「What a wonderful world ですよね」すばらしき世界 マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)
What a wonderful world ですよね
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生きづらい世の中、不寛容で排他的な社会。
でも、ここに登場する人物たちは全員、他者を思いやる、適度に。
たとえば、生活保護窓口の井口。三上が書類を指し示しながら「不満がある場合は、知事に申し出ることができる」云々と迫ると、「まだ、上司にも報告していないのに、そんなことされたら、僕の立場はどうなるんですか」とやり返す。本当に困っている三上を救うより、自分を優先させる井口だけれど、三上に関わり続けやがて介護助手の仕事を紹介する。
三上に関わる人物は、全員が適度なのだ。適度に、他者を無視し、時には逃げ出し、でも、適度に他者を支える。そうした中、イノセントで過度な三上も、適度を学んで社会に適応していく。
やさしそうな振りをしながら、実際には、制度や空気で拒絶するクソみたいな日本。でもその中に、すばらしき世界は、確かにあるのだ。西川監督は、そこに光を見出そうとしている、ように思える。
繊細な表現にやどる説得力、西川監督の力量に感服、です。
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