「令和版「幸福の黄色いハンカチ」とも言えるでしょうか?」すばらしき世界 けいちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
令和版「幸福の黄色いハンカチ」とも言えるでしょうか?
封切り翌日の夜、仕事帰りに観ました。お客さんは結構入っていました。この映画を観て、小学生の時に観た高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」を思い出しました。健さんの役も本作品の役所広司さん扮する三上正夫も九州出身、いずれも殺人を犯し、健さんは網走刑務所から6年の刑期を終えて出所、三上正夫は旭川刑務所を13年の刑期を終えて出所、健さんの妻である倍賞千恵子さんは6年の刑期を待っていてくれて、黄色いハンカチを掲げてくれましたが、三上正夫の元妻の安田成美さんは13年は待ってくれず、娑婆の厳しい風にさらされてしまうところが昭和と令和の違いでしょうか?それでも最後に少しだけ電話で話すことができたのが、救いですが。
身元引受人の弁護士の妻が「女囚さそり」シリーズの梶芽衣子さんというのが味わい深いです。女囚さそりに「カッとなるな、世の中に合わせろ、皆そうしている」と言われれば、僕もそうせざるを得なくなると感じました。
役所広司さんの名演は予想通りでした。ひと昔前なら三上正夫の役を誰がするだろうと想像すると、高倉健さんか緒形拳さんでは?と思いますが、役所さんも決して負けていない大俳優と思います。またスーパーの店長の六角精児さんとケースワーカーの北村有起哉さん本当に名演で良かった。二人とも大好きです。
また、お風呂屋さんの桜木梨奈さんが本当に良かった。素晴らしい!!映画のオフィシャルサイトに大きくは名前の載っていない女優さんですが、兎に角、彼女が素晴らしかった。映画の中で主人公が唯一ある種の母性的な優しさを感じることが出来た場面で、僕はこの場面で涙が流れそうになりました。この場面を女性監督が撮れたことは驚きを禁じ得ません。西川監督はすごいです。また、桜木梨奈さんはもっと有名になるべき女優さんだと思います。