すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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ヤクザと家族と同じテーマだけど、、
偶然なのか、ヤクザと家族と同じテーマです。
もとヤクザの生きにくさの話。
こちららもう少し優しい。
主人公はなかなかのクズ。みてて反吐が出る。
自分の過去を反省せずに、すぐに周りにキレる。こんな人いたら、友達にはなりなくない。
同時に、「世界」もなかなかのクズ。
偏見に満ちていて、住みにくい世界。
ただ、クズのままでは終わらなかった。
切ない。優しい。泣けた。
クズな部分を見ているのでその分ギャップがある。
小学生の歳を聞いて、指を折るところなんて、、、
ヤクザと家族との違って、切ないなぁ。
奥さんから電話があって「もう連絡しないで」なのか「今度ご飯を」と言われるのか。どちらなのか。
ヤクザと家族に比べると味付けが薄いけど出汁が効いている。奥が深いかと。
役所さんは言うまでもないけど、仲野太賀ま凄いなぁ。
電話のシーンと最後のシーンは凄かった。
タイトルの「すばらしき世界」ってなんなんだろう。
ただ、私は三上は最後は幸せだったとも思える。
力になってくれる人。優しくしてくれる人。泣いてくれる人に出会えたのだから。最後の最後まで出会えなかった(気づけなかった)ので不幸とも言えるけど。最後に世界を恨んでいるのか、もう少し生きたかったと思えるのかは、結構な違いだと思う。
終わりよければすべてよし、ではないけど。
「最低な世界」であり、「すばらしき世界」でもあるのかな。
ハッピーエンドではないけど、バットエンドでもないと思うんだけど。
人物描写がハンパない人間ドラマの秀作
前科者の更生はよくある話だけど、主人公がどこにでもいそうで、ちょっと困ったキャラ設定なのをしっかり掘り下げているのが上手いところです。前科者に対する社会のシステムを批判するのではなく、社会の中で生きにくい性格の主人公を淡々と情に流されることなく描きながら、周囲のささやかな善意やまなざしをさりげなく織り込んでいく西川監督の繊細なタッチは、とても好感が持てます。主演の役所広司の巧さは言うに及ばす、脇を固める役者陣全てが好演でした。ラストは、風にはためくカーテンで終わらせてもよかったかな。
役所広司には惚れ惚れする
役所広司の役所広司による役所広司のための映画。役所さんは1997年に今村昌平監督「うなぎ」で同じ殺人罪の刑期を終えた前科者の役をやっているのだけれど、その頃の役所さんはまさに飛ぶ鳥落とす勢い。前年に「Shall We Dance?」 翌年に「CURE」の主演を演じている。「うなぎ」も今村色は少し軽目ながら、忍耐や怨恨の情念がうごめく映画だったのだけれど、この作品はややコメディにも近い。シャバに出てからの主人公三上に対して、観客が「ああ、そっちへいっちゃだめ~」と声をかけたくなるような映画である。根が純粋で正義感も強いのだけれど、暴力が先走ってしまうが故に殺人の罪を犯してしまった三上。だけれど、役所広司の演技力とオーラは、その三上が人たらしとして輝かせている。本当にチャーミングでセクシーなのだ。出所後、三上は生活保護を受けるが、その状況に憤慨する。高血圧であるが故に医者から安静を求められるけれと、それでも三上は働いて何らかの生きがいを見出すことを強く望む。ところが、仕事はなかなか見つからず、ドライバーになろうとするも、運転免許も失効してしまっているので、学科および技能試験を直に運転免許試験場で受験、いわゆる一発受験に合格するしかない。教習所に通う費用は生活保護費では賄えないからだ。しかし、彼の周りには様々な人が味方になっていく。身元引受人の弁護士・庄司、テレビディレクター津乃田、そしてケースワーカーの井口、当初三上の万引きを疑ったスーパーの経営者松本。みんな彼の魅力に惹かれていくのだが、三上を役所広司が演じると本当に説得力がある。個人的には、助演ではキムラ緑子さんがいい演技をしていたと思う。私は西川美和さんの映画はちょっと狙いが見え透いていて好きではないのだけれど、今回はかなり的確な演出で、とにかく役所広司のすごいオーラと演技力を引き出したという意味で、監督として最高の仕事をしたと言えるだろう。とにかくこの映画は役所広司の映画。
すばらしき世界に想いを馳せる
とても純粋な人、三上は。
母に棄てられ愛に飢えていたぶん、人が与えてくれる優しさは敏感に感じ取る。
人間の美点を知っているからこそ、人が人に危害を与えている場面に出くわすと、その加害者を許せずやっつけ過ぎてしまう。
腕っぷしが強いから、見てる側は(また刑務所戻っちゃうよ!)と心配になる。
職に就けたけど、そこの裏で仲間がリンチしてるのを見てまた…やっつけ過ぎてしまう。てことは無く、自分の良心を押さえ付け身悶える。
このシーンについて鑑賞後、連れに「偶然通り掛かったふりをするだけでも、暴力の抑止になったのにね」と言うと「そんな中途半端に自分を抑えられないんだよ」との返答。なるほどね!
