すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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服役したヤクザの苦悩が秀悦
ヤクザをテーマとした最近の映画では「ヤクザと家族」があるが、
今回の映画は出所後の主人公がいかに社会に適応していくか?の苦悩を描いている。
社会生活が嫌になり、いったん戻ろうとするが、兄と慕うヤクザがやはり生きづらい
生活を送っていることを目の当たりにし、改めて社会に適応していこうと覚悟する。
その葛藤がとてもよく描かれていて、ここはさすがだなと思いました。
また九州の言葉は私も出身であるので心地いいというところと、九州の男のまっすぐな生活、
妥協したくない悩みなども、共感しながら観ることが出来ました。
原作は読んでいませんが、とても興味深く観れますので、ぜひご覧になってください。
よかったと思います。が・・・
私自身、映画の見方がまだ確立していないので、断片的な感想になります。
いい作品だと思いましたが、正直「ディア・ドクター」や「永い言い訳」の方が面白かったです。
いくつかの話から構成されているのですが、もう少し膨らませてほしい気がしました。子供のころ育った施設での話や勤めることになった介護施設での知的障害があり前科があるという青年の扱いのことなどです。それらが上手くつながってスムーズな流れになったら良かったのにと思いました。
それからタイトルの「すばらしき世界」ですが、世界が世間を指すのなら、決して「すばらしくはない」現実として表現されていたのではないでしょうか。
最後にまた刑務所に戻るというストーリーもありえないことはないと思いました。
役所広司は素直に上手いと思います。
以上です。
「ヤクザと家族」もあわせて観るとよりいいかも!
殺人の刑期を終えて一般社会に戻ってきた元ヤクザの三上と、三上をテレビのドキュメンタリーで取材しようとする津乃田。2人の交流を中心に元受刑者の社会復帰の難しさを描く。
最近観た「ヤクザと家族」でもそうだったが、暴対法によってヤクザがいかに生き残りづらくなったのかがわかる内容だった。三上にしたら別世界に連れてこられた気分だろう。
罪を犯してもその罪を反省することがない人間なんていくらでもいる。三上も罪を反省しているわけではなく、刑務所に戻りたくないからカタギになるという意識だった。だからこそキレやすく、暴力で解決しようとしていた。でも、それらとは関係のないところでその人の人間性というものがあるのだとも感じた(全くの無関係とは言わないが)。応援する人が増えていくのも納得。
本作はさらにヤクザになったり、犯罪を犯したり、キレやすい人間の根底には親からの愛情不足があったんじゃないかというところまで踏み込んでいるところが興味深い。
それにしても西川監督はさりげないシーンの演出がうまい。夜景の東京タワーが映るシーンとか、子どもがお母さんを探して泣いてるシーンとか、最後の洗濯物取り込むシーンとか。細かい説明がなくても伝わるものがある。今年はヤクザ絡みの名作が続くな。
圧巻。
わざとらしいのが味がある
ラストがなぁ……
まっすぐすぎる男
結局
死ぬんかい。生きてて欲しかったー!
