ナイル殺人事件のレビュー・感想・評価
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コナン君と良い勝負
原作、リメイク元は申し訳ない事に観たことがありません。「オリエント急行殺人事件」は鑑賞してきました。
正直、長い間公開延期していた割には拍子抜けの内容でした。
今作の事件を解決するポアロ、原作での描かれ方がどうなのかは分からないのですが、名探偵にしてはやけに恫喝で事件の真相を確かめるような節があり、声を荒げまくるシーンが多かったように見られました。しかもほぼこの人が絡んだせいで死者が増えていくのも某名探偵コナンを彷彿とさせる、寧ろ大人な分こっちの方がタチが悪いなとも思ってしまいました。
今作に出てくる登場人物が怪しいというよりかは不快に近い行動ばかりしてきます。リネットは仲の良かったジャクリーンの婚約者サイモンを奪い去っており、その上ジャクリーンの前で見事なイチャイチャっぷりを見せつけるのであーヤダヤダです。サイモンもサイモンで未練は断ち切ってないし、ジャクリーンはストーカーを極めているしで主要人物がイライラさせる起伏剤として見事に機能していました。
事件が起きるのが大体半分を過ぎたあたりなので、それまでは謎めいたシーンと旅行を見せられるので若干退屈でした。映像というか景色はとても綺麗でした。あんな場所に行ってみたいもんです。事件が発覚した後はかなりトントン拍子に進んでいくのもあり、ただの答え合わせの模様を見せられました。殺人の過程もポアロの前で堂々と行うあたりバカなんじゃないか?と思ってしまいました。この犯人もサイモンとジャクリーンという予想通りのものでした。
トータルしてずっと低空飛行のような映画でした。そりゃガル・ガドットも宣伝しないわなーと思ってしまいました。ガル・ガドットとエマ・マッキーが美しかったです。お粗末。
鑑賞日 3/1
鑑賞時間 16:05〜18:20
座席 J-13
見どころの後半に行くまでが退屈
冒頭主人公のポアロの過去が白黒で始まり、その後資産家の父を持つ女実業家リネットを軸に話が進みます。
前半かなり退屈でしたが、映画の舞台の中心となるナイル川や豪華客船などが出て来て、コレから何が起こるのかな?と期待。
豪華客船でガルガドットが演じるリネットが殺されて、ようやくポアロの調査が始まり面白くなります。
見どころの後半は色々な事が起こり楽しめますが、驚く程の展開でもなく・・・イマイチ盛り上がりに欠ける映画でした。
ガルガドットやエマ・マッキーファンなら楽しめるかも?
エジプトには行きたくなりました
風景やら時代背景やらは最高に好きな感じ、音楽も合ってて良かったです。...が、肝心なミステリーがちょっと雑な感じがしてしまいました。後半バタバタ死んじゃうし...やっと公開になり、映画館のみとの宣伝だったので観に行きましたが、スリル、涙などはありませんでした。大体、戦争であんなにガタガタになった顔はあんなに綺麗に治りません、あの時代。
過去作の方が。。。
歳がばれるかもしれませんが、過去作を見たことがあります。まぁー断片うろ覚えなのですが。
それと比較すると、どうしても過去作の方が良かったような気がします。
思い出補正が働いているのかもしれませんが。
動機が弱いというか、黒幕感が無いというか。。。
ただ、本作はそれはそれでよかったのですが、過去作に至らずと言うことで、今回の評価です。
追伸
脚本が気になったので、調べてみたら「マイケル・グリーン 」という人
(『エイリアン: コヴェナント』や『ブレードランナー 2049』を書いている人)なのですね。
で、いずれもなのですが、この人の脚本は自分にはちょっと物足りない(爽快感が少ない)
とうことがわかりました。
脚本は悪くないんだけど。。。。 です。
さすがポアロ!
前作の「オリエント急行殺人事件」以来アガサクリスティーのという作品に魅力されています!
今回は、その続編にあたる「ナイルに死す」
ポアロの過去に触れながら物語が愛というテーマに進んでいきます。
愛があるからこそ起きてしまうものがある。
そこにあるのは真実なのか?
