
すばらしき世界ということで、3つのすばらしき点でレビューしていきます。
一、役者がどれもこれもすばらしき
これに関しては見る前からわかってたことですけど、やっぱ書きたくなるほど凄いんです。
主演の役所広司はもちろんのこと、脇を固める俳優陣も最高。仲野太賀、橋爪功、六角精児、北村有起哉などなど。大好きな俳優勢揃いで、特に六角精児との博多弁の会話はとても微笑ましい。
一、三上が段々とすばらしき
三上は最初は何でも暴力で解決しようとして、刑務所で何を学んだんだとつい思ってしまうほどやな男なんだけど、後半につれて彼の本当の姿が見えてきていつしか大好きになる。その一例として、予告のラストでも一瞬写っているあのシーン。1番好きなシーンなんですけど彼の真の姿はああなんだと、すごく心打たれます。
一、シリアスさとコメディっぽさの両立がすばらしき
皆さん仰っていますが、この作品ヤクザと家族とかなり似ています。ただ、あの作品と違うのは結構コメディっぽいところ。刑務所での生活に慣れていていちいち声がおっきかったり、運転免許取得で失敗しまくったりと、割と笑えます笑
でも、題材から離れることは無くラストはすごく考えさせられる。そのシリアスな題材とコメディチックな小ネタの両立が心地よく、とてもいい映画になっている。
じゃあ、なんで★3.5なんだ?と言う感じですけど、大きく考えられる理由は2つ。
まず一つは予告。
「心えぐる問題作」と書いてあった(はず)のがズレてるかなと。別に問題作では無い。先程も言ったように考えられはするけど、心えぐられる程でもない。なんだか、フワッとしている。素材は美味いんだけど、味付けに納得がいかない感じ。
そしてもう一つはちょっと飽きる。
同じような展開と雰囲気がずっと続くので退屈する。もっと過去の背景を映像で見せたり、もしくは刑務所での尺をもうちょい長くして中身をちょっと減らすとかして欲しい。もっと上手くできた思うんだけどなぁ
出所して働けずまた罪を犯す。
2度目の罪を犯す人は好きでやってる訳では無いと思う。まだ、前科ものに対して酷い偏見をもっているこの社会。大半の人はもう二度としないと思っているはずだ。なのに何故こんなことになってしまうんだ...
期待通りとはいかなかったと言ったが、いい作品であることに違いはありません。
ヤクザと家族を見た方は是非。
何だか切ないなぁ(;´Д⊂)
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