ラストはつらすぎる。
役所広司と仲野太賀の友情がよかった。もちろん六角精児との付き合いも。三上は大声で怒鳴ったりもするけど、それでも仲間は三上を見限らないの良かった。免許センターの女性もか。
すばらしき世界…
一度も思った事はないかも…
幼少期や学生時代にそう感じた時があったかもしれないが。
今社会に出て、そう思える時は…。
10数年服役して、流れ流れて東京に来た主人公三上。
母親を探す名目で、三上を撮影する津乃田。
三上の私生活を流して視聴率を上げようとする、長澤まさみ💦
始めは、母親探しのドキュメンタリーと称した内容で三上を騙して食い物にする感じに同調していた津乃田が、
少しずつ三上に関わっていく事で、撮影対象でない、人間関係を構築していく感じがとても良く、身元引き受け人夫婦、行きつけスーパー店長達を含めて、三上は幸せな人だなと感じたし、幸せになってほしいなと感じた。
長澤まさみが言っていた…世の中の人はレールに乗っていて、レールからはみ出た人を許せない!と
レールに乗っていても幸せでないと。
身元引き受け人夫婦も言っていた…人はそんなに強くない、自分を守る為に引く、自分を守るのが大事!だと。
三上のように、白黒付けるのが当たり前それが暴力行為であっても!は社会的にアウト。
でも世間なんて大なり小なり、
パワハラモラハラ当たり前だと思う。
本当に差別ない世の中なんて来る事はないと思う。
三上にはこの世の中に慣れて、津乃田達と良い関係で生きてほしかった。
寂しい別れが悲しかった。
薄汚れてる美しい世界
三上のようなまっすぐな人間ほど、
この薄汚れてる社会が生きづらく感じるんだろうなと、
差別や、いじめ、
よくよく思えば、見てみるふりにして、
逃げて、適当に生きるのは、
われわれの普通。
けど、三上の目からみた世界は、
生きづらくて、素晴らしい。
太賀相変わらず安定的にうまかった。
ラストは少しモヤモヤする
同時期に公開している「ヤクザと家族 The Family」と重なるテーマである。
互いに出所後の元ヤクザが生き難い世界を描いた作品であるが、全く印象が異なる
作風になっている。
それは役所広司演ずる主人公の破天荒なキャラクターの影響が大きい。
己の正義感の赴くままに一般的倫理を無視して突き進む主人公。
憎めない人物なんだけど、関わりたくないヤバさ。
そんな彼が己を曲げて生きることを選んだ時に生涯を閉じることになるのは生きる
ということは何なのかを問いかけてくる。
現実はもっと悲惨なのでは、とも思った。
長年の刑罰を終えての出所、保護司との出会い、生活保護受給のありがたみと自尊心の傷、生い立ちに由来する不安定な精神、周囲の色眼鏡、視聴率目当てのメディア、疑似家族として機能する必要悪としてのヤクザ、、、てんこ盛りだった。
役所広司は凄みがあるというよりは、キュートに描かれていた。とにかく、すごいクローズアップに耐えうる顔つき。病んでいるのに精悍というアンビバレントさは、内面の不安定さを見える化していた。
一番印象的だったのは、就職が決まったお祝い会。出所後に知り合ったばかりなのに、深く見知った者同士が狭いアパートに寄りあつまる。手作りのケーキ、ギターに歌、誓いの言葉、、、、、、こんなあたたかいコミュニティ、今どき本当の家族でも経験できないのではないかと羨ましかった。現実に同じような境遇の人間がいたとしたら、主人公のようなひと時の高揚感を一度も味わうことなく、ささくれた心情で余生を生き切る人の方が圧倒的に多いのではないだろうか。