誰かの欲望なのか?
他の誰も犠牲にしてまで手に入れる愛に価値があるのか?
そんな事を疑問視してしまいました。
今回も驚きの犯人で面白かったです
時代を越えて「ありきたり」になった名作
本作は今から85年も前に出版されたアガサ・クリスティーの『ナイルに死す(原題:Death on the Nile)』という小説が原作です。アガサ・クリスティーは「ミステリーの女王」と呼ばれるほどの名作家ではありますが、85年も前の小説故に「古さを感じるのではないだろうか」と、鑑賞前は若干の不安を感じていました。
実際に鑑賞した感想ですが、「意外と悪くないが、ありきたりに感じる」と言った感じです。85年前の作品ではありますが、「古さ」は抱きませんでした。しかしながら殺人のトリックなどのミステリーとしては「ありきたり」に思えてしまいます。これは古き良き作品に絶対付きまとう呪いのようなものなので仕方ないことではありますが、小説や映画に限らず『ナイルに死す』のフォロワー的な作品は無数に存在します。そのため随所で「どっかで観たことあるな」という既視感を覚えるんですよね。私は原作未読なんですが、ミステリー作品は一時期ハマって小説や漫画を読み漁っていた時期があったので、なおさらそう感じてしまったのかもしれません。
あと、「これは映画オリジナルの設定か?」と違和感を抱く部分が何ヵ所もあったのですが、調べてみると原作には無いオリジナル設定でした。原作では白人のキャラクターが本作では黒人になっていたり、ただの友人という設定だったキャラが同性愛カップルになっていたり。こういう行き過ぎたポリコレ配慮は鑑賞の際にはノイズになり、私は心底不愉快に感じます。こんなのをポリコレ配慮とは言えません。ポリコレ描写をノルマとして見ているような薄っぺらい描写です。昨今の映画業界の悪い部分だと個人的には思っています。
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舞台は1930年代。富豪の娘である大金持ちリネット(ガル・ギャドット)とプレイボーイのサイモン(アーミー・ハマー)の結婚を祝うパーティーが行われた。パーティーの参加者たちは、エジプトのナイル川を巡る豪華客船に乗り込み優雅なパーティーを楽しんでいたが、リネットの親友でサイモンの元恋人であったジャクリーン(エマ・マッキー)も乗り込んできたことで雰囲気が一変する。
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元々交際していたのはサイモンとジャクリーンであったが、サイモンは金持ちのリネットに乗り換え、2人は結婚してしまう。ジャクリーンはストーカーとなり二人をつけ回し結婚記念のパーティーが行われている豪華客船にまで乗り込んでくる。そしてついに、リネットが凶弾に倒れる殺人事件が発生してしまう。動機で言えば間違いなくジャクリーンが犯人なのだが、彼女には鉄壁のアリバイがあった。
ミステリー作品としては良くある展開ではありますが、事件の解決よりもどちらかと言えば「愛」というものにフォーカスして描かれている印象があります。もちろん恋人やパートナーへの愛もそうですが、親子愛とか友情とかもしっかり描かれていて、ここが私としてはかなり高評価ですね。
ミステリーとしては、先述の通り「どこかで見たようなありきたりなもの」というのが正直な感想です。もちろん面白いんですけど、やはり原作が85年も前の作品であるが故に「当時は新鮮だったんだろうけど今となっては使い古されたもの」という印象が残ります。巻き込まれサスペンス映画の元祖『北北西に進路をとれ』とか、ワンカット映画の元祖『ロープ』を観た時と似た感覚ですね。現代では撮影技術も向上しているし、多くの作品を経て手法が更にブラッシュアップされている上位互換とも呼べる作品が多く存在します。それ故に、その道を切り開いた元祖の作品は、何十年も経過してから観てしまうと、ありきたりだと感じてしまいます。
そして、私が一番気に入らなかったのは「過剰なポリコレ表現」。これは最近の洋画で個人的に許せない部分なんですけど、原作の設定を捻じ曲げてまで多人種のキャスティングや同性愛描写を出すのはいかがなものなんでしょうか。原作が執筆された年代や舞台となる時代背景を考えれば、別に登場人物全員が白人である方が自然で、逆に黒人やアジア系や中東系の人種の人がいる方が不自然です。ノルマのように登場する有色人種や同性愛者に私は辟易しました。こういうポリコレ配慮は作品を鑑賞する際にはノイズにしかならないので、本当にやめてほしいです。
全体的に見れば面白かったんですが、見飽きたようなありきたりな展開と観たくないような過剰なポリコレ描写がノイズになる映画でした。
こんなのポアロじゃない!
