すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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ラストは少しモヤモヤする
同時期に公開している「ヤクザと家族 The Family」と重なるテーマである。
互いに出所後の元ヤクザが生き難い世界を描いた作品であるが、全く印象が異なる
作風になっている。
それは役所広司演ずる主人公の破天荒なキャラクターの影響が大きい。
己の正義感の赴くままに一般的倫理を無視して突き進む主人公。
憎めない人物なんだけど、関わりたくないヤバさ。
そんな彼が己を曲げて生きることを選んだ時に生涯を閉じることになるのは生きる
ということは何なのかを問いかけてくる。
現実はもっと悲惨なのでは、とも思った。
長年の刑罰を終えての出所、保護司との出会い、生活保護受給のありがたみと自尊心の傷、生い立ちに由来する不安定な精神、周囲の色眼鏡、視聴率目当てのメディア、疑似家族として機能する必要悪としてのヤクザ、、、てんこ盛りだった。 役所広司は凄みがあるというよりは、キュートに描かれていた。とにかく、すごいクローズアップに耐えうる顔つき。病んでいるのに精悍というアンビバレントさは、内面の不安定さを見える化していた。 一番印象的だったのは、就職が決まったお祝い会。出所後に知り合ったばかりなのに、深く見知った者同士が狭いアパートに寄りあつまる。手作りのケーキ、ギターに歌、誓いの言葉、、、、、、こんなあたたかいコミュニティ、今どき本当の家族でも経験できないのではないかと羨ましかった。現実に同じような境遇の人間がいたとしたら、主人公のようなひと時の高揚感を一度も味わうことなく、ささくれた心情で余生を生き切る人の方が圧倒的に多いのではないだろうか。 脚本は秀逸だったと思う。特に終盤にかけての伏線の回収。個人的には洗濯物の取り込みが途中で終わったところ以上の室内の生々しいシーンは蛇足っぽかったけど、まあそれも伏線の回収の一部でありました。 最後に、日々自分は「逃げてばかり」だと痛感した。
役所広司がいいね。
人生の半分を刑務所で暮らした男の再生したい話。
高倉健さんとは、違い、すき焼きだったなあ。
万引きと間違われたり、役所の対応の冷たさに、やっぱりしんどいなあ。すぐカッとなり、手も口も出す。
しかし、スーパーの店長やTV撮影の大賀や保護司の夫妻の暖かさ、役所の方の面倒見の良さに救われる。
しかし、日頃の不摂生で身体はぼろぼろだ。
介護の仕事に出会い、ついに世間と同じく、流すことが
できたのに、悲しい。女優さんが、いい、梶芽衣子、キムラ緑子、長澤まさみ、ソープ嬢の茨木莉奈 ソープのシーンはしみじみしたなあ。淡々とラストまで進む。
なんか悲しいなあ。仕方ないんかなって問われている。
重い内容
幼少期の虐待、非行、ヤクザ、出所、娑婆への復帰をうまく絡めながら描く。
娑婆に戻ると、血圧が高くなるきっかけがたくさんあり、結果適合できない。
「すばらしき世界」は娑婆を皮肉としてあらわしたタイトルと思った。
いやー、これは悲しい物語に見えるけど、すごく今をポジティブに受け取...
いやー、これは悲しい物語に見えるけど、すごく今をポジティブに受け取らせてくれる良い作品だった。役所さん、やはり凄すぎ、最高すぎ!!!!
令和版「幸福の黄色いハンカチ」とも言えるでしょうか?
封切り翌日の夜、仕事帰りに観ました。お客さんは結構入っていました。この映画を観て、小学生の時に観た高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」を思い出しました。健さんの役も本作品の役所広司さん扮する三上正夫も九州出身、いずれも殺人を犯し、健さんは網走刑務所から6年の刑期を終えて出所、三上正夫は旭川刑務所を13年の刑期を終えて出所、健さんの妻である倍賞千恵子さんは6年の刑期を待っていてくれて、黄色いハンカチを掲げてくれましたが、三上正夫の元妻の安田成美さんは13年は待ってくれず、娑婆の厳しい風にさらされてしまうところが昭和と令和の違いでしょうか?それでも最後に少しだけ電話で話すことができたのが、救いですが。
身元引受人の弁護士の妻が「女囚さそり」シリーズの梶芽衣子さんというのが味わい深いです。女囚さそりに「カッとなるな、世の中に合わせろ、皆そうしている」と言われれば、僕もそうせざるを得なくなると感じました。
役所広司さんの名演は予想通りでした。ひと昔前なら三上正夫の役を誰がするだろうと想像すると、高倉健さんか緒形拳さんでは?と思いますが、役所さんも決して負けていない大俳優と思います。またスーパーの店長の六角精児さんとケースワーカーの北村有起哉さん本当に名演で良かった。二人とも大好きです。
また、お風呂屋さんの桜木梨奈さんが本当に良かった。素晴らしい!!映画のオフィシャルサイトに大きくは名前の載っていない女優さんですが、兎に角、彼女が素晴らしかった。映画の中で主人公が唯一ある種の母性的な優しさを感じることが出来た場面で、僕はこの場面で涙が流れそうになりました。この場面を女性監督が撮れたことは驚きを禁じ得ません。西川監督はすごいです。また、桜木梨奈さんはもっと有名になるべき女優さんだと思います。
タイトルの意図は?
