「考えさせられる。余計に答えが出ない。 でも思い込みはほぐされた気がする」すばらしき世界 kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)
考えさせられる。余計に答えが出ない。 でも思い込みはほぐされた気がする
「人間」と「社会」について考えさせられる重いテーマ。
考えさせられる。余計に答えが出ない。
でも思い込みはほぐされた気がする
色んな考えの人が出てくる。
でも誰も正解じゃない。誰もが正解と間違えを持っている。
いい映画でした。
作品全体の空気は不思議とドンヨリはしてない。
映画でもヤクザ/チンピラの口調って苦手なんですが、この作品は憤りは感じなかった
イキってる、暴力が仕方がないモノとして描かれてないからだろうか。
三上は親しみがある。でも彼を良しとはしたくない。
短気なとこあるけどいい人……で済ませては駄目なきがする。だからこそ深い。
役所広司は神がかり的な名演。
三上を応援したくもなるし、絶対に認めたくないとも思う。
あと六角精児さんのあるシーンでの笑顔が1番きた。
表情一つで号泣させられた。すごいな、この人。
ギターを弾く場面でピンク・フロイドのTシャツ着てるのもなんかよかった。
三浦透子もさりげなく出演。この人は主演級でも光るけど3番手ぐらいの役のときがすごい。
特徴ある顔なのに”あ、いたの?”って潜み方。まったく目立たない。クレジットで気づく。でもものすごく意味がある存在。
樹木希林に近いレベルでスクリーンの中で自然に生きてると思う。
ラストシーンも面白い。
あのタイミングで、か。空の色との組み合わせといいすごい。
直前のシーンを受け取るのか。それとも皮肉だと受け取るのか。
”私達ってもっといい加減に生きてるのよ”って言葉がすごく印象に残ってる。
すべてが良い方向に動いていく象徴のような聞こえる言葉だけど、最後まで見ると必ずしもポジティブには受け取れないのがすごい。
なんだか最後まで絶望を覚えるブラック・クランズマンを思い出した。
物語と演技がいい。そのうえでカメラワークも素晴らしい。
飛行機のシーンはうまいなー、と。雰囲気と気づきが流れるようにやってくるのは鳥肌モノだった。
や、ほんと良作です。
社会(制度)なんてすべて悪か?
人間は本質的には善か?
社会も救いはあるのか?
人間が1番の悪なのか?
素晴らしい役者と見せ方で、とても考えさせられる物語を。
そしてシンプルにコンテンツとしても惹き込まれる。
いい映画でした。