懐古厨になってしまうようで申し訳ないけど…
デヴィッド・スーシェのポアロが好きなのでケネス・ブラナーのポアロはイメージが違い過ぎる。
でもこれは前作『オリエント急行殺人事件』から思っていたのをわかった上で観たので仕方ない。
ただ、ポアロ自身に余計なエピソードを付け加えたのはなぜ?
前作にもカトリーヌを想うエピソードがちらっと出てきていらないと思っていたけれど、今作はそれを更に掘り下げてきた最初の戦争の場面はなんなのだ?
ポアロの代名詞の髭も顔の傷を隠すためなんてエピソードはポアロにも作品にもなんのプラスにもなっていない。
小説でもポアロはいけ好かない人物ではあるし犯人に厳しい一面もあるけれど善人には優しく変なこだわりを持ちつつも愛すべきキャラクターなのに、その要素がほとんどなくあんなに攻撃的なポアロはポアロに思えない。
ケネス・ブラナーのエルキュール・ポアロの解釈が合わな過ぎて、作品がどうの以前に「こんなのポアロじゃない!」と思ってしまう。
唯一良かったのはポアロが遺体の足をまっすぐに直すところだけ。
いかに火サスが優れていたか
アガサ・クリスティ(1890-1976)
イギリスが誇る
「ミステリー小説の女王」
19歳から小説を書き始め第一次大戦で
薬剤師の助手をしたことで
毒薬の知識を得て
探偵エルキュール・ポアロシリーズ
を執筆し36歳の時のシリーズ3作目
「アクロイド殺し」でブレイク
語り部が犯人と言う意表を突くオチは
論争を呼びその後に最も有名な
「オリエント急行殺人事件」が
発表された
本作は1937年に発表された
「ナイルに死す」を
ケネス・ブラナーや
リドリー・スコットらの製作で
映画化したもの
2017年にもオリエント急行を
同様にリメイクしたがその
続編的な感じ
感想としては
恐ろしくCGがショボかったり
OPの戦争シーンになんでそんなに
凝ったのか不思議なくらい
(1917のセット流用?)
バランスが悪い作品
改変もそんなに必要だったかと
思うしどこを重点的に見せたかった
のか首をかしげる出来と
なっていました
話はロンドン社交界の絶世の美女
リネットが親友ジャクリーンから
たまたま紹介された婚約者サイモンと
恋に落ちジャクリーンを差し置いて
結婚してしまいます
ジャクリーンはストーカーと化し
親族関係者だけを集めた
エジプトの新婚旅行にまで追いかけて
きてリネットは気味悪がります
結婚式に招かれたポアロはサイモンに
相談されジャクリーンを説得しようと
しますが22口径のピストルを
ちらつかせてあの人を殺して
ウチも死ぬかも~と宣言
ドン引きのポアロは夫妻に
ロンドン帰れば?と言いますが
それも受け入れられません
一同はナイル川を辿る汽船に
乗り込みますがジャクリーンは
そこにも追いかけてきて
リネットが自室に寝入った後
サイモンが君とは終わったのだと
挑発するとジャクリーンは発砲
膝を打たれたサイモンは
介抱されジャクリーンも
錯乱したためモルヒネを打たれて
寝かされます
するとこめかみを打たれて
ベッドで絶命しているリネットが・・・
犯人は誰ぞやと思っているうちに
どんどん殺人が起こっていきます
ポワロは容疑者全員に
その人が犯人であったらという過程で
