ドロステのはてで僕らのレビュー・感想・評価
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未来に引っ張られないように
ワンカットであるが故に、どうやって撮影してるのか気になる。時間を緻密に計算していたとは。
未来が分かるという作品は多いけれど、2分先の未来が分かるというものは少ない。そして、その未来を過去の自分も見ることができるというアイディア。
どうしても未来で起こった通りに行動しなければならないと思いがちだけど、最後自分の意思で行動を決めた2人は良かった。それによって得た2人の未来は明るそう。2人並んで話す光景が愛おしい。
タイムサスペンスの傑作
テレビ業界を引っ張り続ける佐久間宣行氏が「もっと評価されるべき」と称えた作品。彼の感性は無条件に信用することにしているので、当番組をTVerで一時停止し、amazonプライムで再生をスタートした。
彼曰く「2階の自宅と1階のカフェがモニターを通して2分の時差で繋がっている」話。そこから膨らむタイムサスペンス。理系頭がないとクラクラする可能性があるが、あまり気にせず「少し不思議」なSFを楽しめばイイと思う。深く考える必要はないのだと思う。
本作の最大のポイントが、時間を題材にした作品だからこそシビアに繋がる70分長回しワンカット(実際は何度か止めているらしいが)風。時間に追い回され、時間に追いつき、追い越さんばかりの演出や撮影手法がとにかくすごい。一歩間違えると酔う。いや、片足どころか数歩突っ込むほどに画は気持ち悪い。だがその違和感がある意味、時間という概念を自由にし、観終えた時の爽快感を与えるのだ。
国内無冠、海外20冠。この作品を教えてくれた佐久間氏に感謝。
おしゃれだった
正にヨーロッパ企画。好き嫌いくっきり。
70点
演劇感は好きです。
ヨーロッパ企画の神髄。ワンカット風の演出も光る。
「ヨーロッパ企画」といえば、奇抜なアイディアが光る数々の名シナリオで知られ、『曲がれスプーン』や『サマータイムマシンブルース』などの映画原作を生み出した有名な劇団ですね。そんな実力と知名度を兼ね備えた演劇集団が、初めてオリジナルで制作した長編映画が本作『ドロステのはてで僕ら』です。
とある映画紹介YouTuberさんが本作を紹介していて、興味を持ったので私も鑑賞しました。上映時間が70分と短く、スキマ時間に鑑賞することができて良いですね。
結論ですが、かなり楽しめました。テレビ同士が2分の時間差で繋がるというストーリーで、その「2分」という時間がなんとも絶妙なこと。未来が知れるのは確かに凄いが、たった2分先の未来を知ったところでできることは限られている。「未来が分かる」という能力をこんなにコミカルに描けるのは、やはりヨーロッパ企画さんの強みですね。
ただ、終盤までは凄く良かったんですけど、ラストの締めは正直がっかりしたかな……。そこまではかなりロジカルに脚本が組まれていたのに、最後だけあまりに強引と言うかご都合主義と思えてしまう展開で、ラストがもう少し良ければ私が今年観た映画の中でもトップクラスの作品になっていたと思います。やはり「ピークエンドの法則」は正しかった。ラストが酷いと、映画全体の印象が悪くなる。
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雑居ビルの1階で喫茶店を営み、2階で生活をしているカトウ(土佐和成)は、仕事を終えて自宅に帰るとテレビの中に現れた「自分」に話しかけられる。「俺は2分後のお前だ、1階と2階のテレビが2分の時間差で繋がっているんだ」とテレビの中の自分に話しかけられたカトウは、半信半疑のまま1階の喫茶店に戻ると、店の中にあったテレビには自室にいる「2分前の自分」が映し出されていた。
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ヨーロッパ企画さんの強みである「緻密な脚本と伏線」「コミカルな面白さ」を両立させた素晴らしい作品でした。「2分の時差で繋がるテレビ」という発想から、「合わせ鏡のようにテレビを繋げて更に先の未来を見る」という使い方の発想は素晴らしいし、2分刻みの未来しか見えない故に起こる「どうして2分後にこんなことになってんだ」みたいな緊張感のある要素が出てくるのも、コミカルとシリアスの緩急がついていて非常に面白かったですね。
