「設定を活かしきった」水曜日が消えた Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
設定を活かしきった
《セブン・シスターズ》から着想得たんだろうっていう設定なのね。《セブン・シスターズ》では七つ子が一つの人格を演じるんだけど、これは逆に一人が七つの人格になってるの。
各曜日毎に違う人格が出てきてたんだけど、水曜日が消えて、火曜日が水曜日にも出てくるようになった! そしたら水曜日に気になる女の人がいて、その人に会いたいから病院にも黙ってると。しかし事情を知ってる女、一ノ瀬にはバレて、でも協力してもらって、みたいに話が進んでくの。
面白いよね。水曜日のあと木曜日も消えて、どうも人格の統合が進んでるみたいなのね。「このまま一つになるのか?」と思うと月曜日との対決が待ってる。ここでスマホの録画機能を使いながら対話させるのがアイデアの勝利。
それと、多重人格の治療で主人格以外を消そうとすると「殺す気か!」と凄く反発するらしいんだけど、それを思い出したな。
さて、めでたく一つの人格に統合されたんだけど、ここで主人公が決断なんだよね。「俺たちは七つの人格でいいんだ!」って。七つの人格それぞれで生きてたから、それでいいんだって。
「なんで?」って気もするんだけど、なんとなく納得するのは、それぞれの曜日を好きな女の人の存在なの。その人のもとに、その人が好きだった人格を返したいっていう。
冷静に考えると一週間に一度しか会えない人を好きになったら女の人も不幸な気がするから、理由として弱い気がするな。
一ノ瀬に「事故はお前のせいじゃない」って言うところも、どう考えても一ノ瀬のせいに見えないし、なんなんだろ。
ここの事情説明は説明台詞でやるんだけど、中村倫也が「俺がこのシーンをなんとかしてやる」って感じで頑張るのね。がんばった。
脚本に穴はあるんだけど、設定の秀逸さとアイデアで見えなくなってて、面白い作品だなと思ったよ。