ドロステのはてで僕らのレビュー・感想・評価
全89件中、41~60件目を表示
頭フル回転なのに思考停止で面白い
時間軸を操り緻密に練り上げられたストーリーに唸る。発想の素晴らしさと構成の巧みさは嫉妬の域を超えて、どうしたらそこにたどり着けるのか分からないレベル。
長回しで同時多発的な演劇のLIVE感と、時間と空間を操れる映像の仕掛けをうまく組み合わせてつくったハイブリット映画。
70分と短いけど、2時間の映画を観たのと同じぐらい密度が濃い。小気味の良いコンパクトで現代のコンテンツ消費に合った作品。
上田誠は天才だ。デジタルだけどアナログな撮影手法でタイミングを合わせて演じきった俳優陣にも賛美を贈りたい。
一部カメラマンがガラスに写り込んでいるところがあるがそれもご愛嬌か。
設定の破綻を演技で修復する映画
設定は破綻しているはずだが、うるさいことを言わなければ、極上のエンターテインメントである。
映画「テネット」よりも、何倍も面白かった。
理解できるまで、自分は時間がかかった。
というのも、時間だけがずれているだけで、空間は共有していると思っていたからだ。
いつ過去の自分が、現在の自分の世界に乱入して、“クラッシュ”するのだろうと、ハラハラしたのだ。
ところがこの映画の設定では、ディスプレイの向こうは、空間さえも共有しないパラレル世界だった。
しかしそうなると、実際、映画の中でも何度も言及されるが、設定は破綻している。
なぜなら、いったん未来と交信してしまった以上、過去に向けて、きっちり2分後に同じことを再現して見せなければならない。
逆に、未来から指示されたら、きっちり2分後に同じ事を遂行しなければならない。
しかし、もちろんそれは、いくら頑張っても厳密には“実現不可能”だ。
さらに、各々のパラレル世界では、未来や過去に縛られて“自由な行動”が取れなくなるが、登場人物がそれを遵守しなければならない理由など、どこにもない。
この映画が面白いのは、その“実現不可能”なことを、役者たちが同一の演技を2分後にアングルを変えて、正確に繰り返すことで“実現”しているところだ。
設定の破綻を、自然な感じの演技によって、何事もないように修復している(笑)。
登場人物の誰もが、決して未来の自分も、過去の自分も裏切ろうとしない。
そして、そのいつ生じてもおかしくなかった破綻を、最後の最後まで引っ張って、ラストでドカン!とかますのである。
時々、長回しが入るので、撮影は楽ではなかったはず。
脚本賞をあげたいくらいだ。
『TENET』よりも難解?
『サマータイムマシン・ブルース』でその名を知った劇団「ヨーロッパ企画」。タイムマシンの無駄遣いが面白く、今回も小規模なSF作品でしたが、よくこんなことを思いついたものだと感心してしまう。
2分後の未来が見えるという設定は、ニコラス・ケイジ主演の『ネクスト』(2007)なんてのもありましたが、この時間の短さを描くのは相当難しい。なんせモニターの前でのやりとりが2分を超えるといきなりパラドクスが生じてしまうのだ。エンドロールでは撮影もストップウォッチで計りながら行ってた様子が映されていたし、何度も同じ演技をしなきゃならない難しさも感じ取れるのです。
ネタとしてはゼブラダンゴムシが最もうけるし、使うとわかってても笑ってしまいました。シンバルという小道具も普通の人には思いつかないです。時間の歪みに入ってしまったモニター2台。「卵が先かニワトリが先か」などというループもあり得ないことなんだろうけど、パラドクスを起こさないために同じことを言うこと自体が笑えるプロットです。
軽く楽しむにはいいけど、考えすぎるとドロステ効果に飲み込まれてしまいそうです。『サマータイムマシン・ブルース』の方が面白かったけど(舞台版も)、あの時の上野樹里の息子役の役者がまた出演してましたよね。藤子不二雄短編集も読みたくなりました!
なるほど、時間と未来をこんな風に見せるのは面白い。それを普段の生活...