ネチネチ総当たりで追い詰めて
いくのでみんなキレます
結末は最初にあーコイツ犯人か
と思わせておいて違うんでしょう
と思いつつやっぱりそうでした
的な意表の意表を突く感じですが
こじつけくさくなってしまってます
原作は便利なレイス大佐と言う存在が
いたのですがブークと言う事件に
深く関わってしまう親友という
キャラに変えられてしまったのですが
そんなに面白くなった感じもせず
何よりミステリー的展開まで
映画の尺の半分くらい使って
実質さくさく60分くらいで
後半は駆け足で終わってしまう感じは
ちょっと拍子抜け
思えば
火曜サスペンス劇場は100分くらい
たっぷり事件の発生・捜索・推理・
仕切り直し・真相発覚・崖と
ほんと良く出来ていたと思います
たまにBSデジタルとかでやってると
見ちゃいますが途中からでも
そこそこ見やすいし
まあ今作はミステリーとしては
古典だし今更そこを楽しむ映画じゃ
ないだろうと言われればそれまでですが
ありゃ出来良かったんだなと
痛感する次第です
原作物である意味があったのか
ポワロがあまりにも感情的で推理シーンは少なく途中真実に迫っている感が全くなかった。
あとポリコレ意識しないといけないのかもしれないが、全員が後ろ暗いことがあるという舞台設定の中で1人だけ後ろめたいところもなくやることなすこと正しいいい子を出して、責められたらポワロも何も言えないシーンを作る必要があったのか。灰色の脳細胞どこにいった。
全体的にポワロの知的な雰囲気やウィット、エジプトを舞台にした意味が感じられず、やたらと扇情的で、わざわざポワロを下敷きにせずアクションや恋愛ができるオリジナル探偵物にした方がよかったんじゃないかと思う。
もはや冒涜!!ケネス・ブラナー最低です!!ネタバレ含む。
オープン早々呆気にとられました。もう原作無視の滅茶苦茶な脚本。前作アンソニー・シェーファーも登場人物を絞り簡素化してましたが許容範囲。今作はサロメ・オッタボーンが作家からクラブ歌手、その娘ロザリーはリネットの友達、そのロザリーの彼氏が原作に出てこないブーク、前作老富豪ヴァン・スカイラーとその使用人バウーズが今作ではレズビアン、ドクター・ベスナーはリネットの元フィアンセ等々原作とは全く別物に開いた口が開きっぱなし!
謎解きに大切な動機も前作は被害者が殺される前に上手く散りばめられてたのに今回は殺された後に口頭でベラベラ説明する始末。
「J」の文字、犯人の射撃の腕前は父親譲り、共犯者に知らせる大声と初めから話される大切なシーン等はことごとく削除。
もう何してくれちゃってるの!!
さらに前作の壮大なスケールは皆無、それどころか品格も何もない!セットっぽいシーンや「オリエント急行~」同様CG乱用とドンパチシーン!そして無意味な川底のCG魚ww
アガサ・クリスティ自身、また私のようなクリスティ・ファンの大好きな「ナイルに死す」をよくぞ「ドーバー海峡殺人事件」並みの駄作に仕上げてくれました、この罪は重い!!ジョン・ギラーミン監督の手腕の素晴らしさを改めて再認識!ピラミッドやアブ・シンベル神殿に突如現れるジャッキーの演出も見事でしたね。そんな素晴らしいシーンは今回全くない!
