「粗も多いが充分面白い」水曜日が消えた Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
粗も多いが充分面白い
たまには邦画もと観賞
中村倫也は屍人荘の殺人以来でしょうか
あの映画はなぁ…と思っていましたが
映画の感想は
ありふれたアイデアながらコメディ要素
サスペンス要素巧みに含んでおり
充分面白かったです
ただ惜しい部分も少しありました
幼少期の事故で頭部に損傷を負い
毎週曜日ごとに人格が入れ替わる「障害」を持つ主人公
その人格はそれぞれ「曜日」で呼ばれますが
その曜日ごとに目覚めると1週間後に記憶が飛ぶので
他の曜日のしたことは形跡と治療に当たっている
病院が提出させている記録でしかわかりません
物語は一番大人しく他の曜日の散らかした部屋を
片付けたり注意事項をメモするなど几帳面な
「火曜日」を中心に進められます
他の曜日の風貌や様子は劇中では殆ど出てきません
火曜日は好きな旅行も出来ないし病院で治療を受ける時間もあるし
一ノ瀬という馴れ馴れしい女性は暇つぶしっぽく訪ねてくるし
旅写真が借りられる図書館も火曜日は定休日
他の曜日の片付けに追われ一旦寝れば起きるのは翌週の火曜日
そんな生活にウンザリしていた矢先ある日
起きるとなんと水曜日になっていました
水曜日が消えた…?
とりあえず水曜日に目覚めてしまった「火曜日」は
水曜日の行動を辿りますが
途中瑞野という図書館員に出会い一目惚れ
どうも瑞野は水曜日と面識がある模様でどうも
好意を持たれているようですが火曜日には水曜日の
立ち振る舞いがわかりません
そこを一ノ瀬は各曜日の仕草の違いや服装をフォロー
してくれ徐々に曜日ごとの人格の概要を知ることになります
その後急に倒れたり意識が無くなったりという症状が増え
瑞野とのデートもうまくいかなくなったり
場合によっては木曜日まで消えるようになります
不安に感じた火曜日は病院に行くと幼少期からずっと治療に
当たってきた安藤医師が治療データの改ざんを疑われ
調査しているという事で新木という若い医師が
病状の悪化を告げ今すぐ専門的な治療をと進めてきます
ところが火曜日は各曜日の楽しみや大切な人まで
消えていくことに不安を覚えそれを一旦拒否します
そして改ざんされた記録を辿ると「月曜日」が治療を拒否し
記録の改ざんを行っていたことをスマホの録画を通じて暴露します
結局主人公は治療を拒否し不安定ではあるものの
各曜日の人格を尊重しながら日々を暮らす生活に
戻っていくのでした
個人的にはこの辺が首をかしげました
火曜日のこの複数人格をあたかもウンザリしているかの
ような描写が続いており治療で人格がまとまる事に
関しては肯定的なのではないかと思っていたからです
それぞれの曜日はどうやら仕事もしている人格もあるようですが
週1回しか仕事しないで果たして仕事になるのでしょうか?
この映画の描写だと「各人格が目覚めている時間軸」と
「実際の時間軸」がどう進んでいるのかわからなくなってきます
主人公の意思と映画を観ている客の移入が
あんまりかみ合わなくなっている気がしました
じゃあそもそも何を目的にして治療を受けていたのか
治そうとしていたけど後から考えが変わったにしても
その基点がいまいちわからなかったです
あと人格が7つあるとのことでしたが
月・火・水の人格中心で木・金・土・日は
必要だったかなという位出てきませんでした
なら最初から3つくらいでも良かった気もします
中村倫也中性的な顔立ちも手伝いそれぞれの人格を
上手に演じていたと思いますし
記憶が飛ぶ描写はなかなか凝っており
見応えありました
なんか惜しいなあという気持ちにはなりますが
一度観てもらって欲しい作品だと思います