すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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愛おしすぎる三上さん
怒りも大事な感情だけど、自分の感情を抑えず怒り狂うのは簡単で
どんなときでも相手の気持ちも考え、優しさ思いやりといった愛をもった行動が
できる人こそが最強なのだと最近「ある人質」を観てつくづく感じ、
職場での心ない人たちの会話からのコスモス(でしたっけ…?)、
最後、あのやりとりがあって本当に良かった…
正直、映画館で観るか迷っていたのですが、
こういう作品こそ全集中でじっくり浸れる映画館で観るべきなのだと思えました。
自己責任社会への警鐘
この映画が伝えたい事を簡潔に言うならば、現代の日本が抱える自己責任論への警鐘だろう。
犯罪を犯した者だけでなく、一度躓いた者達への不寛容な風潮がどれほど社会を危険なものに陥れているか。現代に蔓延る様々な問題の諸悪の根源は、この不寛容さにあるのではないか?
それを最後のすばらしき世界という皮肉を込める事によって問題提起しようという強いメッセージを感じることができる。
演技は役所広司始め、脇役に至るまで熱演であり、大変素晴らしかった。
しかし長澤まさみ演じる女性はノイズ気味、かつ主人公との繋がりも薄く心的描写も少なかったので必要だったか?という疑念も生じたのが正直な感想である。
このコロナ禍だからこそ、人との繋がりを再認識することの大切さを感じさせてくれる作品である。少しでも興味があるなら是非、劇場に足を運んでいただきたい。
役所広司惚れ直しました。また、西川美和監督大好きです。
まずこの映画を作った、西川美和監督に大拍手…!!素晴らし過ぎる。毎回想像を遥かに超えてくるし、自分自身の経歴をぐんぐん塗り替えてくる作品を作ってますね、素晴らしいのはまずあなたですと言いたい…尊敬しかしない。
西川監督の映画はどれもこれも面白い。でもこの作品が一番好きかも。いやどれも良いし甲乙付け難いんだけどさ…。
役所広司演じる人生の大半を刑務所で過ごしたヤクザ上がりの殺人犯が、13年の刑期を終えて久し振りにこの社会に戻って来て、普通の暮らしをする為に奮闘する。
この映画を観る数日前に「ヤクザと家族」を観ていたおかげで、如何に今のこの世で反社上がりや刑務所上がりの人間が健康で文化的な最低限度の生活をおくることが難しいかが分かるので変に共感ポイントが多かった。でもこの映画はそこだけがポイントでは無い…。
私が散々良作映画の条件のひとつとして挙げている、「魅力的なキャラクター・人間性」を、この映画の登場人物は主人公を筆頭に皆が皆、メインキャラクターから脇役の脇役まで、みんな持っていた。映画によっては、「この人は元ヤクザだからそれっぽい感じに」「この人はスーパーの店員だからそれっぽい感じに」「この人はテレビディレクターだからそれっぽい感じに」「この人は教習所の教官だからそれっぽい…」と、●●っぽいキャラクターにしておけばそれで良い、というキャラクター設定や演出がされている作品も割と多い。で、この映画はその真逆で…。ひとりひとり、詳しく描かれている人は居ないんだけど、家庭環境や生活スタイルやこれまでの経験、色んな人生を生きてきた人達なんだろうと言うことが伝わってくる。そんな人達がひょんなところだったり、たまたまだったり、情だったり、仕事のためだったり、色んな理由から絡み合っていき、小さなドラマから大きなドラマまでどんどん展開を見せていき、もうこっちはスクリーンから目が離せなくなってしまっていた。