ケネス・ブラナーにアガサ・クリスティ作品を映像化する資格無し!!と法律で裁いて欲しいものです。
前作ファンとしてはまだまだ文句は尽きませんがもう疲れたので別の機会にします(笑&怒)
ゴージャス ✨ 〜 魅惑のナイル川クルーズ
冒頭の戦場シーンがリアルで胸に迫る。
個性的な役者陣、美しい景観、中でもジャクリーン役のエマ・マッキーの艶やかな魅力に魅了された。
前作の「オリエンタル急行殺人事件」(2017) より格段に良い。
ギザのピラミッド、スフィンクス、ソフィテル レジェンド オールド カタラクHotel、アブ・シンベル神殿…ため息の出るような美しい映像に魅了された。
映画館にて鑑賞
(アガサ・クリスティ原理主義ファンとして一言)天国のアガサが怒鳴り込んでくると思う。(一映画ファンとして一言)原作が『ナイルに死す』だと思わなければそれなりに巧く作った映画だとは思う。
①一つ前の『オリエント急行殺人事件』は映画としても酷い出来でケネス・ブラナーの演出には映画作りの上手さも感じられなかった(あまりにも呆れたのでそこまで気が回らなかったかもしれないけど)。今回は実際に犯行がどう行われたのかを再現したシーンは流れるような演出が巧いと思ったし、原作の改悪ぶりがよくそこまで弄ったと思うくらい徹底していたのが却って誉めて上げたいくらい。しかし、この映画で唸らされたのはこの二点だけ。あと失敗点を挙げ連って行きます。②一番大きな失敗はケネス・ブラナーがポアロをハムレット気取りで演じたこと。本格探偵小説・推理小説の探偵はハードボイルド小説の探偵とは違いあくまでも事件を外側から見る傍観者の立場。ミステリーファンが楽しみたいのは、不可能と思える殺人事件の謎が提示され、さてどんなトリックが使われているのか真犯人は誰か探偵と謎解きゲームを競い、最後にアッと驚く種明かしに「騙された~」と唸ることである。誰も探偵自身の身の上話を知りたい訳ではない(それはまた別の話)。それが今作ではやたらポアロが一人で喋って観客が謎解きに参加する暇さえ与えてくれない。アガサ自身も自分が作り上げたこの希代の名探偵を途中から嫌になったらしいが、それでもポアロ=立派な口髭なのに、それを剃ってしまうとは。原作への冒涜でしかないでしょう。③原作の『ナイルに死す』のメインテーマは“人を愛しすぎるのは決して良いことではない、賢明なことではない、時には危険で恐ろしいことになる”ということ。今作が言っているように“愛のためであれば人は何でもする”というのとはちょっと違う。「いくら愛していても度が過ぎるのは良くない」というアガサの実人生からの教訓を、最初の結婚の破局⇒謎の失踪事件を起こしてから10年立ってやっと冷静に自分の作品中で描けたのが『ナイルに死す(Death on the Nile)』なのだと私は思っている。実はアガサはカップルを犯人にしたミステリーは他にも何作か書いている。しかし、ジャクリーンほど「サイモンを善悪も憐れみも何もかも越えてただ愛していたが故に犯罪に手を染めた」犯人像にしたのは『ナイルに死す』以外にない。それを際立たせないと『ナイルに死す』にならないのにポアロに自分の恋物語を語らせてどうする。④ガル・ガドットもミスキャスト。リネットを演じるにはスター過ぎるし、カップルの仕掛けた偽りの愛の陥穽に落ちるにはとうが立ち過ぎている。初登場シーンは確かに美しくゴージャスではあったが、それは映画スターのゴージャスさであって若くして大富豪になった娘のゴージャスさではない。1978年版のロイス・チルズくらいの準スターレベルのキャスティングがちょうど良く、ロイス・チルズの方が初登場シーンでリネットの人間像を短いシーンの中で上手く活写していたと思う。リネットが死の直前にジャクリーンに向かって『貴女とは友達でいたかった。