「あらゆる欲へのマインドコントロール」私の知らないわたしの素顔 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる欲へのマインドコントロール
ユーロライブにて試写会鑑賞。
主人公のクレールは20年寄り添った夫と別れひとりで生活し、彼氏にも唐突にふられてしまう。
その彼氏とまた繋がりたく、SNSを通してクララという別人を装いアカウントをつくり、そのアカウントで彼氏の友達と近付き別人格のまま彼氏の友達アレックスと恋をするという話だ。
アラサーの自分にとってはSNSを通して相手の顔も知らず声だけで恋に発展するというだけの展開に若干理解が遅れてることは否めないが、まぁそれなりに楽しむことはできた。
この作品ではSNSで別人を装うことで恋に発展するきっかけになったが、まぁこれはSNSでなくても自分の身分や素性を偽り相手を騙した恋の先には永遠はないということと同じだと感じた。
クレール自体、別人格のクララとアレックスを破局させクレール自身とアレックスが恋に落ちることになった。
それにも関わらず、結局偽りは相手を騙すことはできても自分を騙し続ける事には限界が来てしまう。
結局本当に自分の事を好きなのか、クララを忘れるために自分を愛してるのではないかと今度は相手を疑うようになってしまう。
最後はアレックスと別れ、彼が生きている事も確認ができ回復プログラムは終えたように見えたが、また誰かに電話をかける意味深な描写で終わる。
彼女は結局人との繋がり、人から愛されること、優しくされる事への欲が強く根本的にそこが満たされない限り繰り返すのではないかと勝手ながら解釈しこの作品を見終えた。
SNSの普及により自分の存在を他人に知らせる事は簡単な時代になった。ただ時として人間とはよく深く、さらにその先の欲求を満たしたくなる。
本来人から愛される事、優しくされる事は相手があっての事だからこちらから果敢に求めてはいけないものだ。
それをSNSを通して、自分を偽る事でいまは手に入れることもできるのであろう。
改めてこの作品を通して人間誰しもが持つあらゆる欲へのマインドコントロールの大切さを知ることができた。