劇場公開日 2021年2月11日

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「兎角この世は生きにくい」すばらしき世界 bluewaveskyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5兎角この世は生きにくい

2021年2月16日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

一種の社会福祉的映画である。社会福祉的作品といえば、某局ドラマ『健康で福祉的な最低限度の生活』が思い浮かぶがドラマが教科書的なオモテとすれば、こちらは殺人をおかしたヤクザが社会復帰を目指す“ウラ”的な存在。
三上(役所広司)が身元引受人の弁護士庄司(橋爪功)と生活保護を求めて役所に行った際、北村有起哉扮するケースワーカーが「反社には生活保護はおりない」と言うが庄司に説得され応じるシーンが象徴的だった。
景気の低迷が長く続き一般人でも行きにくい昨今。政治家は再チャレンジなどと言うが一度踏み外したら生きにくいこの社会、殺人をおかしたヤクザなら、さぞかし社会復帰は難しかろう。映画では三上に対して共感を示すテレビカメラマン津乃田(仲野太賀)やスーパーの店長・松本(六角精児)が登場し、三上を温かい目で見守るが、現実は更に厳しい。兎角、この世は生きにくい。この映画、役所広司の“目”が印象的で、大いなるリアルを感じた。

bluewavesky