貴女だけがお金目当てで近づいて来たのでなかったから』と言いジャクリーンが涙ぐむ(この後殺すわけだから)シーンは原作にも1978年版にもなかったシーンで悪くなかったが、元はと言えばあんた(リネット)が“入っては行けない道(原作の表現)“=“友達の恋人を奪う”からだろうが自業自得だ、とあまり同情は出来ない。⑤アーミー・ハマーのサイモンは柄といいネームバリューといい1978年版のサイモン・マッコーキンデールよりは良かったとは思うがイギリス人らしさがないのが玉に瑕。口髭も色悪っぽさを醸し出し過ぎで、ジャクリーンがリネットに初めてサイモンを紹介するときの内容と合致していない。リネットの死に大泣きするシーンがあるが自己抑制の強いイギリス人があんなに人前で感情的になるか違和感があった(アメリカ人ならわかるけど)。⑥エマ・マッキーのジャクリーンは柄としては1978年版のミア・ファローより原作のイメージに近い。ミア・ファローはどうみてもサイモン・マッコーキンデールの年上の恋人にしか見えなかったから。しかし、犯行を決行する前夜、前にポアロから「心に悪を入れてはいけない」(「愛が無ければ代わりに悪が入るわ」という原作の台詞が好き)と言われていたミア・ファローが、止めたい気持ちと(サイモンへの愛から)決行する気持ちとの相克に苦しんでいるような、もう少しでポワロに真実を話してしまいたいような忘れがたい表情をした演技を見せてくれたが、今回はそういう芝居がなかったのが物足りない。⑦21世紀になったとは言え、クリスティ映画で『やりまくった』とか、『昨夜は2回した』『いや3回』だとか、踊りや服を着たままとは言えdoggy styleとかを見たくなかった(そう言えば石が落ちてくる前にリネットがサイモンのズボンの中に手を入れようとしてましたね)。天国でアガサが卒倒していると思う。⑧戦前のイギリスで白人とインド人とがいとこだなんてあり得たのか?⑨同じ様に「黒人と同じプールで泳げるか!」ということはあっただろうと思うが、アメリカより差別の少ないイギリスとはいえ戦前に白人と黒人とが同じ寄宿学校に入るということがあり得たのだろうか?⑩1974年版の『オリエント急行殺人事件』が本格推理小説の映画化はオールスターキャストというのが主流となる契機となった。同じレベルのスターを並べないと犯人がすぐ分かってしまうという理由からだが、日本の市川昆監督の金田一耕助シリーズのお手本になったくらいだもんね。世代が違うからあまり言うのもなんだが、1974年版『オリエント急行殺人事件』、1978年版『ナイル殺人事件』、1981年版『クリスタル殺人事件(邦題は最悪
)』と、ハリウッドのレジェンドと言える銀幕の大スターから名優・名女優までをズラリと揃えた正に豪華俳優陣の競演がそのまま映画の楽しみに繋がった映画たちであった。(『クリスタル殺人事件』は前二作より映画の出来はいまいちだったし、『地中海殺人事件』以降は段々地味なキャストになってしまったけど。)2017年版『オリエント急行殺人事件』はまだ現在のスター俳優や名優と言える人たちも混じっていて辛うじて豪華俳優陣と言える配役であったけれど、今回はスターと言えるのはガル・ガドットとアーミー・ハマー(映画俳優生命は風前の灯だけど)、それとアネット・ベニング(老けたね!)くらいで、後は初めて見るような人ばかり。でも、何度も言うようにこの映画の主役はケネス・ブラナー演じるポアロであって残りは脇役みたいなもんだから、これはこれで理にかなったキャスティングだったのかも。⑪ヴァン・スカイラー夫人とバアウワー看護師との間に意外な関係性があるという設定は、同じクリスティの『予告殺人 (A Murder Is Announced)』からヒントを得たのかも知れないが、犯罪に関係が無ければ(明らかに関係は無いという描き方)あからさまに暴露すべきでは無いだろう、ポアロの態度にはデリカシーが無いと言わざるを得ない。(本来のポアロや他のクリスティ作品の探偵たちでも犯罪と関係があると明確に断定されない限りは無闇に暴露しないデリカシーは持っています)。⑫第二・第三の殺人に関する設定や描写も杜撰。