なるほど、時間と未来をこんな風に見せるのは面白い。それを普段の生活の中のほんと身近な出来事として描いてるのは面白かった。
撮影とかも相当工夫してるんだろうなぁ。
ただ作風は自分に合わなかったかな。
TOHO日比谷の一番大きいスクリーンで観たけど、ミニシアター系のスクリーンで観たらもう少し入り込めた気もしました
面白いアイディア作品
出演者は知らない人ばかりのカメ止め路線の作品 発想からして異色だが劇場でやるのなら似たような作品で2本立てややはりメジャーな方を起用して堂々と全国的に公開出きるようになってほしい!
日本の映画が面白くなってきた
「ドロステのはてで僕ら」ヨーロッパ企画。
オープニングのファーストカットから、この映画の構成がしっかりしてる!と、直感する。
構図、光、パーンのタイミング。映画づくりの根本に、何が必要なのか、応えてる。
最高に良いのは、日本映画にありがちな、情緒的、暗さ、日常社会からの遊離した過去、現在、生い立ちの不遇等々に、すがった脚本でないことだ。
劇団で培った演出と演技が、映画として成立している。
これからの日本映画を担うのは、旧体質の映画人ではなく、
こういったエンターテイメント、クリエイターだろう。
多いに期待したい!
2分先の未来ってところがミソ
2020年映画館鑑賞51作品目
朝倉あき以外は知らない
脚本が良い
よく計算されている
投手なら技巧派で20勝するような感じ
階段のところとか『カメラの止めるな』のような撮影はどうかな
あれよりかなり目が疲れるというか頭が疲れる
好みじゃない
朝倉あき以上に藤谷理子が可愛かった
ゆるい人たちに対しヤクザと未来人
緊張と緩和
低予算でも面白いものは作れる典型
下手したらAVより安上がりかもしれない
こっちが未来で、そっちが過去。夢じゃないから。
そもそもドロステってなによ?ってなるが、それは「ドロステ効果」のことで、合わせ鏡のようなもの。向かい合ったモニターが入れ子状態になって延々とつながり、それが二分ずつ時間がズレている。
こっちが今で、向こうが二分後の未来?その向こうには更に二分後の未来?
そうと聞いても頭の中には???となっている。理解しようとする先から、画面の中では更に手のこんだギミックを畳みかけてくるので、よけいに???となっていく。でも、頭の中でついていけないのに、観ててワクワクして仕方がない。ばらまいた伏線を回収していく、というよりは2分前の未来に伏線を張り巡らせていく感じ。すべてをスマホでワンカット(風なのか?)で撮影しているので、台詞トチリは言うに及ばず、ちょっとしたタイミングを間違うだけでそれまで苦労がオジャン。まるで、人間自身が装置の一部分になって大人数で仕掛けるピタゴラスイッチ。画面の映っていない裏方の苦労(電源コードを捌いたりとか)も想像できて、それはむしろほほえましくて、おかしくなってくる。どこか学芸会のノリ。当日はもとより、前日までのワチャワチャ感。最後に流れるネバヤン風の歌がまた、この映画の一体感にぴったりだった。
カメ止め好きなら見逃せない一作です。エンドロールのあとにプレゼントもありますのでお見逃しなく。
最高に面白いSFギミック! +アレ
サマータイムマシン・ブルースのギミック面に特化した内容かな?と思ったらしっかり甘酸っぱさも。
最後に炸裂するバレーボウイズの説得力!
ギミックSF青春映画の新しい傑作!