てか死ぬなら絶対ここで終わってくれ!て思ったら終わった🤣アウトローなひとが社会に馴染めなくて死んじゃうの、野生で生きてた動物が人に飼い慣らされるのになれなくて弱っちゃうみたい🤣
構造の中の悲劇とスクリーン
藤井道人監督の『ヤクザと家族』といい、淘汰されてゆくものの中に例外的な善性をロマンティックに見出し現代の「生きづらさ」を表象する、というのは賞レース的にも扱いやすい題材だし、それ抜きにしても素晴らしい作品であればいいけどなんで揃いも揃ってそこに「破滅の美学」的な「死」の終わり方しか発想が無いんだろうか。「感動」や「納得」、から誘導させる「考えさせられた」的なラストは刹那的な快感を得られる一方で、社会問題を大義名分化させた賞レース目当ての大喜利を見させられている気分になる。
もっと、「唖然」とさせられるような評価が真っ二つに割れ、批評が批評を呼び込み生み出すような作品以外は全部社会問題を大義名分とした感動ポルノにしか見えません。そんな作品だけが世界に溢れすぎてる。
タイトルなし(ネタバレ)
三上正夫(役所広司)は殺人事件を起こして服役していたが13年の刑期を終え出所した。直前の刑務官とのやり取りで、三上が全く反省していないことが分かる。分厚い書類が机上に積まれファイルを開くと多数の押印が見えた。DXや働き方改革などで悪となった押印文化が公的機関には沢山あるのだろう。ゾッとする。
三上の生い立ちは父に認知されなかったため社会的に存在しなかった。母にも4歳の頃に捨てられている。それから非行に走り14歳で初めて少年院に入る。罪を犯す人間の根底は大体同じで家庭環境に恵まれていないようだ。
三上の体には左胸から左腕にかけて筋彫りがある。また、左胸には刀傷がある。
殺人を犯した三上の人間性は残虐ではなくてどちらかと言うと純粋で真面目に見えた。服役中の規律正しい生活は体に染み込んでいて出所後にもそれが出てしまって笑いを誘う。そう振る舞ってしまうのも根が真面目だからに他ならない。
三上は出所後にチンピラに絡まれるオッサンを見かけると制止しチンピラを倒してしまった。正義感が強いというよりスルースキルが無くておかしい事はおかしいと行動する純粋さが三上にはあると思う。
三上が暴力を奮った(奮おうとした)のは①服役の原因となった殺人(女を守ろうとした)②階下の住人の騒音③チンピラにオッサンが絡まれている④介護施設でのイジメ、の4つでありいずれも三上の方が正しいように見えた。
しかし、社会で真っ当な生活を送るにはこのような事象に目を向けないような『普通』にならなければいけない。『普通』とは?
三上は『普通』になるため努力していた。スーパーで万引きを疑われた時は込み上げる怒りを上手くコントロールした。周囲の助けがあって徐々に社会に馴染むのでハッピーエンドを迎えそうであったが最後は自決してしまう。死の直前、イジメられていた介護士からコスモスを受け取ると三上は泣いた。社会的弱者に涙した。介護施設でハサミが出た時に何に使われるか緊張したが、それを使って自決したのだろう。
三上は抵抗しながらも生活保護を受給した。しかし、金銭の受給だけでは社会に戻れない。生活を立てるには仕事が必要だが、出所後の職探しは困難だ。殺人を犯した者を受け入れる人は少ない。三上に手を差し伸べないのは『普通』なのかもしれないが、どうあるべきか考えさせられた。
渋い
ヤクザと家族を見たばっかりだったからか、比べると少し地味かな。少しまったりした印象。
ただとにかく役所広司がいいですね。人間味があって、ところどころなんかかわいい。さすがですね。まっすぐで、だからこそ社会でうまく生きられない。自分を殺して生きるくらいならいっそ死んでしまいたい。人をバカにして差別して弱いものいじめして、でも社会的には真っ当に生きてる人間との対比が考えさせられる。
周りも素敵な俳優さんばかりだったから安心してみてられた。出演シーン短かったけど、長澤まさみキレイ、そして久しぶりに見た安田成美もキレイ。。54歳だと!素晴らしい👏
にしても祝日にあわせて、今週の映画始めてくれるのはありがたいー週末が早めに来た気分♫
どんなに償ってもあがいても・・・
これはコメディー映画だと思って楽しく見ていましたが、その勘違いがよけい反動を招いたのかもしれませんが、最後、いやーな思いになってしまいました。
質の悪い映像でしたが、出演者のパフォーマンスはいずれも素晴らしかったです。役所さんは当然誰よりも凄かったんですが、六角さんはじめ全脇の面々も大変面白かったです。ケーキを囲んだささやかなパーティーなんて、最高に面白かったです。
大いに笑いナチュラルに泣けたのに、わざわざ泣かそうとしなくても・・・と思ったんですが、泣かそうとしたのではなく結局現実世界はこうなんだと示したかっただけなのかなーと邪推するところなんですけれど、作り話くらい大きな希望を持たせてもねーなんて思ってしまいました。