ワンカット風の撮影をしていることでリアルタイムに時間が進んでいるのもしっかり活きています。ワンカットであることにしっかり必要性が感じられる作品でしたね。『1917 命をかけた伝令』というワンカット映画の大傑作が本作の前年(2019年)に公開されましたが、本作はそれに負けず劣らずの作品になっていたと思います。
しかし惜しむらくはラストシーン。それまではパズルのような緻密なストーリー構成で、「なるほどそうきたか!」と驚かせてくれた本作なんですが、個人的にあのラストシーンはものすごく陳腐に感じてしまってテンションだだ下がりでした。「もう少しマシな結末あっただろ」って気がしてならないです。物語の印象は一番の盛り上がりどころ(ピーク)とラストシーンで決まるという「ピークエンドの法則」というものがありますが、本作は重要なエンドシーンが陳腐で、観終わった時に「面白かったー」という感じなかったんですよね。なんだか残念です。
でも全体的に見れば非常に楽しめましたので、オススメの作品です。
京都
微妙に2分って何もできない。しかし色々挑戦してみる彼ら。映画にしては舞台演技の方もおり、そういう感じで見ればいいの?と思いながら。
話は面白い設定だが複雑なわりにコンパクトにまとめてあるので少し無理矢理感。
シンバルで銃の弾を跳ね飛ばす事が出来るとは凄いシンバルだ。
頭フル回転なのに思考停止で面白い
設定の破綻を演技で修復する映画
設定は破綻しているはずだが、うるさいことを言わなければ、極上のエンターテインメントである。
映画「テネット」よりも、何倍も面白かった。
理解できるまで、自分は時間がかかった。
というのも、時間だけがずれているだけで、空間は共有していると思っていたからだ。
いつ過去の自分が、現在の自分の世界に乱入して、“クラッシュ”するのだろうと、ハラハラしたのだ。
ところがこの映画の設定では、ディスプレイの向こうは、空間さえも共有しないパラレル世界だった。
しかしそうなると、実際、映画の中でも何度も言及されるが、設定は破綻している。
なぜなら、いったん未来と交信してしまった以上、過去に向けて、きっちり2分後に同じことを再現して見せなければならない。
逆に、未来から指示されたら、きっちり2分後に同じ事を遂行しなければならない。
しかし、もちろんそれは、いくら頑張っても厳密には“実現不可能”だ。
さらに、各々のパラレル世界では、未来や過去に縛られて“自由な行動”が取れなくなるが、登場人物がそれを遵守しなければならない理由など、どこにもない。
この映画が面白いのは、その“実現不可能”なことを、役者たちが同一の演技を2分後にアングルを変えて、正確に繰り返すことで“実現”しているところだ。
設定の破綻を、自然な感じの演技によって、何事もないように修復している(笑)。
登場人物の誰もが、決して未来の自分も、過去の自分も裏切ろうとしない。
そして、そのいつ生じてもおかしくなかった破綻を、最後の最後まで引っ張って、ラストでドカン!とかますのである。
時々、長回しが入るので、撮影は楽ではなかったはず。
脚本賞をあげたいくらいだ。
『TENET』よりも難解?
『サマータイムマシン・ブルース』でその名を知った劇団「ヨーロッパ企画」。タイムマシンの無駄遣いが面白く、今回も小規模なSF作品でしたが、よくこんなことを思いついたものだと感心してしまう。
2分後の未来が見えるという設定は、ニコラス・ケイジ主演の『ネクスト』(2007)なんてのもありましたが、この時間の短さを描くのは相当難しい。なんせモニターの前でのやりとりが2分を超えるといきなりパラドクスが生じてしまうのだ。エンドロールでは撮影もストップウォッチで計りながら行ってた様子が映されていたし、何度も同じ演技をしなきゃならない難しさも感じ取れるのです。
ネタとしてはゼブラダンゴムシが最もうけるし、使うとわかってても笑ってしまいました。シンバルという小道具も普通の人には思いつかないです。時間の歪みに入ってしまったモニター2台。「卵が先かニワトリが先か」などというループもあり得ないことなんだろうけど、パラドクスを起こさないために同じことを言うこと自体が笑えるプロットです。
軽く楽しむにはいいけど、考えすぎるとドロステ効果に飲み込まれてしまいそうです。『サマータイムマシン・ブルース』の方が面白かったけど(舞台版も)、あの時の上野樹里の息子役の役者がまた出演してましたよね。藤子不二雄短編集も読みたくなりました!
なるほど、時間と未来をこんな風に見せるのは面白い。それを普段の生活...
日本の映画が面白くなってきた
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