脚本は秀逸だったと思う。特に終盤にかけての伏線の回収。個人的には洗濯物の取り込みが途中で終わったところ以上の室内の生々しいシーンは蛇足っぽかったけど、まあそれも伏線の回収の一部でありました。
最後に、日々自分は「逃げてばかり」だと痛感した。
役所広司がいいね。
人生の半分を刑務所で暮らした男の再生したい話。
高倉健さんとは、違い、すき焼きだったなあ。
万引きと間違われたり、役所の対応の冷たさに、やっぱりしんどいなあ。すぐカッとなり、手も口も出す。
しかし、スーパーの店長やTV撮影の大賀や保護司の夫妻の暖かさ、役所の方の面倒見の良さに救われる。
しかし、日頃の不摂生で身体はぼろぼろだ。
介護の仕事に出会い、ついに世間と同じく、流すことが
できたのに、悲しい。女優さんが、いい、梶芽衣子、キムラ緑子、長澤まさみ、ソープ嬢の茨木莉奈 ソープのシーンはしみじみしたなあ。淡々とラストまで進む。
なんか悲しいなあ。仕方ないんかなって問われている。
重い内容
幼少期の虐待、非行、ヤクザ、出所、娑婆への復帰をうまく絡めながら描く。
娑婆に戻ると、血圧が高くなるきっかけがたくさんあり、結果適合できない。
「すばらしき世界」は娑婆を皮肉としてあらわしたタイトルと思った。
令和版「幸福の黄色いハンカチ」とも言えるでしょうか?
封切り翌日の夜、仕事帰りに観ました。お客さんは結構入っていました。この映画を観て、小学生の時に観た高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」を思い出しました。健さんの役も本作品の役所広司さん扮する三上正夫も九州出身、いずれも殺人を犯し、健さんは網走刑務所から6年の刑期を終えて出所、三上正夫は旭川刑務所を13年の刑期を終えて出所、健さんの妻である倍賞千恵子さんは6年の刑期を待っていてくれて、黄色いハンカチを掲げてくれましたが、三上正夫の元妻の安田成美さんは13年は待ってくれず、娑婆の厳しい風にさらされてしまうところが昭和と令和の違いでしょうか?それでも最後に少しだけ電話で話すことができたのが、救いですが。
身元引受人の弁護士の妻が「女囚さそり」シリーズの梶芽衣子さんというのが味わい深いです。女囚さそりに「カッとなるな、世の中に合わせろ、皆そうしている」と言われれば、僕もそうせざるを得なくなると感じました。
役所広司さんの名演は予想通りでした。ひと昔前なら三上正夫の役を誰がするだろうと想像すると、高倉健さんか緒形拳さんでは?と思いますが、役所さんも決して負けていない大俳優と思います。またスーパーの店長の六角精児さんとケースワーカーの北村有起哉さん本当に名演で良かった。二人とも大好きです。
また、お風呂屋さんの桜木梨奈さんが本当に良かった。素晴らしい!!映画のオフィシャルサイトに大きくは名前の載っていない女優さんですが、兎に角、彼女が素晴らしかった。映画の中で主人公が唯一ある種の母性的な優しさを感じることが出来た場面で、僕はこの場面で涙が流れそうになりました。この場面を女性監督が撮れたことは驚きを禁じ得ません。西川監督はすごいです。また、桜木梨奈さんはもっと有名になるべき女優さんだと思います。
タイトルの意図は?
このタイトルからして最後はハッピーエンドだとばかり思っていたが、そうではなく、まさにこれから素晴らしい世界をリスタートさせようとした矢先に亡くなって終わってしまい驚いた。では、このタイトルの意図は何だったのだろうか?