このタイトルからして最後はハッピーエンドだとばかり思っていたが、そうではなく、まさにこれから素晴らしい世界をリスタートさせようとした矢先に亡くなって終わってしまい驚いた。では、このタイトルの意図は何だったのだろうか?
出所してもまた、はみ出しそうになったり、人との交わりが上手くできなかった主人公だが、最後には人の温かさに触れ、そして亡くなった時に心から悲しんでくれる人ができた。たとえ殺人犯であっても、元ヤクザであっても。それが、すばらしき世界なのかな?
でも、真っすぐに生きた主人公にとっては、現実社会は生きずらかったのも事実。介護施設での出来事がそうだった。すばらしき世界って何なんだろうね?そういう問いかけのラストだったようにも思う。
役所さんの演技はすばらしい
役所さんはさすがの演技の連続でさすがだなと思いました。
感情移入してましたが最後の最後、
ラストのラストで考えさせられてしまいました。
自分としては素晴らしき世界でがんばって生きているんだという形で終わって欲しかった。
なぜ死なせなければならなかったのか?とても残念に思いました。
持病があるのは分かっていたのですが、生かせてほしかったなあ・・・。
西川美和に外れなし
ほとんど西川美和監督の作品見てるけど、どれも見終わった後あれこれと考えさせられる。人間のわからなさ生きることの難しさなどぼんやりと見せてくる。ですが今作の新しき世界は他作品に比べて三上のようにwわかりやすく心情が読み取れる内容だと思います。
個人的に好きなシーンはケンカし終わった後の清々しい三上や、老人ホームでふざける先輩に向ける目線 怖かった〜 孤狼の血の役所より怖かったです
それでも世界はすばらしい?
懲役10年を宣告されていた三上が刑期を終えてなんとか現実社会で生きようと悪戦苦闘する話。
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私の中でいいなと思う映画のポイントは2つあって、登場人物が善でも悪でもなく色んな面を持ってることと、自分の中の価値観が更新される/自分の持ってる価値観がひっくり返る、こと。この映画ちゃんと当てはまってました!.
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1つ目の人物描写について。この映画、ほぼ全ての登場人物が話が進むにつれ、第一印象とは違う行動に出る。例えば、あんまり助けてくれなさそうな区役所の職員に、見た目だけで三上を万引き犯と疑うスーパーの店長に、介護施設で働く優しげなお兄さん。どっちも良い方にも悪い方にも転ぶ。
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この手法を私は『スリービルボード』方式と呼んでるんだけど、人には悪い所も良い所もある、現実社会に完全な悪人っていないんだよね。誰でも善意の人であり、悪意の人。
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もう1つの価値観について。長澤まさみ演じる遥が三上がチンピラに暴行する姿を見て逃走する龍太郎に、「あんたみたいなのが何も救わない」と言い捨てるところ。結局私だって映画たくさん見て、社会の底辺に生きる人の気持ち分かってますみたいな顔してるけど実際あんなんみたら逃走するかもしれん。
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結局こんなとこで感想書いてあれがだめだこうするべきだなんて言ったところで、私は何も救ってない。社会の不条理を見逃せない瞬間湯沸かし器三上を、引き止めるために見て見ぬふりして逃げろとなだめる龍太郎たちだって結局三上を救えなかった。
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社会のレールからはみ出さないように生きていくには、つまづいて転ばないようにいろんなトラップを上手く交しながら生きていかなきゃいけない。少しでも空が広いところに行けるようにこのクソみたいなすばらしき世界を生きていかなきゃね。
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この世界に居場所を見つけるには
「素直で真っ直ぐで義理堅くやさしい人。それでいて整理整頓が得意」と言われたら、すぐにヤクザだと思う人はいないだろう。 「あり方」だけじゃなく「やり方」を知らないと生きづらい世界なのだと教えてくれる映画だった。 犯罪者や貧困の再生産をしないためにできることは、その人の過去ではなく今望むものに目を向けて、辛抱強く寄り添い、居場所をつくることなのかもしれない。でもそれが、とてつもなく難しい。怖いから。守りたいものを思ってしまうから。 それでもしっかり関わると、この主人公のように、その魅力的な側面が見えてくるんだろう。 「褒められるところに行きたかろ?」という役所さんのセリフが印象的でした。 不寛容な世界で居場所を手にする方法は、ほんとうに他者への無関心しかないんだろうか。 そんな問いを受け取った映画でした。
ひまつぶしの世界を生きて
