すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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主人公の感じる「生きづらさ」に共感した
主人公が(やっと就職出来た福祉施設で、他の職員の下品な振る舞いに「作り笑い」を必死に作って同調しなければいけない)という場面は、観ていて苦しくて辛かった。
僕の場合はいつもそのような状況になると辛さに耐え切れず、職場を離れる事をいつも選択してしまう。
今の言い方をすればそんな自分の事を「HSP(敏感な人)」といって自己分析出来るのだが、分析できたからといって「行き辛い環境」から逃れ続ける事は難しいと個人的に感じている。
映画の中で「幼少期に親からの愛を十分に受けられなかった経験は、自分の人生を長期的に考えられず、刹那的な選択をしがちである」という愛着障害についても少し触れられていた。その点についても僕は主人公と同じく当てはまっている。
30代までの自分は「太く短く生きたい」と虚勢を張っていたものの、実のところ「細くてもいいから、力強く生き続けたい」というような人生に対する希望を抱けていなかっただけなのだろうと今ではそう考えている。
僕は主人公のように人生の大半を刑務所で過ごすことは嫌だけど、主人公のように(少なくて良いので)人から大切に思われる人間になりたいと感じた。
すばらしき映画!
役としてはあまり演じて来なかったようなイメージの役所広司のヤクザ役。
だからこそ所々で本人の真面目で誠実そうな人柄が役に生きている。
同時期に公開された元反社会的勢力構成員のカタギになる苦労を描いた作品と確実に比較されるでしょうが、個人的にはこちらの方が圧倒的に好きです。
向こうは前半で派手なヤクザ稼業を、後半から不幸のどん底に落ちていく姿を見せることでやたらと社会派を主張し、結果、一番の見所としているラスト10分で逆にリアリティーが崩壊していて自分はダメだった。
その点本作は、家族がいない、信頼出来る人は出来るが基本的には孤独、というベースがとにかく自然で、いつぞや週末深夜に観た元反社構成員が出所後苦労し結局ヤクザに戻って行くTVドキュメンタリーのリアルさそのものだった。
特に大きな幸せがある訳でもない、ある意味地味だけど我々と同じ平凡な日常生活で苦労するヤクザを自然に描きつつ、客の集中力も切らさず最後までジックリ見せた俳優陣と脚本の出来も含め西川監督に拍手!!
前科者に対する理解と援助
やくざと家族の方が良かった
実直過ぎて生きづらい人生を丁寧に描いた作品。
圧倒的役所広司
「偏見」という表現が「悪」であることを知りながら、我々はあえて「レッテルを貼る」ことによって対人の不安を解消していたりもする。
学歴・人種・肌の色・職業・経歴・宗派・支持政党…
そのどれもが、その人物の本質を何ら表さないと知っていてもなお。
普遍的な善人などというものはいない。
悪人も同様に。
役所広司扮する三上は、正しいと思うが故にルールをはみ出してしまう。
ルールを侵すモノが一律「悪」ではない。
ルールを守るのがいつも「善」でもない。
長澤まさみ扮するディレクターは言う。
「撮らないなら割って入って止めろ。撮るなら伝えろ。その場から逃げ出すのは最低だ。」
橋爪功扮する後見人弁護士は言う。
「その場から逃げ出したっていい。」
梶芽衣子扮するその妻は言う
「世の中は我慢の連続だ。耐えられなくなりそうなら私達を思い出せ。」
正解なんてない。
ただ、自分の居場所がほしい。
2時間ずっと、私は三上を好きになったり嫌いになったりしながら進んでいった。
でも、やっぱり彼ら社会的弱者が幸せになれる社会がいい。
俳優達の素晴らしい演技に拍手。
心の中に様々な種類の「ああ…」が溢れ続ける映画だった。
役所広司さんの演技良かったです!ラストは予想出来ましたが三上の為に...
西川美和の三上への"愛"。
西川監督の、三上という特殊な人間に対する暖かい視線を終始感じることができる作品でした。三上はいわゆる「社会不適合者」と言われても仕方がないような人物である。犯罪常習者で、感情的で短気、すぐに暴力で解決しようとする。こんな危なっかしい人間が、出所してまともに生きていけるのだろうかというのがまず興味の一番である。案の定、あちこちで衝突しもめごとに巻き込まれるが、次第に彼自身も、彼に関わる周囲も変わっていく。三上にはどこか力になってあげたいと思わ
せる人間性みたいなものがある。それは例えば、身元引受や生活保護の対象者であったり、テレビ取材の対象者に過ぎないうちは気づかないが、彼の人柄に触れ一人の人間として向き合うことで初めて理解されるものだ。
そんな三上という人間を、役所広司が実に魅力的に演じてくれた。西川監督の三上への思い入れも十分に伝わってきたように思う。この世界は、表面的には不寛容であったり、利己主義や独善主義がはびこっているが、皆が少しづつ「善意」や「好意」を持ち寄ればきっとよくなる、そんなメッセージがこの「すばらしき世界」というタイトルに込められているように思った。
本当に良い映画
本当に良い映画だと思った。
生きづらさを抱える、今の世の中を生きる人の気持ちにスポットを当てている。その冷徹な現実を見つめ、寄り添い、時に突き放し、なだめて、背中をそっと押してくれる、そんな風に思えた。
主人公は、真っ直ぐで一本木な男だ。人生の多くの時間を刑務所で過ごし、ずっと社会の裏にしか自分の居場所がなかった。そんな一見特異な人物にも、自然と感情移入ができて、なんとか人生がうまくいってほしいとハラハラしながら見ている自分がいた。予想していたよりも見ていて心を揺さぶられたし、泣けた。
救いはあった、といえるのかな。。
ラストシーンは賛否が別れると思う。
それでも、この映画が気持ちが揺さぶられるすごく良い映画だったことには、疑問の余地がない。
ただ淡々と
はじめてのおつかいを見ている気分
主人公・三上がヤクザの映画はあまり好きじゃない。なぜなら、反社というレッテルで周りの対応が予想できるので、結末もお涙頂戴の展開になると思っていた。期待してないけど映画館で何度もPVを見たので思い切って見に行きました。
結果良い映画だったけど、主人公に感情移入しすぎてハラハラしました。三上は純粋で人間味あふれる人物なんですが、理性が育ってない、いわばブレーキのない車という印象でした。なので三上がやることにハラハラしっぱなしで、見終わった後疲れました。
私が特に三上に対してドン引きした瞬間は、不良二人がおやじ狩りをしているシーンです。三上は不良をやっつけるために力を振るうんですけど、相手の腹に嚙みついて撃退した時に血まみれの歯をにっこりと友人に向けるシーンが印象的でした。
最後には私も三上に感情移入してしまい、下唇を噛みしめながらこの映画を見終えました。
エンディングが安易過ぎてちょっと許せない
愛おしすぎる三上さん
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