役所広司演じる主人公・三上は、経歴が経歴だけに、直ぐにカッとなってしまい手を上げそうになったり手を上げてしまったりして、最初は「やはりこれまでの人生がそうさせるんだな」なんて浅はかに思ってしまってましたが、真面目に生きようとする姿や人に心を許す姿、曲がった事が大嫌いなとこや弱い者イジメが嫌いなところや細かい作業が得意なところなど…徐々に彼の正体が見えていく度に、気になり、人間としての魅力が伝わってきて、直ぐにカッとなる性格にも色々納得がいくようになっていった。犯罪を犯したから長年を過ごした刑務所だけど、刑務所生活が長い分、現代の社会の闇や刑務所以上に地獄だな…と思うような事からは少しだけ遠い場所に居た人間だからこそ、今のこの社会に入っていったときに、色んな矛盾や腑に落ちないこと表から裏まで見えてしまった人間の邪悪さとか三上は耐えられなかったんだろうとも思った。私もそうだし、誰もが、道徳を学ぶことがメインの場所にずっと居て、長年居て、今のこの世界に生きるってなったら精神的に辛いと思う事が多過ぎるから…三上のような真っ直ぐな人間にとっちゃ発狂したくなることばかりだよなそりゃ、と。
そんな三上を助ける人、優しくする人、罵倒する人、面白がる人、色んな人達が登場する。ほんとに色んな人がいるんだけど、優しい人達の優しさには心をえぐられるような良い人達が居て…私は特に六角精児の存在と梶芽衣子の言葉にはやられたね。涙が止まらなくなった。
太賀の立ち位置も、ある意味この映画のエンタメ性を上げるための役どころかと思ってたけど、…あ、そんな風に関わっていくんだ…と意外な方向に進んでいき、結局心がぎゅっとなった。辛いシーンや展開もあるから悲しい涙も沢山出たけど、あったかい気持ちの涙も沢山流れたよ。
こういう重たい人間ドラマって、重たいだけの作品になる場合もあるのに、西川監督は「あー面白い!とまらない!」と最初から最後まで思わせる魅力をたっぷり詰め込んでくる。何度でも観たくなる傑作◎こんな映画、ずるいよ…
2021年を代表する1本!
最高最高傑作。 怪物
King Gnu
ノンフィクション
古き良き映画
はたして「すばらしい世界」なのか…?
簡単に言ってしまえば、刑務所から出所した男が悪戦苦闘しながら色々な人と交流し、助けられながら社会復帰を目指していく。という物語だから、ストーリーとしてはそれほど目新しいとは言えないし、一筋縄ではいかないんだろうな。と観ている方も容易に予想出来てしまう。が、監督の演出と役所広司を筆頭とする俳優の名演技で素晴らしい作品に出来上がっている。普段は温厚そうに見えるが短気でキレやすく、すぐに暴力で物事を解決しようとする三上。だが正義感は人一倍強くて困っている人は見過ごせない。この人間味溢れる三上に少なからず共感した人は自分を含めているのではないのか?色々な事を我慢や無視できているだけ、困っている人を見て見ぬ振りをしているからトラブルや犯罪に巻き込まれていないだけなのではないのか?という気持ちになってくる…そして三上の様な人間が罪を犯さなければいけなくなる世界、三上の様な人間が社会復帰するのが難しい世界ははたして「すばらしい世界」なのだろうか…?
観てもらいたい
巷の評価がかなり分かれていたので観るのを躊躇していたが、師匠から是非観るべきと連絡が入りみに行く。
結果、観に行ってよかった。
少なくとも自分はそう感じた。
自分の心に刺さる何かを感じられる映画だった。
タイトルがいい。
どうしようもなく生きづらくて、頑張ったわりに報われなくて面白くないことばかりで、たいていは他人に厳しく無関心。
でも、それでも、他人を助けたいと思う気持ちに嘘はなくて、壁を超えてその個人を知ることで優しく出来るすばらしき世界。
優しくされるシーンに涙が出た。
そしてキャストがよい。
役所広司は期待通り言うまでもないが、他もみんなよかった。
誰かもう一人ということで挙げるなら、キムラ緑子。
もの凄く素敵だ。
賛否両論、好みも分かれるだろうが
観てもらいたい映画。
何がすばらしき世界だーー!!!
映画終わった瞬間『何がすばらしき世界だーーー!!!』とカップ麺ブン投げそうになりました!!!
