「2021/3/4」すばらしき世界 伊達巻さんの映画レビュー(感想・評価)
2021/3/4
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前科持ちに対して不寛容な社会に対して、『すばらしき世界』という皮肉的なタイトル。考えさせられる映画ではあったのだけれど、その世界の理不尽さを表現するためにラストに持ってきた出来事が短絡的すぎて、シャバイ脚本だなぁと思ってしまった。
純粋で生きるのが下手な三上の人柄に助けたくなる気持ちもわかるけれど、それにしたって周りの人たちが他人に寄り添えるいい人ばっかりなのも気になってしまったし、そんな周りに支えられ社会になじむために障がい者を笑う同僚に同調するのがめちゃくちゃ気持ちが悪かった。
あそこで三上が気付くべきなのは、障がい者の同僚をリンチしたのは「仕事をさぼった事に対して怒った」という理由があったことを知って、自分自身の暴力も理由があったって事と照らし合わせることと、どんな理由があれ暴力はダメだということじゃないのかな…。
後味は「うーむ」って感じにはなってしまったのだけれど、役所広司さん演じる三上の純粋かつ瞬間湯沸かし器的な性格故の緊張感ある感じと、キムラ緑子さんと安田成美さんの凛とした女性感とか、役者さんたちの演技はとっても良かったです。
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