「最後は、えーーーっ?」すばらしき世界 プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
最後は、えーーーっ?
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元ヤクザで妻を守るために殺人を犯した役所が出所。
弁護士が後見人になってくれて、仕事を探すが難航する。
正義感が強く短気で暴力的、という純粋さのためだった。
最初はおもしろがってTVが取材についてたが、その話もなくなる。
そんな中でも力になってくれる人達はいたが、素直に受け入れられない。
他人の施しを受けるのは恥という心が常にあった。
そしてついに昔の兄弟分に連絡を取るが、今はヤクザは苦しかった。
ちょうどそんな折、その組に警察の手入れが入り、壊滅(たぶん)。
あなたは堅気で生きなさいという、兄弟分の妻の言葉が響いた。
やがて介護の仕事につく。そこで職員同士のいじめを目撃。
チャラくて頭悪そうなその職員の言動にキレそうになる役所。
でも自分を支えてくれる人達のことを考えて辛抱した。
その帰り、昔の嫁から電話があり、娘と共に会えることになる。
でもこのささやかな幸福感が死亡フラグだった。
持病のあった役所は帰宅後急死したのだった。
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元ヤクザにとって今の時代が生きにくいことは間違いない。
おれはその世界には縁がないが、少数派の人間なので共感はある。
主人公が根は純粋で真面目なのもまた共感できた。
身元引受人の弁護士・役所の生活保護課の人・彼を取材してたライター
・偶然同郷だったスーパーの店長・・・みんな優しいし温かい。
ラスト15分くらいになって、急に物事が好転し始めるもんだから、
結局ダメでした~・・みたいなオチが待ってる気がして怖かった。
だってそのまま終了、じゃ映画として面白くないだろうから。
でもつまらん終了でいいから、何事もなく終わってって祈ってたな。
自分を信じ、更生を祝ってくれる人達を裏切って欲しくないから。
もちろん一生懸命頑張って来た自分自身のことも。
そしたらまさかの急死。えーーーーっ?って思ったけどな。
でもこれ、また道を踏み外すよりはハッピーエンドなんよな。
そんなことに胸をなでおろす、謎な自分がいたわ。