人を殺すことを命ずるのに普通メモで伝える?誰かに読まれるリスクが高いのに。ブークが撃たれる前にサイモンが叫んだのは一度だけ。たったそれだけでジャクリーンに危険が伝わるか?原作や1978年版での通り不必要と思えるほどの大声で状況を伝えないと。この辺り、やはり1978年版を脚色した名手アンソニー・シェーファーとの力の差が感じられる。⑬最後に、アガサ・クリスティはシェークスピアではない。前作『オリエント急行殺人事件』も何かどんよりたしたラストだったが、本作も髭を剃った(!)ポワロが物思いに沈む沈鬱なラスト。何もアガサの作品にラストがやるせないものがないわけではない。最高傑作の『そして誰もいなくなった』もそうだし、少し幅を広げれば『アクロイド殺し』『邪悪の家』『溺死(「火曜クラブ」の中の短編の一つ)』『雲の中の死』『メソポタミアの殺人』『物言わぬ証人』『杉の柩』『五匹の子豚』『愛国殺人』『忘られぬ死』『ホロー荘の殺人』『ねじれた家』『予告殺人』『魔術の殺人』『マギンディ婦人は死んだ』『ポケットにライ麦を』『死者のあやまち』『無実はさいなむ』『鏡は横にひび割れて』『バートラムホテルにて』『終わりなき夜に生まれつく』『ハロウィーンパーティー』『復讐の女神』『像は忘れない』『カーテン』『スリーピング・マーダー』などみんなそうだ。しかし、『ナイルに死す』は、リネット/サイモン/ジャクリーンの三角関係の悲劇がメインとは言え、その後にロザリーとアラトン夫人(原作『ナイルに死す』で最も魅力的な人物)の息子との幸せなツーショットを挿入して、アラトン夫人『恋って時には恐ろしいものになりますのね』ポアロ『だから有名な恋物語多くは悲劇なのですよ』(ここでロザリーとアラトン夫人の息子とのツーショットを描写して)アラトン夫人『でも世の中には幸せもありますのね』ポアロ『そうですよ。感謝しなければなりませんよ、奥さん』、と理性も道徳も忘れてしまうような過剰な愛との対極として穏やかな愛こそ幸せもを運ぶものというオチの付け方を忘れていない(アガサもマローワン教授との再婚で穏やかな愛というものを知ったのでしょうね)。1978年版も、ジャクリーンがサイモンを撃った後自害したときにはポアロに『悲劇だ!』と叫ばせたが、ラスト、ロザリー(オリヴィア・ハッセー!)とファーガソンとの地味ながら幸せそうなカップルの姿を映した後、『女の最大の野心は愛を燃え上がらせることである』とジャクリーンへの(もしかするとリネットへも)花向けの台詞で幕を閉じている。
イメージ
ポアロと言うと、自分では動かずに事件を解決するイメージだったけど、今回のポワロは走るし、銃は構えるし、行動的な感じですね。色んな形で伏線を張ってあるので、見逃さなければ、犯人はわかるかな?
1978年作と比べてしまうけれど、、、
美しいナイル川の早朝や夕刻、月夜などの景色が美しかったですね〜。
前作が録画テレビ鑑賞だったので、さすが映画館!アブ、シンベル神殿の迫力も迫って来て、エジプト感バッチリでした◎
でもでも、、、前作の方が良かった点
① ジャクリーン役が、ミア、ファロー。線の細い、どこかしら危なげで健気な感じで吸い込まれましたの。
(今回は肉食女子系のイメージで、これも時代なのかも?笑笑)
② リネットの後見人のマリー。衣装が素敵で品のあるリッチそうな老夫人。彼女の付き人がマギースミスでこれまた知的な魅力的な女性で衣装も中性的で凛々しい。
(今回はただ太った似通った2人の老婦人)
③ 真珠のネックレス。シンプルな真珠の方がゴージャス!!
あらら、ケネス、ブラナー監督、ごめんなさい。本作もちゃんと楽しめました!
几帳面なポアロ。死体のリネットの足が、少し傾いていたので、そっと真っ直ぐに整えたシーンは、笑えました。
そして何より冒頭の戦場のシーンは、迫力があり兵隊姿のポアロは、初でした。
非日常の映像が日常の人の営みを映し出す
人は愛のためなら何でもする」
それは愛するため?愛されるため?
