「「生まれる意味」すらも考えさせる、テーマの射程の広い一作」ソウルフル・ワールド yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「生まれる意味」すらも考えさせる、テーマの射程の広い一作
年齢を重ねること、生きる意義について問い直すこと。ピクサーの作品は個々人の目線でこうした普遍的かつ成熟したテーマを扱うことが少なくありませんが、本作はそうした方向性の作品の、集大成的な作品となっています。
不慮の事故により「死後の世界」に足を踏み入れかけたガードナー(ジェイミー・フォックス)は、ジャズミュージシャンとしてステージに立つという夢をかなえるため、何とか人間の世界に戻る(生き返る)べく奮闘します。
ガードナーと、人間に生まれる前の魂であるソウルの一人、「22番」(ティナ・フェイ)との二人三脚の旅は、ある時はそれぞれの思惑の行き違いから困難を招き寄せてしまい、また別の時は協力と機転で危機を乗り越えていきます。
いわゆる「バディもの」の定番的展開として、面白いんだけど特に独創性を感じないかな、と思ったのは序盤まで。ガードナーが執着する「生きる目的」それ自体の意味を問い直す場面から、物語は大きく転換していきます。誰がガードナーにどのような言葉を投げかけるのか、一連のやり取りにはぜひとも注目してもらいたいところ。
そして手と手を取り合い続けてきたガードナーと22番が終盤に下す一つの決断は、展開自体は予想できるものの、やはり心動かされるものがありました。
生まれる前の魂が集う場所がある、という設定に、『君たちはどう生きるか』との共通性があるという点も興味深いです!
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