セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦のレビュー・感想・評価
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なんでこんな包囲戦ばかり
レニングラードがどの辺りにあるのか恥ずかしながらよく分かってなかった。包囲戦初期の海路を使った脱出作戦をエンタメ要素も取り入れて描いた模様。あちらでは有名なエピソードらしい。どんくさすぎるメッサーシュミットとか(考証は正確)多少荒唐無稽なシーンもあるがそのぶん退屈せずに楽しめた。それにしても独ソ戦というのは何で長々とした包囲戦が多いのか。長期化するほど文字通り泥沼にはまり込んで結局形勢逆転してしまうという構図にみえるが。最後の1人まで抹殺して本気でスラブ民族の絶滅を狙っていたのか……どうも東欧の民族対立は薄気味悪くて調べる気にもなれん。
母娘をもっと描いても良かったと思う。
独ソ戦のレニングラード包囲戦で実際にあった、ラドガ湖脱出を描いた物語。
悲惨だったと言われる独ソ戦。その中でも、特に凄惨だったレニングラード包囲戦の知識を得る為に鑑賞。
ただ、ラドガ湖での脱出にフューチャーされていたため、当初の期待からはまったく外れた内容でした。
映画としては、ラブロマンス。若い男女が、夫々の事情を抱きながら必死の脱出を試みます。
ただ、夫々の事情に、今一つ現実感を感じられず、感情移入が難しく感じます。
唯一、一人残された母親の悲哀と覚悟が心に残りました。もう少し、母娘の別れをしっかりと描いてもよかったかもしれません。
タイタニック+戦争映画
1941年から800日以上、ドイツ軍によってレニングラード包囲戦が始まった。200万人の市民が住むソ連第2の都市。史実として100万人ほどが死亡したと言われてるが、その初期の段階で、ラドガ湖を船で渡って市民を非難させる作戦が立てられた。600人しか乗せられないと言う船長に対して1500人を無理やり詰め込んだオンボロ752号荷船。嵐も近づいているし、ドイツ軍の空襲もあるし、たまったもんじゃない・・・
映画はコースチャとナースチャの恋愛を絡め、砲兵を中心とした凄惨な陸地戦と沈没しそうな船の二本立て。しかもコースチャは父親が大佐でもあり、前線に立たせないよう配慮して船に乗せ、ナースチャは彼の連れとしてギリギリ乗船できたという設定。しかもナースチャの父サーチャはドイツのスパイとして投獄されていて、さらに恩赦を受けたのにすぐさま前線へと送られるという踏んだり蹴ったり状態。そしてペトルーチカ捜査官が二人を注視するというオマケ付きだ。
冒頭と最後に年老いたナースチャのインタビュー映像があるのですが、このパターンは『タイタニック』そっくり!さらに船の上ではピアニストやバイオリニストの演奏もタイタニックの話そっくりだった。前線での攻防戦は迫力もあったし、嵐に遭う船の映像もなかなか良かった。しかし、98分の作品にこれだけの内容を詰め込むというのも重量制限に引っ掛かりそうなほどで、せっかくの映画が軽くなってしまった感じです。エンディングでは実際の追悼デモの映像もあるし、やっぱり英雄談として語り継がれてるんだなぁ・・・しみじみ。
奇跡ではなく幸運
WOWOWにて前情報なく視聴。
テーマは「藁にもすがる」かな…。
映像、戦闘シーンの迫力は思った以上に良く、突然訪れる死が緊迫感持って感じることができる。
機関銃に対してライフルやピストルでは心許ないし、実際にどんどん撃たれていくのは心が痛い。
自分が戦場にいたら…と想像すると本当に怖い。
多くの人間が登場し(実際それほど多くはないが)それぞれのストーリーが同時進行的に進むので時系列が分からなくなるし、一つ一つのエピソードが少し浅く感じた。ぶつ切りになっている感じ。
父:サーシャがあの戦場にいた意味はあったのか?その分アンドリューハや曹長の心境・繋がりなどに時間を割けなかったか?大佐が片道分の燃料で出た意味は…などなど。
また、コースチャは英雄なのか否か…?
最後まで疑問が残りスッキリ観れない。
これは「奇跡の脱出」ではなく「苦肉の策」で運良く生き残った人達の物語。
大佐はこれしかやる道が残されておらず、市民たちもこの船に乗るしかない。砲兵達は言わずもがな、上官の命令に従うしかない。
でも生きるためには必死になるし沈没を避けるためには何でもするし最後までもがく、と希望のメッセージとして受け止められると良いのかも。
とにかく曹長がよかった映画。
5年後くらいにまた観るかも??
印象的なセリフは
「移住は自然の摂理に反する」。
七光りからの
1941年独ソ先に於いてドイツ軍に包囲されたレニングラードの市民をラドガ湖から荷船に乗せて非難させようとする話。
車イスの老婆が80年前を振り返るという体で物語が始まり、売国奴と呼ばれる男の娘と大佐の息子を軸にストーリーが展開していく。
戦時のストーリーであり、交戦シーンもあるけれど、ナースチャ&コースチャのじゃれ合いだったり、NKVDの男とのやり合いだったりをみせるつくり。
恋愛特化でもないけれど、語りとか船の話とか、ロシアもタイタニック作りたかったのか?
安っぽい溜なんかもあったけどドラマとしては面白かった。
タイタニック+ハクソー・リッジ ≒ この映画か?