内容が内容なんでネタバレ無しで感想を書くのは難しいですが……;
「サマータイムマシンブルース」は青春劇とタイムスリップのギミックが絶妙なバランスで同居してました。
今作はギミックに力が入ってる部分が大きい。
どうなってんの?どうなっちゃうの?の連続でずっとワクワクして見てました。
ひたすらのギミック遊び……からのラストシーンにしびれました!めっちゃ良いシーンだったなぁ。
取ってつけたわけじゃなく、むしろコレこそが本質だった気さえしてきます。
サマータイムマシンブルースに通じる悪ふざけする登場人物たちのウザさにニヤニヤ。
ウザい行動で物語がまわっていくおかしさ。
外から見たらアホらしいけど当の本人たちは必死。
あぁ、愛おしいなぁ。
アホなノリに楽しんでると”あれ?これどうやって撮ってるの?”ってなる。特にモニター先に映る”自分”。
別録りで同じ動きをトレースしてると知って、この人たち頭おかしいな;ってなりました。
恐ろしい作り込み、技術、そして演技力の賜物。もはや狂人の域。
難点としてはコンパクトすぎること…だろうか?
小さなコトが大きな話になっちゃった!ってなカタルシスは弱い。
と同時に、小さな空間/時間で起こるプチパニック&ミニ解決こそが愛おしさに繋がっている点もあるので仕方がないのか。
逆にそこぐらいしか気になる点がない!
やー、ほんと面白いギミック!
+物語の楽しさと絶妙な甘酸っぱさがあって……あぁ、いい映画だなぁと。
【Back To The ちょっと未来】
今作が京都の人気劇団・ヨーロッパ企画全員で取り組んだ初のオリジナル長編映画ということを不覚にも最近になって知り、慌てて、滋賀県草津市のイオンシネマ草津での上映終了日に滑り込みました。
さすがに上田誠さんのお得意の時間SF映画の原案・脚本を、上手く映像化させた監督の山口淳太さんの力量もさることながら、2分間という縛りの中での長回し撮影は、何度も繰り返しトライ&エラーを重ねながら完成したのであろうと思うと最後に観客もホッとさせられる作品でした。
ヨーロッパ企画と言えば、あの『サマータイムマシン・ブルース』では、クーラーのリモコン一つの為に<Back To The 昨日>を繰り返す馬鹿馬鹿しさで楽しませてくれた様に、今作では<Back To The ちょっと未来>の世界観でクスクスッと笑わせて貰いました。
鑑賞前は、上映時間70分ってちょっと短いのではとも思いましたが、実際に観てみるとサクサクッと観られて程良い上映時間でした。
今のところ今年で最も面白かった作品でしたし、まさに傑作でした。
ただ【ドロステ効果】って用語が一般的でないからか作品タイトルで損をしている様にも感じましたが、意味不明っぽいところがまた味があって良いのかも知れないですね。
イオンシネマ草津では7月30日(木)で上映終了でしたが、7月31日(金)からは、京都みなみ会館など他の劇場でも上映されているみたいなので、是非もう一回鑑賞したいくらいに面白い作品でした。
※それにしても、エンディングロールの際の撮影機材の小型化・簡素化にも驚かされました。
従いまして、私的な評価としましては、
劇団ヨーロッパ企画好きということもありますが、五つ星評価的には満点評価(100点)が相応しい作品かと思いました。
今後、Blu-rayやDVDソフト化した際には、エンディングロール以上に撮影の舞台裏の詳細秘話についても、もっと盛り込んで欲しく思いました。
エンドロールを見たときにビックリした!
映像の感じに納得したけど、席が前の方だからちょっと気分が…
舞台がメインの人たちだから舞台では出来ない俯瞰ではなくよりにするべくこの演出なのかな?と思いながら耐え抜いた。
内容的にも舞台演劇。悪い意味ではなく。
とても見やすい映画だし、クスっと笑える部分が多く、ヨーロッパ企画好きとしてはとても満足の作品!