剥き出しの生に触れ、生の本質が揺れる。 クリーンで公正な社会、小さな世界。 死の恐怖のない、安定生存世界、動物的人間性の去勢済。 そのものが、そのものでいられぬ社会、小さな世界。 差し伸べる手、理屈抜きの衝動的行動、本意。 もっとあったかく、単純に、ナマナマしく生きられたなら。 薄い射光のような暖かさを感じて、少し涙が溢れた。 折しも小春日和。
すばらしき世界とは
殺人を犯し、人生の長い時間を刑務所で過ごした男が数十年ぶりの社会で生きる姿を描いた作品。 今度こそは堅気だと真っ当に生きようと努力する三上が直面する社会での生きづらさ、社会の不寛容さ、元いた世界に戻りかねない危うさが繊細に描かれていると感じた。 犯した罪に対する反省はなく、刑務所に戻らないために社会で堅気として生きると考えていた三上だが、出所後に出会う人々との繋がりの中でその考えは変わっていったのだと思う。直情的な性格の三上だが、その真っ直ぐさや正義感の強さ、人懐こさからか、そんな彼の短気で暴力的な側面も理解した上で支えてくれる人々に出会っていく。三上の人柄をよく理解し信じてくれる人がいたからこそ彼は再び罪を犯すことなく生きることができたのだと思う。 すばらしき世界とはなにか、社会で普通に生きるということはどういうことか。三上が歩き始めた社会は、決して生きやすく全てが正しい世界ではない。介護施設で三上が自らの正義を押し殺し見て見ぬふりをする場面はそれをもっとも象徴して描かれたシーンだったと思うし、観ている人の心にも罪悪感のようなチクッと痛いような感情を抱かせたのではないか。この社会は果たして素晴らしいのかという問いを投げかける映画だったと思う。 三上にも本当にこれが社会で生きる正しさか、という疑問は常にあったのだろうと思う。しかしその中でも社会の一員として人々と繋がり生きていくということ、その喜びを三上は感じ始めていたのではないか。 社会の現実、人の心の機微が繊細に描かれた、考えさせられる一作だった。物語としてストーリーに壮大さこそないが、観終わった後にも私たちの心に小さなしこりを残すような、何とも言えぬ後味がじわりと続くような、そんな作品だったと思う。 最後に、役所広司さんの演技には圧倒されました。 これまでも好きな役者さんでしたが、改めて素晴らしい役者さんだなと実感しました。
一針一針丁寧に縫い上げられたようなすばらしい映画です🪡
名匠 西川美和監督が佐木隆三先生の傑作ドキュメンタリー小説「身分帳」を原案に現代を舞台に映画化。そしてこれが大正解。 役所広司さんじゃなければ出し得ない存在感に冒頭から引き込まれ魅せられた、あっという間の上映時間でした。ぜひ、スクリーンでの鑑賞をオススメします(*´ω`*)娑婆の空は広いんです😿 それにしても役所さん、伊丹監督の「タンポポ」から何年経ったかなぁ•••今や日本映画界の至宝だ🎞🎬
三上の存在感が凄かった。オススメします。
佐木隆三の小説「身分帳」を原案にして舞台を原作から約35年後の現代に置き換え西川美和監督が役所広司を主役に 刑期を終えて出所した直情型の孤独な男の再出発と自立の困難さをリアルに描いた傑作です。 原作を先に読んでたので淡々と人間観察を続けた佐木隆三の小説をどうやって映像化するのか興味深かったです。 役所広司が見せる正義感が強い三上という人物が実在する人物のように生々しく感じました。 第56回シカゴ国際映画祭で作品が観客賞を、役所が最優秀演技賞を受賞したのも納得です。 舞台も私の育った荒川付近の下町の近くでしたので感情移入がしやすかったです。 とにかく主人公の周りで見守る登場人物の一人一人が親切で心優しいのに、身の回りの理不尽な出来事に怒りを抑える姿が心に響きます。 梶芽衣子、橋爪功、北村有起哉、六角精児はベテランの落ち着きを感じました。 テレビ局クルーの仲野太賀と長澤まさみの二人が三上の不器用な姿を更に浮きだたせます。 多くの年代層に見てもらいたいお勧め作品です。
涙腺崩壊でした・・・
主人公の不器用ながらも懸命に生きようとする姿を丁寧になぞりながら、ストーリーが進んでいくので、とても感情移入でき、涙腺崩壊でした。
長いこと社会から隔離された人が、やり直すことが難しい社会構造であることや、児童養護、障がいのある人、虐待の問題、など社会の抱える課題を複合的に考える良い映画でもありました。
最後に、別れた妻との再会を果たし、探してたお母さんに会うことがでるなど、ハッピーエンドで終わることをどこか期待していたが、ハッピーエンドではない悲しく切ない終わり方が、またこの映画の魅力になっているように思えた。
誰もが安心して、ありのまま自分らしく生きられる世の中が良いに決まってると誰もが思うのに、それが難しい現実社会。身近なところから、その人に寄り添っていければと思いました。
原作佐木隆三
主人公が「悪い人ではないんだけど‥」と言われがちな近くにいたら確実にめんどくさい典型的な人 話で聞くぶんには面白いんだけど 北村有起哉が「ヤクザと家族」とは真逆の役で、役者は凄いなと 人生はめんどくさいけど面白いと思えたら勝ち
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