この映画は、はっきり言ってプロパガンダ映画と言える。ただ悪しき、人の考えを一定方向に向ける思想的なものではなく、あくまでも国内向けの戦時下の”血塗られた惨劇”とまで言われた海難事件のロシア国民の犠牲に対しての賞賛であり、賛美の意を国家挙げて祝うための映画作りがされている。しかも完成したのが、エンドロールでもわかる通り、 ”on the eve of the 75th anniversary of the lifting of the blockade in Saint Petersburg (Then, Leningrad)” に合わせている。
映画の幕開けに相応しい音楽の中、現在の風光明媚なサンクト・ペテルブルグの街並みが映し出され、その後1人の老女がアパートの室内を自ら車椅子を押している姿を正面からでなく背面から追うように撮影されている。"I'm sorry, but I don't have a single photo of him." というドキュメンタリーの撮影クルーにかわす言葉で始まる。そして彼女の回想シーンが始まり、この映画が始まる。
スクリーンは1941年にフラッシュバックをする。ロシアのスラブ民族にとっての重要な軍事産業の都市であるにもかかわらず四方をドイツ軍に囲まれ、また制空権もドイツ軍に握られているレニングラード。おまけに映画の中のドイツ軍将校の台詞から、レニングラード最大級の食料庫も破壊したと報告されていた。870日以上が経って、ドイツ軍から解放されるまで、一説には、レニングラードだけで、人口の約半分の100万人が犠牲になったのではないかといわれるほど多くの犠牲者が高々2年半も経たないうちに亡くなっている。日本人の第2次大戦中に亡くなった方の人数よりもロシアの一都市でしか過ぎないレニングラードで亡くなった方のほうが多い人数であると改めて知らされる。しかも悲惨なこととして、亡くなった原因が、食料庫を破壊された飢餓によるところも大きいという事。(100万人と紹介されたのが、the japan timesより、また別の資料では、40万人となっている。)
映画の半ばに差し掛かるとレニングラート近辺で起こるドイツ軍との迫撃戦の場面と移り変わる。日本人が好きな"ハクソー・リッジ"のような手りゅう弾や砲弾が異様に破壊力のある演出をしている’まがい物’映画ではなくて、本作では、急斜面の丘の上に陣取るドイツ兵に対して、貧弱としか言えない武器や弾薬での突撃シーンは、飲んだくれのあのメル・ギブソンや馬鹿げたお祭り騒ぎの映画しか撮れないジョン・ウーとは一線を画し、真正面から戦争の現実と悲惨さを真摯に受け止めた撮影と映画作りがなされている。言いすぎました。謝るぐらいなら、書くなってか? しかも、映画の後半でのメインテーマとされる一般市民が、レニングラートを脱出する場面では、すでにラドガ湖周辺の制空権はドイツ軍のものとなっているため、ドイツが誇る戦闘機・メッサーシュミットによる空からの攻撃を避けるため、夜間にしかバージと呼ばれるおんぼろ平底船が航行を許されず、また時間も夜明けまでは10時間余りなのに対して、このおんぼろ船ではどう見積もっても12時間は、かかってしまう。居住環境なんて無視をしたような狭い荷物用の船底にいる1500名にのぼる一般市民の運命は.....いかに?
首をかしげたくなうシーンもあり、メッサーシュミットとの交戦シーンで取り上げた英雄的兵士のシナリオは、少し過剰演出で現実的ではありえないと思える。そんな中でも男女の淡い恋心を映画に取り入れて、あたかも”タイタニック”の戦争版張りの演出もされているので、一切のエンタティメント性を分断したようなモキュメンタリー映画にはしていないことから、それなりに楽しむことが出来る映画作品となっている。
メッサーシュミットの攻撃を受けたバージ752とその船に乗っている1500名の命が.......!?
先日観た映画「T-34」というロシア製映画でも見られるように名目予算はわずか800万ドル。プロデューサーの1人ジュリア・イワノワは、2018年5月にカンヌ映画祭で説明している。「コストを削減することができました。」と、この映画でも同様なことが言えて、日本円にして製作費約4億円って? ありえない。その様な生臭い事は置いておいて、サンクト・ペテルブルグにあるピスカリョフ記念墓地において、プーチン大統領が献花を捧げているニュースなんかを見ているとロシアにおいては、亡くなった一般の方々の冥福を祈るとともに、英雄としてたたえていることがよくわかる作品となっている。
少し言わせていただきたいことがある。[MDGP]上映委員会という配給会社。胡散臭すぎる。何故かって、映画の顔とも言えるポスター。発注した人間もポスターを制作した人間もこの映画を実際には、見ていない。メッサーシュミットの機体はツートンカラーではありませんし、この映画に登場するのは2機だけになっています。しかも、ハリウッド映画で描かれているような残虐性だけを演出している、いつものドイツ兵ではなく、使命を忠実に守り、気高さも垣間見ることのできるドイツ空軍士官の落ち着いていて、尊敬もできるようにも描かれ、敵国の軍人に対して敬意を表している映画に対して、映画配給会社自ら足を引っ張る行為をしていると言わざるを得ません。英語版・ロシア版のポスターを多くのサイトではみることが出来、唯一日本のものだけが’まがい物’の勲章を得ています。重箱の隅をつつくものより。
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