途中で付いていけなくなった
「二分先が映る画面」っていうアイデアが面白いんだよね。それを見た人たちがタイムパラドックスが起きないように行動してくのが面白いの。
面白く見てたんだけど「鏡合わせにしたら結構な未来まで見える」ってところで訳が解らなくなって、そのモヤモヤで付いてけなくなっちゃった。良く解らなかったから「そういう設定だ」と思って頑張って観たけどね。
ラストは「なんか凄い事件が起こるんだろうな」って観てたんだけど、そんなでもなかったね。意中の人がヤクザに連れ去られちゃうから、それ助けるっていう。そのときのアイテムが、そこまでのドタバタで出てきたアイテムで「うまい!」と思わせるとか。
なんか最後は隕石の落下を防いで平和を守るとか、そういう大きな話が良かったな。
ヤクザに絡まれる展開が強引なんだよね。「未来の自分からお金のありかを教えてもらったから」ヤクザのお金を取りにいけるんだけど、この展開が強引なの。これやっていいなら「未来の自分が宝くじの当選番号を教えてくれた」で大金持ちになってもいいからね。
なんでもありで、作者の都合をいれることができちゃうの。そして作者の都合でヤクザに絡まれる展開が入ってきてる。そこが萎える原因かも。
意中の人をヤクザから助けた後は『愛だろ、愛』というわけで、タイムパラドックスをびびらず行動して、二人は良い感じになりましたと。観てるときは、ちょっと感動したな。
2分前の自分と話すときは、予め録画しといた自分の映像とタイミング合わせるんだよね。そういうのは「うまいなあ」と思った。そこからワンカットで引っ張ってくところもね。あっちとこっちで同じ芝居しなきゃいけないとか、鏡合わせにした後の画面の作りとか「よく考えてるなあ」と思ったよ。
そういうギミックは、面白いんだけど、面白いだけに、そこを越えてくるなにかを観たくなっちゃうね。
でも、単純な話に、ギミックを乗せてくるのがヨーロッパ企画という気もするから、らしくて良いかも。
「カメラを止めるな」を超える、こんなストーリーは考えられないと思わせる作品
2分先の未来。これだけでどんなストーリーになるかはわからない。
ただその2分をどんどん膨らませて、万人には考えられないストーリーが展開されていく。
その途中、またエンディングもおしゃれに終わっていく。
だから、この映画を観終わった後には 「すっげー。。。。。」 といった感想しか思い浮かばない。
この原案、あのヨーロッパ企画の上田誠さん。もう恐れ入りましたという感じ。
またこの映画、iphone1台のみで撮っていく。それは映画をみていて気付きました。
ただ1台だけで追っていることで、現実感が出てくる。このストーリーには最適だと思いました。
近年1台のみで、規模的に単館映画で上映されたものに、「カメラを止めるな」がありますが、
作品として「カメラを止めるな」と同等か、それ以上の作品です。
70分と短い作品ではありますが、それを感じさせない観終わった後の満足感があります。
この作品は今年の上映映画の中でベストと言える作品の一つです。
強くおススメします。
SF的もやもやの果てで観客は
狭い店内とアパートを行き来するうちにヤクザまで絡んでくるドタバタSF。明らかに設定がおかしいのだがそのうち巻き込まれてしまった。
その点はさすが良く出来た脚本なんだろう。何度もトライアンドエラーで完成したんだろうと思うと最後は観客もほっとする。
エンドロールで撮影機材の小型化がこんな設定を可能にしたことを納得した。
ご苦労様。
「透明人間に匹敵する面白さ」
今年42本目。
3日前に今年一番の「透明人間」見て、今年後何十本見ればこれを超える作品に出会えるだろうと思っていたら、それに匹敵する作品にすぐ出会えてしまった。短い映画が好きなので70分はいい。
アプリの説明文が面白そうだったので70分に惹かれて行く事に。レビュー見ないで行ったので見ないで行かれる方がいいと思います。
「一度も撃ってません」から3本連続どハマりの映画に出会えて嬉しい。
…
映画と期待して観てしまったので、イマイチという感想です。
(他の方が書かれているように舞台として観るなら、もう少し感じ方は変わったかも?)
映画を観る際には、何かしらの感情を揺さぶれるのを期待して観るのですが、本編のストーリーだけを見る限りは何もなかったです。
エンドロールの部分で撮影風景を映しており、それが微笑ましく、手作りならではの努力が見られ、評価が0.5上がりました。
また、本編を作る際のアイデアを面白いと思います。
ただやはり、私としては映画として観る価値があるかというとイマイチというのが総評です。
全89件中、41~60件目を表示