愛し愛されるカップルが、みずからの欲望のために、何人もの人を死に追いやる。
死んでいく時さえうっとりしてるじゃん!
原作でジャッキーがサイモンを撃ち殺す時の心情が表現しきれてなかった!
私はそこがこの物語の肝だと思うので、甚だ物足りないです…
あと、ポアロがカボチャの品種改良に言及してましたね!ということは次作は「アクロイド殺し」?これを映像化出来たら…ぶっ飛びます
豪華な雰囲気を堪能
♪ミステリ〜ナ〜イルの1978年の前作から44年も経ってますか。そんなに?って感じ。
衝撃的な犯人だった為、記憶にあるところで、本作もこの人犯人だよね?と思いながら見てましたので、少し角度が違ったかもしれません。
オープニングから違う映画と間違えた?と思ってしまう白黒の戦争シーンから始まる作品ですが、
ガルガドットや、綺麗なエジプトの風景を堪能しての鑑賞で、久々に贅沢な時間を過ごしたような気分にもなってました。
犯人を知って無かったら、本作でもオイオイオイと思っていたかもしれません。
オリエント急行殺人事件でもそう思いましたが、少しポアロが解決する展開になるのが早過ぎたような気がします。
オリエント急行のラストで、ナイル殺人事件につながるようなエピソードがあったので本作もそれを期待したのですが、無かったのが残念です。
原作を覚えてなかったんですが、楽しめました。
最近、オリエント急行殺人事件を観ました。あちらもかなり変わってたようですが、原作をすっかり忘れてたので、楽しめました。
そのラストで、エジプトで事件ですって、連れていからるんですが、この事件を解決してたあとの話だったんですかね。
ナイル殺人事件も同様で、覚えてなくて良かったかも。
原作をよくご存知の方には、どうだったのだろうと言う感じですが、、、。
多分、歌手とか出てこないですよね。
最後の髭を剃ったのは、あの歌手の方に恋したので、会いに来たのだと思ったのですが、どうだったんでしょう?ちょっとわからなかったです。
ガル・ギャドットが、いつ腕輪をカチーンってするんだろう?と、、、気になってしまいました。ワンダーウーマンの印ギャ強すぎて、、。すぐに人を好きになってしまう役には似合わないかな。笑
相変わらず、お綺麗でした。
ルイーズ役が海外ドラマのグッドファイトやゲームオブスローンズに出てる人と気づいて、なにか事件に関係してくるかなと、、笑
邦題変えたらよかったのにね。多分、原作や前作のナイル殺人事件と違うところだらけなら。笑
原作では、ベルギー生まれの小男らしい…
またもや、第一次世界大戦の塹壕戦の様子が描かれています。局地的な戦闘でも戦死者が十万人単位という桁違いに悲惨な戦いです。
命をかけた伝令やキングスマンの最新作にも出てきたので記憶に新しいと思います。終戦までに掘られた塹壕の総延長距離は3万2200kmに達したそうです。
※地球一周が約4万km❗️本当ですか⁉️というスケールです
ネットからの受け売り情報だと、ポワロは原作ではベルギーのフランス語圏で生まれ、第一次世界大戦中にドイツ軍から逃れるため、イギリスに亡命。
身長162.5センチの小男で、フランス人と間違われるのをひどく嫌う、とありました。
なので、塹壕戦に参加させたのは映画のオリジナルで、愛への執着が人生を変えることがあるというポワロ自らの体験とポワロの英雄的知性について、我々に印象付けるためだったのだと思います。
ラストに髭を綺麗に剃り落としていたことの理由を次のように想像したのですが、どんなものでしょうか。
・どちらかというと偏屈で人を寄せ付けないタイプ、少しいけすかない性格のポワロにとって数少ない心を許せる友人であるブークへの追悼と贖罪の気持ち
・自分にとっての愛の証或いは徴(しるし)は隠す必要はないとの一種の宣言。
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