8ヶ所くらいで泣きました。キャラクターのコミカルなやりとりに笑いました。
生きづらい世の中と人の優しさ。
この映画を見て自分に思ったこと。
『命懸けで私を生み育ててくれた母親になんで自分はこんなに興味ないんだろう』と
母に会えたら何を話す?について三上の「自分を産んだ時の気持ちを聞きたいね」と。
それ聞いた瞬間号泣。
そんな発想がない私はなんて親不孝者なのだと。
その発想があったからって母が喜ぶわけじゃ無いけど、当たり前過ぎる存在だからこそ有り難みを実感しずらい人間の儚さに涙でた。
社会で生きるってなんだろう?個を捨て周りに従うべき?器用が正義?私も毎日生きてて苦しいもん。楽しいけど。真っ直ぐ生きたい。
役所さんすごい
観終わった後ずっしりきたし疲れたけれど、観てよかったと思える映画で...
観終わった後ずっしりきたし疲れたけれど、観てよかったと思える映画でした。
たった2時間の間に、とても温かい気持ちになって、自分の心の孤独な部分をつつかれて、また温かい気持ちになって、最後は虚無感に襲われました。
こんなに祈るような気持ちで映画を見たのは久しぶりかもしれません。
前科者だとかマイノリティだとかあまり関係なく、人は人に支えられて生きているんだなぁと、綺麗事のようだけれど、とても納得しました。
そして、これが現実なんだなぁとも。
社会全体にとっての「すばらしき」は、必ずしもその社会を構成する個人にとっての「すばらしき」である訳じゃないし、どちらが正しいと明確に決めることは誰にもできなくて。
だからこうするべきなんだ!という強い考えを持てているわけではないのだけど、それを知っているだけでも何か違ってくると私は信じたいし、少なくとも自分はどちらかに偏ってしまわないで生きたいなぁなんて考えていました。
上手く言葉にできない感情で胸がいっぱいになっていて、レビューというかただの感想文というか、もはや感想文にすらなっていないかもしれないけれど、とにかく今はこういう気持ちです。
参考にはならないかもしれないけれど笑、映画を観た人は少しだけでも共感してくださる...かな?😅
あと、太賀さんがすごくよかったです!!!
空の広さ
脳に傷
これはああいう生き方しかできない男の物語であり、それを「不器用だが愛すべき正義感の持ち主」などという陳腐な言葉で表現すべきではないと思いました。
原作は未読ですが、監督は幼少期のネグレクトと愛着障害などの後遺症、延いては本人の自助努力や心掛けだけではどうにもならないという問題を、新たに加えようとしているように観えました。介護施設で虐げられていた自閉症の男性、その生い立ちを職員の噂話という形で提示したのも、そういう意図があったのではないかと思います。
ただそこの部分は、後半腰砕けになってしまったのが残念でしたが、その一方それも仕方がないのかなという思いもあります。虐待はキレイな話ではありません。正確に描いたら感情移入は難しいでしょう。そういう判断のもとに、例えば是枝監督の「誰も知らない」も、その部分はバッサリ切り捨てられ、母親を信じ続ける健気な子供たちという描き方がされています。
…その辺のことを監督は実際どう考えていたのか、興味があったのでパンフレット買って読んでみたら、そんなこと一言も書かれてなくてビビりました(笑)いや~、でも確実に監督はそういう要素も入れようとしていたと思うんですよねー。
とにかく良い映画でした。満足度は高かったです。
正義とは何か
主人公は自らの正義に従って生き、殺人を犯したことで十数年におよぶ懲役刑を受ける
しかし出所後も犯行を反省はしていない、という
刑期を終えてもなんら変わらない姿勢を見せる主人公
一方で暖かい隣人に恵まれ、今までの歩みを少し俯瞰出来たのだろうか
刑務所の生活も気に入っていた訳でもないし
「行動」を改めようとする主人公
そんなとき介護施設でとある出来事が起こる
いままでであれば躊躇なく暴力で正義を主張していたであろう主人公
しかし躊躇したことで自分が先ほどまで見えていた事実と別の事実を知ることとなる
そして障碍者を嘲笑うような職員の態度を正すこともできなくなった主人公
いままで信じていた正義が壊れた瞬間なのだろうか
世の中は完全なる正義も完全なる悪も存在しない
だからこそどこで線を引けばよいのか
惜しい。作品
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