出所してもまた、はみ出しそうになったり、人との交わりが上手くできなかった主人公だが、最後には人の温かさに触れ、そして亡くなった時に心から悲しんでくれる人ができた。たとえ殺人犯であっても、元ヤクザであっても。それが、すばらしき世界なのかな?
でも、真っすぐに生きた主人公にとっては、現実社会は生きずらかったのも事実。介護施設での出来事がそうだった。すばらしき世界って何なんだろうね?そういう問いかけのラストだったようにも思う。
役所さんの演技はすばらしい
役所さんはさすがの演技の連続でさすがだなと思いました。
感情移入してましたが最後の最後、
ラストのラストで考えさせられてしまいました。
自分としては素晴らしき世界でがんばって生きているんだという形で終わって欲しかった。
なぜ死なせなければならなかったのか?とても残念に思いました。
持病があるのは分かっていたのですが、生かせてほしかったなあ・・・。
西川美和に外れなし
ほとんど西川美和監督の作品見てるけど、どれも見終わった後あれこれと考えさせられる。人間のわからなさ生きることの難しさなどぼんやりと見せてくる。ですが今作の新しき世界は他作品に比べて三上のようにwわかりやすく心情が読み取れる内容だと思います。
個人的に好きなシーンはケンカし終わった後の清々しい三上や、老人ホームでふざける先輩に向ける目線 怖かった〜 孤狼の血の役所より怖かったです
それでも世界はすばらしい?
懲役10年を宣告されていた三上が刑期を終えてなんとか現実社会で生きようと悪戦苦闘する話。
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私の中でいいなと思う映画のポイントは2つあって、登場人物が善でも悪でもなく色んな面を持ってることと、自分の中の価値観が更新される/自分の持ってる価値観がひっくり返る、こと。この映画ちゃんと当てはまってました!.
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1つ目の人物描写について。この映画、ほぼ全ての登場人物が話が進むにつれ、第一印象とは違う行動に出る。例えば、あんまり助けてくれなさそうな区役所の職員に、見た目だけで三上を万引き犯と疑うスーパーの店長に、介護施設で働く優しげなお兄さん。どっちも良い方にも悪い方にも転ぶ。
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この手法を私は『スリービルボード』方式と呼んでるんだけど、人には悪い所も良い所もある、現実社会に完全な悪人っていないんだよね。誰でも善意の人であり、悪意の人。
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もう1つの価値観について。長澤まさみ演じる遥が三上がチンピラに暴行する姿を見て逃走する龍太郎に、「あんたみたいなのが何も救わない」と言い捨てるところ。結局私だって映画たくさん見て、社会の底辺に生きる人の気持ち分かってますみたいな顔してるけど実際あんなんみたら逃走するかもしれん。
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結局こんなとこで感想書いてあれがだめだこうするべきだなんて言ったところで、私は何も救ってない。社会の不条理を見逃せない瞬間湯沸かし器三上を、引き止めるために見て見ぬふりして逃げろとなだめる龍太郎たちだって結局三上を救えなかった。
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社会のレールからはみ出さないように生きていくには、つまづいて転ばないようにいろんなトラップを上手く交しながら生きていかなきゃいけない。少しでも空が広いところに行けるようにこのクソみたいなすばらしき世界を生きていかなきゃね。
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この世界に居場所を見つけるには
「素直で真っ直ぐで義理堅くやさしい人。それでいて整理整頓が得意」と言われたら、すぐにヤクザだと思う人はいないだろう。
「あり方」だけじゃなく「やり方」を知らないと生きづらい世界なのだと教えてくれる映画だった。
犯罪者や貧困の再生産をしないためにできることは、その人の過去ではなく今望むものに目を向けて、辛抱強く寄り添い、居場所をつくることなのかもしれない。でもそれが、とてつもなく難しい。怖いから。守りたいものを思ってしまうから。
それでもしっかり関わると、この主人公のように、その魅力的な側面が見えてくるんだろう。
「褒められるところに行きたかろ?」という役所さんのセリフが印象的でした。
不寛容な世界で居場所を手にする方法は、ほんとうに他者への無関心しかないんだろうか。
そんな問いを受け取った映画でした。
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