還る場所と皮肉
満足感は高い。が、少し物足りなさもある。
「ヤクザと家族」とほぼ同時期に似たようなテーマ性を持った作品なのでどうしても比較してしまうが、西川美和監督独自のあたたかい視点を感じられるし、社会に対する問題意識や大衆性も感じられるので、こちらはこちらで鑑賞した満足感は高かった。
両者を比べて一番感じた違いは、「ヤクザと家族」は目を見張る演出やカメラワーク、キレイな画がたくさんあるが、「すばらしき世界」にはそれがほとんど無いことだ。
ただ、これはあれば良いという問題ではない。
派手な演出やカメラワークはどうしても監督やカメラの存在を意識させてしまう。そうなると、観客がキャラクターに感情移入することを邪魔してしまう。
そのことを西川監督はちゃんと知っているから、演出やカメラワークが抑えめなのだろう。
やはり是枝監督の一番弟子だけあると感心させられた。
難点をあげるとすれば、ラストで主人公が病死することだ。
怒りやすいせいで血圧が高いという伏線は何度もあったが、病気なら監督の都合でいつでも主人公を死なせられるわけだから、それで観客を感動させるラストを、というのはちょっと安易だなと思った。
知的障害のある同僚が職場で虐められるが主人公は怒らずにぐっと我慢したシーン、主人公が変わったというカタルシスがあったので、あの辺をもっと粒立てれば別の形でキレイに終われたような気がする。
「ヤクザと家族」はラストシーンでの磯村勇斗と綾野剛の娘のやりとりが素晴らしかったので、その点でこちらの評価を少し下げさせて頂いた。
しかし、監督の自己顕示欲のような演出やカメラワークは一切なく、あくまで訴えたいテーマといった社会性、観客を楽しませようとする大衆性、観客にキャラクターに感情移入させるために存在する演出やカメラワークは素晴らしかった。
エンドロールですぐに立ち上がれない
この薄汚れたすばらしき世界
我々の住むこのすばらしき世界には、たくさんの鳥が居ますが、皆一様に灰色(グレー)である。
そこへ、三上と言う一羽の白い鳥が舞い込んでくる。この白い鳥は正しいと思ったことは主張してやまない正義の鳥でした。
しかしこのすばらしき世界は見て見ぬふりや不正義でも、のうのうとして生きていられる世界で、三上は何とか、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、このすばらしき世界で生きていこうと懸命に努力をするのですが・・・
ある日、我慢の無理が祟り、三上は天に召されてしまいます。
所詮、彼はこの薄汚れたすばらしき世界にはなじめなかったのでした。
今更ながら、このすばらしき世界で曲がりなりにも長年生きている自分に涙が出ました。
【身分帳】を渡した三上の思いとは。
西川監督作品で初出演となる役所広司さんの抜擢に期待をして、どんな作品なのだろうかと期待していたのもあるが、何かグッとくるシーンをもっと丁寧に描いて欲しかった、何よりそれぞれの登場人物に感情移入するような演出が足りない気がして不完全燃焼という印象です。
今までの西川監督作品はオリジナル脚本で、今回は原作【身分帳】を基に脚本化した作品とあるのか、監督自身もディテールをどこまで出していいのか悩まれたのでは。
以前、宮藤官九郎さんのラジオに監督が出演されていた時に、この『身分帳』という本来では世に出ないもの…という唯一無二のネタを、なんでこの三上が書き写したのか…という背景があれば、更生しようと奮闘する三上本人の生き様や、周りの優しさに共感できたのかもしれません。
…とは言っても、原作を崩さず脚本化するのは大変だし、映画を制作する努力は作った者しかわからないわけで、一視聴者が生意気に言うのは違うと思いますが。
また機会があれば2回目を観てみようと思います。
しあわせとは何か
人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の生きづらさを細かい所まで描いています。
真面目に働く意思があり、まっとうに暮らしたいと思う人にもっと寄り添える社会であってほしいし、自身への戒めにもなりました。
なぜなら生きづらさは誰もが多少なりとも抱えてるものだからです。
監督が細やかな方で、丁寧に撮ってるんだなぁと思いました。
観ているうちに、三上の親戚になった気分になり、ところどころハラハラさせられ、
最後まで彼の行く末を案じてしまうのは、
演じたのが役所広司さんだったからでしょうか。愛おしく思えました。
仲野太賀さんは自然に「普通の人」を演じられる稀少な役者さんだと思っているのですが、今後もますます楽しみです。
考えさせられるところもあり、
心がゆさぶられるところもあり、
総じてすばらしい映画だと思いました。
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